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日経記事;"張り付ける照明量産、コスト1/10 三菱ケミカル"考察

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皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

6月1日付の日経新聞に、『「張り付ける照明」量産、コスト1/10 三菱ケミカル 有機EL、パイオニアと13年末メド』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『三菱ケミカルホールディングスはパイオニアと共同で2013年末をめどに、天井や壁に張り付けて使える有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)照明の量産を始める。

製法の刷新で生産コストを従来の10分の1に引き下げる。カネカなどライバル各社も量産に向けて開発を急いでおり、発光ダイオード(LED)に続く新たな照明市場の普及を後押しする。

有機EL照明は昨年、各社が製品を投入し始めた次世代照明。LEDより薄型にでき、広範囲を照らせる特徴がある。壁全体が光る照明や、場所を取らない店舗の看板照明など、従来難しかった幅広い用途に応用が可能だ。

生産コストが高いことが欠点だが、安価に量産できる手法が確立すれば、一気に普及する可能性がある。

三菱ケミカルは10年にパイオニアに出資し有機EL照明の量産に共同で取り組んでいる。今回、光を発する有機素材をガラスに塗ってパネルにする新たな技術を開発。

今夏までに試験と量産を兼ねる設備をパイオニアの米沢事業所(山形県米沢市)に建設する。投資額は15億円前後。

約1年かけて技術を検証し、本格的な普及を狙える低価格照明を量産する。現在、試験的に生産する有機EL照明は13センチメートル角、厚さ9ミリメートルのパネル1枚で5万円前後。新技術の確立で5000円以下を目指す。

カネカも12年度末までに10センチメートル角当たりの有機ELパネル価格を現在の4分の1以下に引き下げる。年内に子会社のOLED青森(青森県六ケ所村)に、高価な発光材料を効率的にガラス基板に蒸着できる真空蒸着装置を導入する。


★照明の比較 

●有機EL照明
・消費電力:LED照明並みが目標
・寿  命:8000~2万時間 
・特  長:明るさはLEDに劣る。照らせる範囲が広い。熱くならない
・価  格:試験販売的な色合いが濃く高価。15センチ角のパネルタイプで数万円

●LED照明
・消費電力:白熱電球や蛍光灯の3~5割程度
・寿  命:4万時間
・特  長:明るい。照らせる範囲が狭い。熱を帯びやすい
・価  格:参入メーカー多く下落傾向。売れ筋の電球タイプは700~5000円


それに加え、ガラス基板や発光材料などの部材を全面的に見直すことで、さらに生産コストを低減。当初10センチメートル角当たり1万円以下を予定していた価格を5000円以下に引き下げる。

コニカミノルタホールディングスは11年に従来品より発光効率に優れる有機ELパネルを開発。今後は素材を塗布して製造する量産技術を14年以降に実用化する。

テレビやスマートフォン向けの有機ELはサムスン電子など韓国勢が商品化で先行している一方、照明分野では独オスラムやオランダのフィリップスなどが事業化を進めているものの、総じて日本勢が優位にある。

富士経済によると有機EL照明の国内市場は11年に1億7000万円で、12年も11億円にとどまる見通し。12年に3700億円を超えるLED照明に比べると市場は小さいが、20年には1085億円に拡大すると予測している。』

昨年の大震災以降、消費電力が白熱電球や蛍光灯の3~5割程度で済むLED照明の需要が急拡大しています。価格低下もLED照明の需要拡大の後押しをしています。

富士経済の調査では2012年の国内市場は69%増の3738億円になる見通し。長寿命で消費電力を抑えられる省エネ特性に加え、製品の低価格化が進行しているためとのこと。

当分、LED照明の需要拡大が予想されます。同時に、韓国や中国勢がシェア拡大を狙って販売価格を下げていますので、そう遠くない将来、LED照明は蛍光灯と同じように汎用化し、価格以外に差別化・差異化を図れない状況になります。

日本全体の電気消費量の観点からみますと、オフィスや家庭の照明がLEDになることは、当該消費量が抑制されますので、有効な節電対策の一つになります。また、国内メーカーも価格競争力があれば、一定規模の市場を獲得できます。

一旦、LEDが普及すると(普及率が60%を超えた場合)、この照明の寿命が4万時間と長いことから、買い替え需要が起こらず、市場規模は低水準で安定化します。

LED照明の残存者利益を求めて、現在の液晶テレビのように、ますます価格競争に陥る可能性が高くなります。

国内照明器具メーカーはこの事態を予測して、新市場開拓に動いています。その一つが、有機EL照明です。

上記記事にありますように、有機EL照明は、寿命や明るさなどではLED照明に劣ります。しかし、有機EL照明には、下記の特徴があります。

・水銀を使わない
・1cm以下の薄さを実現
・面全体が光る
・自然光に近い
・発熱が少ない、など

照明器具メーカーは、有機EL照明をLED照明を置き換えるという視点ではなく、有機EL照明の特徴を生かした需要開拓を図ろうとしています。

当面、オフィスや家庭で使われる照明器具は、LEDになります。有機EL照明は、LED照明で苦手な分野での需要開拓を見込んでいます。

例えば、有機EL照明は素子という点で発光するLEDと異なり、面で発光するので影を作らず自然光に近い風合いで室内を照らすとのこと。この特徴を生かして、玄関ホールや吹き抜けなど意匠性が高い空間向けとして期待が高いとされています。

また、薄くて軽いため、天井や壁への設置も容易。天井裏の配電などが簡素化できるため、住宅メーカーなどにとっては空いたスペースに断熱材を入れるなど省エネ住宅を施工しやすい利点もあることなど。

有機EL照明の普及のカギは、販売価格の低下です。関連メーカーは色々な工夫をしながら、2013年から14年をめどに、廉価版の商品を市場に出す計画です。

新規事業を立ち上げる時のやり方の一つに、本業の周辺事業を強化して付加価値を高める方法があります。大手照明器具メーカーの場合はこのやり方に当てはまります。

中小企業やベンチャーは、有機EL照明の特徴を徹底的に生かして特殊なニッチ市場で事業化することも可能です。

どんな企業が有機ELを活用した新規事業を行うか、今後の参考事例として期待し、注目します。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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