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日経記事;"東芝、HDD・フラッシュメモリーの開発部門集約"考察

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皆様、
おはようございます。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

6月5日付の日経新聞に、『東芝、HDD・フラッシュメモリーの開発部門集約』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『東芝はハードディスク駆動装置(HDD)とNAND型フラッシュメモリーの国内開発拠点を6月末までに集約する。9月には両技術を融合した新型記憶装置を製品化する。

最近はフラッシュメモリーを多数内蔵した記憶装置の需要がHDDの代替として急増。半導体に強みを持つ利点を生かし、米ウエスタン・デジタルなどHDDの2強を追い上げる。

現在、HDD開発部門は青梅事業所(東京都青梅市)にあり、計700人の技術者がいる。これをフラッシュメモリーの技術者が集まるマイクロエレクトロニクスセンター大船分室(横浜市)に移し、開発を一体運営する。青梅にある試作や少量生産用のラインも、大船分室に近い横浜事業所(横浜市)に移管する。

東芝は高速処理や軽量化が可能なフラッシュメモリーを組み込むSSD(ソリッド・ステート・ドライブ)の開発を強化している。最近はノート型パソコン向けで需要が急増しているが、大容量にしやすいHDDと組み合わせたシステムを構築する例も増えている。

例えばデータセンターを構築する際、頻繁に使うデータは高速で読み書きできるSSDに記憶し、保存を目的としたデータは大容量HDDに記憶するなど、利用状況に応じた柔軟なシステムを提供できるようになる。

HDD業界で、フラッシュメモリーとSSDを自社開発しているのは東芝のみ。拠点集約で技術をすり合わせれば顧客の要望に応えやすくなり、受注拡大につながると東芝ではみている。

融合製品の品ぞろえも強化する。9月にノート型パソコン向けに、HDDにフラッシュメモリーを組み込んだ「ハイブリッド・ドライブ」を製品化。パソコンの高速立ち上げにフラッシュメモリーを使い、通常使用時はHDDを駆動させる。

第1弾は2.5インチ型HDD搭載で容量は500ギガ(ギガは10億)バイト、厚さ9.5ミリメートル。内蔵フラッシュメモリーは8ギガバイト。通常のHDDより価格帯を高く設定する。来年には厚さ7ミリメートルの薄型製品も投入する計画だ。』


東芝は、日立と共に、電機業界では先んじて「集中と選択」を行っており、自社経営資源を差別化・差異化できる分野に集中して、世界市場で成長している分野での勝ち組になろうとしています。

本日の記事は、このような東芝の動きについて述べています。クラウド市場は、今後世界で大きく伸びることが予想されていますし、現実に今急速に拡大しています。

これは、顧客にとって大きなIT投資をしないで、情報・データを収集し、加工・編集して保存・共有化できるからです。

顧客にとって必要なのは、端末としてのノートパソコン、タブレット型パソコンやスマホなどの電子機器と、インターネットにつながる環境だけです。この利便性がクラウド、つまりデータセンターの需要を大きく伸ばす原動力になっています。

データセンターで扱う情報・データ量は、毎日増えていきます。データセンターにあるデータは削除しませんので、その保存量は日々増加します。

この毎日増え続けるデータは、きちんと処理・保管・管理する必要があります。東芝はそこに目を付けました。

データセンターの主要機能である処理・保管・管理のプラットフォームを押さえるやり方です。東芝はNAND型フラッシュメモリーと、それを搭載したSSD、及びHDDの両方の事業を持つ世界唯一のメーカーです。

SSDは、情報・データの高速処理に適しており、最近はタブレット型パソコンや、廉価版のノートパソコンにHDDの代わりに使用されています。

HDDは、SSDほどの高速処理には不向きですが、大容量の情報・データの保管が可能です。しかもHDDの高密度化は進んでおり、さらに保管容量が増える技術的期待があります。

巨大な情報・データを扱うには、情報の出し入れを高速に行う処理技術と、大量の保管容量が同時に要求されます。

東芝は、上記両方の要求を解決できる技術・製品を提供するメーカーとしてデータセンターの保管プラットフォームを支えると共に、市場拡大と共に事業を伸ばす基盤作りを進めようとしています。

これが、記事にありますHDDとSDD開発拠点の一体化であり、融合製品の提供です。データセンターを行う事業者は、より大量のサーバーを持つ必要があります。サーバーの設置台数は増加し続けますので、品質と信頼性の高いSSDとHDDを提供出来れば、東芝は、問題なく事業拡大が出来ます。

しかも、現時点では東芝だけがHDDとSSDを同時提供できますので、オンリーワンとなります。米シーゲイト・テクノロジーや米ウエスタン・デジタルなどの競合他社もこの美味しい市場を見逃すことは考えにくく、将来、東芝と同様にHDDとSSDの両方を扱うメーカーが参入してくる可能性があります。

東芝が先行者利益を最大限活用して、他社が参入してくる前に、処理速度が遅いHDDを補うためのNAND型フラッシュメモリーとそれを搭載したSSDの技術を一層深化させて、顧客の信頼度を確保することが重要ですし、可能です。

東芝は、パソコン市場のCPUを事実上抑えているインテルと同じような事業基盤をデータセンターで確立できます。

こうなれば、競合他社が後追いできても、十分に太刀打ちできます。価格競争に陥るリスクも低くなります。

東芝はHDDとSSDを合わせた売上高を2011年度の約4000億円から15年度に8500億円に引き上げる計画を打ち出しているとのこと。

東芝は、今後の集中分野として環境・エネルギー事業を打ち出しています。加えて、データセンターのプラットフォーム事業を取り込むことで、世界市場で売り上げを拡大できる成長路線を走ろうとしています。

電機業界でいち早く行っている「集中と選択」の果実として、東芝が両事業分野でオンリーワンの世界をどう作って展開していくのか引き続き注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A山本 雅暁

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