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日経記事;"三菱ケミがエチレン設備1基廃止 鹿島,能力3割減"考察

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経営戦略 集中と選択;事業撤退

皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

6月10日付の日経新聞に、『三菱ケミがエチレン設備1基廃止 鹿島、能力3割減 』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。


『三菱ケミカルホールディングスは鹿島コンビナート(茨城県神栖市)のエチレン設備1基を2014年に廃止する方針を固めた。

国内需要の減少や円高で採算が悪化しており、生産能力を約3割減らす。国内でエチレン設備の廃止は13年ぶり。衣料品、電子部品などに幅広く使う汎用素材の事業を縮小し、高機能素材などに軸足を移す戦略だ。化学業界の構造変化を加速させそうだ。

エチレンは鉄鋼と並び日本の高度成長やものづくりを支えた中心的な素材。だが中国、中東などの海外企業が台頭するなかで工業品としては日用品化が進み、日本の化学大手は構造転換を迫られていた。

最大手の三菱ケミカルが設備廃止に踏み切るのは高機能製品への転換が進み、それを軸にした成長戦略が整いつつある結果ともいえる。

今回の能力削減は国内のエチレン設備能力の約5%に相当する。設備の廃止としては、三菱化学(現三菱ケミカル)が01年に四日市コンビナートを止めて以来となる。

三菱ケミカルのエチレン設備は現在、鹿島に2基、水島コンビナート(岡山県倉敷市)に1基あり、年産能力は121万トン。このうち鹿島の34万トンの設備を廃止する。

エチレンはコンビナートに立地する信越化学工業など10数社へ塩化ビニール樹脂などの製品を作るときに使う基礎原料として販売しており、近くこれらの企業と供給契約の見直しで交渉に入る。

エチレン設備の人員数は2基で100人強とみられる。廃止によって余剰になる人員は、リチウムイオン電池原料など高機能素材の設備を増強して配置転換し、人員削減は避ける方針だ。

エチレンなど基礎化学品の営業利益は11年3月期が313億円。12年3月期は13億円に減った。エチレン需要は新興国で増える見通しだが、中国企業などが増産し円高が続く日本から供給するのは難しくなっていた。

昨秋以降は国内販売も一段と低迷している。スーパーで使うビニール袋などの原料が円高でアジアから日本に大量に流入。国内の設備稼働率は昨年10月以降、好不況を分ける目安の9割を割り込んでいる。

三菱ケミカルは国際競争力を失ったエチレンなどの事業は今後できるだけ縮小、世界シェアの高いアクリル樹脂原料や高機能発光ダイオード(LED)基板、シート型太陽電池の開発や生産などに経営資源を向ける。

エチレンの能力過剰に苦しむのは他の国内石化大手も同じだ。国内全体の設備能力は年721万トンあり、11年の生産量は669万トンにとどまった。このうち国内需要は年520万~550万トンで、残りはアジアなどに輸出している。』


エチレンは合成樹脂や合成繊維の基礎原料となるもので、一般的にはナフサ(粗製ガソリン)を分解して作ります。

他の素材と反応させることで塩化ビニールやポリエチレン、界面活性剤などに変わり、さらに加工するとスーパーの買い物袋や衣料品、液晶テレビの部品など身の回りの様々なものになります。

エチレンは、我々が日常生活で使っているスーパーの「ビニール袋」の原料として理解するのが判りやすいです。言わば、エチレンは日常生活を支えるインフラ材料の一つです。

記事をみますと、エチレンの国内消費量は底堅く推移しており、市場自体は縮小していません。しかし、エチレン自体が汎用化しており、液晶テレビと同じように低価格化が進んでいます。

汎用化は、海外メーカーも簡単に出来るようになったことを意味します。エチレンはナフサから分解・加工して作りますので、日本企業のように海外から原油を輸入して作るよりも、油田に近いところで製品化した方が安くなります。

また、昨年来の異常な円高は、輸入エチレンの価格競争力を高めており、国内企業は苦しい戦いを強いられています。

今後、新興国や新・新興国で、エチレンの需要は伸びますが、汎用化による価格競争の結果、円高の影響もあって、国内企業の輸出品よりも、中国などの海外メーカー品の方が有利な事業環境になっています。

この結果、記事にありますように、三菱ケミカルのエチレンなど基礎化学品の営業利益は11年3月期が313億円。12年3月期は13億円に減りました。

三菱ケミカルは、現状のエチレンの製造装置をこのまま維持しても固定費をカバー出来ない状態になると判断し、一部設備を廃止、或いは、規模の縮小を決定しました。

今後、世界シェアの高いアクリル樹脂原料や高機能発光ダイオード(LED)基板、シート型太陽電池の開発や生産などに経営資源を向けるとのこと。

合理的な判断です。

プラントのような装置産業は、一旦作ってしまうと、維持運営費がかさみます。安定した収益を見込めない状態での国内生産の見直しは、必然的なことです。

今後、集中と選択を徹底的、且つ、迅速に行い、上記競争力のある分野や、成長余力が見込める分野に特化し、世界市場で勝ち組になることが必要であり、重要です。

大手企業も得意分野に経営資源を集中しないと、世界市場で勝ち組になれない事例の一つになります。

自社の強みを再認識・再確認して、その強みを最大化する事業のやり方が、規模の大小を問わず企業にとって勝ち組になるための必要条件になっています。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁


 

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