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日経記事"パナソニックエコカー用電池海外生産まずVWに供給"考察

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皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

6月20日付の日経新聞に、『パナソニック、エコカー用電池海外生産 まずVWに供給』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。
 
『パナソニックは今秋にも東欧のスロバキアでハイブリッド車(HV)など環境対応車向け車載用電池の生産を始める。同分野で初の海外生産で、当初は主要取引先である独フォルクスワーゲン(VW)に供給する。

環境対応車向け電池の世界的な需要拡大を受け、中国でも生産を始める検討をしている。VWの工場がある東欧で先行して始め、海外市場攻略の足掛かりとする。

VWの完成車の主力工場があるスロバキアの首都ブラチスラバ市に工場を設ける。当初、電池の主要部品である「セル(蓄電素子)」は日本の工場で生産し、スロバキアの工場で完成品に仕上げて供給する。

生産するのは普及タイプのニッケル水素電池で、パナソニックの製品は日本ではホンダのHV「フィットハイブリッド」などに搭載されている。VWの多目的スポーツ車(SUV)「トゥアレグ」、VWグループのポルシェの同「カイエン」と高級スポーツ車「パナメーラ」の各HVに供給する。

現地工場で主要部品のセルに制御回路や電装部品などを組み付けて完成品に仕上げる。今後は組み立てに必要な部品や資材の現地調達を増やし、HVなど環境対応車の原価の約半分を占めるとされる電池コストの削減につなげる考えだ。

パナソニックは電気自動車(EV)など環境対応車向けでは最近採用が始まったリチウムイオン電池についても、2014年をメドに中国で生産する検討に入っている。

パナソニックはこれまで環境対応車向け電池を日本の加西工場(兵庫県加西市)、洲本工場(同洲本市)、徳島工場(徳島県松茂町)でセルから完成品まで一貫生産してきた。

国内工場での集中生産により生産コストを引き下げるほか、電池の設計・生産技術の外部流出を防ぐ狙いもあった。

ただ、世界的な環境規制の強化を受け、電気自動車や家庭で充電できる「プラグインハイブリッド車(PHV)」など環境車の開発、生産が一段と海外で進む見通し。

基幹部品である電池の設計などで取引先と緊密に連携を取る必要が高まるなど、海外生産が避けられないと判断したようだ。

パナソニックは環境車向け車載用電池の世界大手。現在、VWのほか、トヨタ自動車やホンダ、米フォード・モーターなど7社に供給先が拡大している。国内のライバル企業や韓国サムスンSDI、同LG化学などに先行している。

こうした海外での事業拡大もテコに、15年度には車載用電池関連事業の売上高を10年度実績比4~5倍に当たる1300億円に引き上げる計画だ。』

車載用電池は、現在二つのタイプがあります。一つは、ニッケル水素電池で、もう一つは、リチウムイオン電池。

ニッケル水素電池は、リチウムイオン電池に比べて安く、HV向けに使用されています。電気走行の割合が大きいPHVや、モーターだけで走るEVなど次世代の環境対応車向けにはリチウムイオン電池が使用されています。

従いまして、現時点で環境対応車の主流となってるのがHVですので、ニッケル水素電池が使われるケースが多くなっています。

パナソニックは、経営改革の中の新規事業分野として、環境対応を選びました。環境対応の目玉の一つが電池です。電池事業を強化するため、三洋電機も買収しています。

本日の記事は、その電池事業強化策が具体的に動きだしたことを伝えています。

日経記事によると、HV、PHV及びEVを合計した環境対応車の世界市場は、2020年には1,000万台を超えると予想しています。2011年の市場規模が100万台強ですから、20年には10倍位の規模に成長することになります。

パナソニックは、当然のごとく、この成長市場で主導権を取り、世界ナンバーワンを目指すことになります。

その一歩として、主要取引先の一つであるVWの生産拠点がある近くにニッケル水素電池の工場を建設し、VWの要求に柔軟に対応する施策を取ります。

電池事業は、各種ノウハウの固まりであり、今までは技術流出を恐れて国内中心に製造していました。

しかし、主要自動車メーカーが環境対応車を作る状況がみえてきていますので、国内中心の生産体制には限界があると判断したようです。この判断は合理的です。

自動車メーカーの工場近くで、彼らの要求仕様に合ったニッケル水素電池やリチウムイオン電池を開発・供給する体制を作ることは、事業拡大の観点から必要なことですし、顧客からの信頼感も高まります。

勿論、技術流出の可能性がありますので、これを防止するための必要な手立ては最大限行う必要があります。

電池事業は、パナソニックやGSユアサなどの電池メーカーを潤すだけでなく、電池を構成する材料提供メーカーにも多大な恩恵を与えます。

現時点で、電池に関して材料から製品までの主要構成部分を一貫して提供できるのは、国内企業のみです。

この利点を最大限生かしながら、環境対応車という成長分野で、国内電池関連企業は、その屋台骨を支えるプラットフォームをおさえることが重要ですし、必要です。

また、電池は現在急速に伸びているスマホやパソコンなどでも使用されていますので、需要は右肩上がりになっています。

記事によりますと、例えば、三菱化学は電池を構成する電解液の工場を英国と米国に設けるとのこと。また、同じく電池材料の一つである正極材の大手である戸田工業も、米国に工場を建設済み。

電解液では、世界最大手の宇部興産が、米ダウ・ケミカルと合弁で米国内に工場を作る動きがあります。

パナソニックは、これらの材料メーカーと緊密なアライアンスを組んで、世界最高の電池を作り、世界の自動車メーカーに供給していく体制を強化することが大事です。成長分野で「Win/Win」の関係を作れます。

現在は、VWのほか、トヨタ自動車やホンダ、米フォード・モーターなど7社に供給しているとのことですので、更に共有先を増やして、パナソニックの電池なしに、HV、PHV、EVの供給が出来ない体制を早期に構築することが重要であり、積極的な事業推進を期待します。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁

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