転職の手帖1：越えなければならない4つの山

これまで、人材コンサルタントとしての活動を通じて考えたことを基に、キャリアの再構築のために考えなければならないこと、失敗しない転職活動のありかたについて、できるだけ時系列で、体系的にまとめる試みをしました。愚直に、生真面目に書きました。長丁場になりますが、お付き合いいただければ幸いです。

1. はじめに：転職活動で越えなければならない山

転職活動というと、求人案件に応募し選考を受けること、と短絡的に捉えられがちですが、それらは転職活動の一部に過ぎません。転職の目的、転職で実現したいことを明確にし、手順を踏んで用意周到に進めなければ、受かる企業にも受からなかったり、仮に転職先が決まったとしても、退職プロセスでトラブルになったり、転職できたとしても新しい企業でこんなはずではなかったということにもなりかねません。転職活動を成功させるには、超えなければならない山がいくつかあるのです。まず、転職活動の全体像を概観するところから始めましょう。

(1) 転職を決意するまでの山

このままこの会社に留まることが妥当なのか、さまざまな理由から悩み、転職すると決意するまでの山がその序章です。どこかよい案件はないか、Aさんは転職して年収があがったらしい、自分も乗り遅れまい…などと、安易な考えで転職活動をしてもうまくはいきません。転職で失敗しないためには、自分のできること、したいことを整理し、中長期の視点でキャリアプランを描き、あなた自身の希望を実現するための企業やポジション、つまり転職のクライテリアを明確にすることと、それを踏まえて転職活動というアクションを起こす決心といいますか、覚悟をもつことがポイントです。

(2) オファー(内定)を勝ち取るまでの山

行きたい企業、取り組みたい仕事をさまざまな方法で探し、応募し、面接を受け、オファー(内定)を得るまでの山です。自分で調べて直接企業に応募することもあるでしょうし、人材紹介のエージェントに相談し、適する企業を紹介してもらうこともあるでしょう。なかなかフィットする企業が見つからず不安になったり、応募しても採用に至らず辛い思いをしたり、一見、これが最も高い山に見えますね。たしかに高く、険しい山であることは事実です。

(3) 退職するまでの山

やっとの思いでオファーを勝ち取り、転職活動が終わったと安心することはできません。現職企業が退職をすんなり認めてくれるとは限らないからです。優秀な方、キーマンとして活躍している方はなおさら、退職慰留というトラップが待ち受けています。さらに、残る同僚にできるだけ迷惑をかけないよう、限られた時間の中で仕事の引き継ぎをしなければなりません。後ろ髪引かれる思いをすることなく退職できてこそ、新しい企業で集中して仕事に取り組めます。

(4) 新しい企業に馴染むまでの山

めでたく希望の企業に入社。でもこれがゴールではありません。新しい仕事、新しい仲間、新しい環境に戸惑いつつ、期待されるパフォーマンスを発揮できるよう、いち早く慣れなければなりません。あまり注目されない山ですが、状況によって精神的には最もきつい山になることもあります。新しい企業に慣れて、初めて転職活動は完了、成功と言えるのです。

転職を成功させるためには、上記のプロセスの中で、あなた自身の立ち位置を確かめつつ、さまざまな事象を冷静に判断し、対処する必要があります。そのためには、十分な準備と期間も必要です。

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初回としてはちょっと退屈でした? インパクトがなくてすみません。

でも、今までにない、スゴイことを書くつもりはありません。当たり前のことを当たり前に実行することが、大切で、実は難しいことなんですよね。次回以降、それぞれのプロセスで留意しなければならないことについて説明します。