日経記事;"電気ロスなく電車へ 鉄道総研が超電導ケーブル"考察 - 各種の新規事業・事業拡大 - 専門家プロファイル

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表
神奈川県
経営コンサルタント
専門家の皆様へ 専門家プロファイルでは、さまざまなジャンルの専門家を募集しています。
出展をご検討の方はお気軽にご請求ください。

日経記事;"電気ロスなく電車へ 鉄道総研が超電導ケーブル"考察

- good

  1. 法人・ビジネス
  2. 新規事業・事業拡大
  3. 各種の新規事業・事業拡大
経営戦略 新規事業開拓・立上

皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

5月31日付の日経新聞に、『電気ロスなく電車へ 鉄道総研が超電導ケーブル 電気ロスなく電車へ 鉄道総研が超電導ケーブル 』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。


『JR各社の研究開発を担う鉄道総合技術研究所は、作った電気をほぼ100%無駄なく送れる鉄道向け送電ケーブルを開発した。電気の流れを邪魔する抵抗がゼロになる超電導現象を利用する。

今は送電時に電気の約1割が熱になって逃げてしまうが、新ケーブルを使えば、この損失分が節電できる。年内にも電車を走らせる実験を始める。

超電導送電は究極の省エネ技術。東京電力福島第1原子力発電所の事故で節電社会を迫られるなか、実用化に向けた研究開発が加速している。

鉄道総研が開発した送電ケーブルは主力の超電導物質を電線に使った。周囲を薄い断熱パイプで覆い、セ氏零下196度に冷やすと、超電導現象が起き、電気抵抗がほぼゼロになる。既存の鉄道用送電線と簡単に置き換えられるよう設計した。

首都圏を走る電車への送電に使える1.5キロボルト、約10キロアンペアの容量で直流の電気を送ることに成功した。走行実験は研究所内にある小規模の環状線路と敷地内の太陽光発電施設や変電施設などを超電導ケーブルで接続し、実施する計画。

鉄道の電力消費量は東日本旅客鉄道(JR東日本)だと年間約60億キロワット時で、標準的な原発1基が1年間ほぼフル稼働してできる電気の量に相当する。』


私のブログ・コラムでは、時々、超伝導に関する記事を取り上げています。超伝導は、限られた電力を効率良く送り・使うための決め手の一つであると共に、国内メーカーの研究・開発・実用化が海外企業より進んでいることによります。

超電導は金属を絶対0度(0K)付近まで冷やすと電気抵抗がゼロになる現象で、約100年前に発見されました。

その後、超電導は理想的な技術とされてきましたが、絶対0度(0K)付近まで冷やす必要性が実用化検討の妨げになってきました。

しかし、1986年になってセラミックスの超電導現象が発見されたことで事態が大きく変わり始めました。

それは、材料にセラミックスを使うと、超伝導現象が絶対100度(100K)付近で起こることが確認されたことです。

絶対100度(100K)は、当然絶対0度(0K)より高温であり、しかも液体窒素で作れる温度環境であることが、実用化の観点から大きく前進しました。

それまでの、金属超電導材料を使用する場合の絶対0度(0K)の温度環境は、液体ヘリウムや液体水素の極低温まで冷やさないと電気抵抗が0にならなかったのです。

窒素は空気中にふんだんにある安価な物質で、液体窒素は実用化の観点からしますと申し分のないものです。

このあと、世界中で高温超電導ブームが起こりました。世界中の企業が研究した結果、様々なセラミックス超電導材料が見つかりました。

その代表格がイットリウム、バリウム、銅、酸素からなるイットリウム系材料と、ビスマス、ストロンチウム、カルシウム、銅、酸素からなるビスマス系材料です。

国内メーカーでは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)との連携で、住友電気工業や古河電気工業などが、超伝導線の開発・実用化にしのぎを削っています。

住友電気工業は、ビスマス系超電導線材を実用化の有力候補と考え、線材化と応用製品開発に取り組んでいます。

古河電気工業は、イットリウム系の材料を採用した超伝導線の実用化を進めています。


両社は使用する材料が異なり、互いに競争していますので、結果として競争力のある、より良い超電導線が商用化されることになり、国内及び海外市場での新規需要獲得の期待があります。

今回の記事は、この超電導線を使った鉄道向け送電ケーブルの開発に成功したと報じています。作った電気をほぼ100%無駄なく送れるとのこと。

現在、主流となっています交流送電網に使われているのは、銅線やアルミ線で、電気抵抗があるため、発電所から家庭や工場などに送り届けるまでに5%程度は失われている、とされています。

今回の鉄道向け超電導送電線が実用化され、且つ、汎用性があれば、当然のごとく、一般の送電線へ適用されますので、その応用範囲は極めて広いことになります。

現在、日本はほぼ全国レベルで電力供給量の制約があり、各方面で省電力化や新規発電源の開発・立上(自然再生エネルギーやシェールガスなど)などの動きが活性化しています。

この中で、スマートグリッド(次世代送電網)を使って発電所から企業や家庭向けなどの既存送電インフラも見直され、更新される可能性があります。

この送電線に、超電導線が使われますと、送電ロスをほぼ0にするだけでなく、社会インフラの再構築となる大きな新規需要が生まれます。

国内企業が得意とする環境関連技術・事業で、エネルギー変換の効率向上に貢献しながら、新規成長分野で売上を伸ばせます。

もちろん、この技術・事業は世界中の環境改善に貢献しながら、巨大市場を開拓できる大きな機会が生まれます。

鉄道総合技術研究所が開発した超電導ケーブルは、汎用性があるものと理解し、期待しています。

超電導ケーブルに置き換え直流で送電すれば、国内で原子力発電所数基分の節約になるとの試算もあるとのこと。

太陽電池や風力発電などは直流で発電されるため、直流送電は再生可能エネルギーと組み合わせやすいという長所もあります。

上記しました様に、超電導の研究は住友電気工業など日本勢がリードしており、世界に先駆けた実用化が期待されています。

鉄道用送電で実用化の目処がつけば、一般の送電線への応用も始まります。国内で実用化のための実証実験を行いながら、先進国を中心にスマートグリッドを含めた超電導線による、環境・社会インフラビジネスを関連する国内企業の連携で市場開拓することが重要です。

東芝、日立、NEC、富士電機、パナソニックなどが、住友電工や古河電工らの送電線メーカーを巻き込んで国内企業連合体を作り、海外市場開拓することを期待します。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

カテゴリ このコラムの執筆専門家

(神奈川県 / 経営コンサルタント)
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表

起業・企業存続の為の経営戦略立案・実行と、ビジネススキル向上

起業及び、事業拡大や経営合理化を目指す企業に対して経営コンサルを行います。大手メーカーで得た経験を活かし、補助金活用、アライアンスやM&A、市場分析に基づいた事業戦略策定・実行や事業再生を支援します。OJT研修でのビジネススキル向上を支援します。

カテゴリ 「経営戦略」のコラム

このコラムに類似したコラム

日経記事;エコカーEV電池VWと協力拡大パナソニック に関する考察 山本 雅暁 - 経営コンサルタント(2011/12/10 09:18)

日経社説;「攻めの省エネ」を競争力強化に生かせ に関する考察 山本 雅暁 - 経営コンサルタント(2011/08/29 13:27)

日経記事;トヨタ,マイクロソフト 提携次世代送電網 に関する考察 山本 雅暁 - 経営コンサルタント(2011/04/07 08:41)

日経記事;『次世代化学材料、化学11社が共同研究』に関する考察 山本 雅暁 - 経営コンサルタント(2011/03/28 06:45)