日経記事;"キヤノン 針路を探る (下)日米欧の3極体制へ "考察 - 海外展開 - 専門家プロファイル

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日経記事;"キヤノン 針路を探る (下)日米欧の3極体制へ "考察

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皆様、
おはようございます。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

5月19日付の日経新聞に、『(キヤノン 針路を探る)(下)日米欧の3極体制へ 市場の声 素早く反映』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『「少ない部数でも低コストで印刷できますよ」。4月下旬、国内販売を統括するキヤノンマーケティングジャパンは千葉市で、印刷会社など顧客を招いて高速デジタル印刷機を披露した。

実演に使った印刷機は、キヤノンが2010年に約1000億円で買収したオランダの大手オセの製品。キヤノンは今年に入ってオセへの出資比率を、88%から100%近くに引き上げた。

情報システムの統合を急ぎ、製品の共同開発に着手した。営業の融合も進んできた。将来は製品ブランドを「キヤノン」に統一する方針だ。

キヤノンはプリンターでは企業向けにレーザープリンター(世界シェア1位)や複合機(同2位)、消費者向けにはインクジェットプリンター(同2位)を持つ。

オセが得意とするのは出版社などが使う業務用の大型機。印刷速度はA4判換算で最速毎分3000枚と、中型機のざっと20倍だ。

自前主義を転換

「プリンターの全領域でナンバーワンになるためにオセが必要だった」。専務で映像事務機事業本部長の中岡正喜はオセ買収の理由をこう語る。創業以来、基幹技術を自社で育てる「自前主義」にこだわってきたキヤノンだが「大型機は仕様を顧客と時間をかけてすり合わせる必要があり、一から始めたら10年はかかる」(中岡)。

キヤノンの海外売上高比率は10年前より8ポイント上昇し、約80%になった。会長兼社長の御手洗冨士夫は「90%も視野に入っている」という。グローバル経営を強化するため、日米欧で3極体制を導入する方針。

将来は米国と欧州に統括会社を設立し、それぞれ研究開発拠点を整備する構想だ。市場のニーズを見極め、新製品の投入を速めるのが狙い。

今年発売した業務用ビデオカメラ「シネマイオスシステム」は、そんな商品開発の方向性を示す新製品の一つだ。
 
きっかけは08年に発売したデジタル一眼レフカメラの高級機だった。フルハイビジョン(HD)の動画撮影機能を加えたところ、「ハリウッドの著名な映画監督から『こんなカメラが前から欲しかった』と言われた」。米販売統括会社のキヤノンUSA副社長、石塚雄一は振り返る。

キヤノンUSAが商品を企画しハリウッド関係者らの要望を聞き取って、日本の開発部門が製品化した。「シネマイオスは米国発の新事業であることに意味がある」。専務でキヤノンUSA社長の足達洋六は、販売の最前線から生まれたアイデアが新製品につながった点を評価する。

現地に権限委譲


米欧の統括会社トップにはM&Aの権限も委譲し、経営判断のスピードを上げていく。新体制移行のカギを握るのは御手洗の後継問題だ。

御手洗は「(16年から始まる)次の中期経営計画は後継に任せる」としており、15年までに世代交代を進める考え。

キヤノンは02年に幹部候補生を教育する「経営塾」を創設した。米ゼネラル・エレクトリック(GE)の育成システムにならったものだ。講師は一橋大名誉教授の野中郁次郎ら識者。選抜された塾生は2週間に1回、まる1日かけて経済学など様々な講義を受けたり意見を戦わせたりする。

経営塾の卒業生はすでに70人に上り、17人いる執行役員の多くを卒業生が占めている。御手洗は「人材育成は着々と進んでいる」と話す。御手洗が59歳で社長に就任した時、キヤノンの連結売上高は2兆858億円だった。売上高5兆円を射程に入れ、3極体制に道筋をつけることができるか。ハードルの高い課題が待ち受けている。』


上記記事の中で書かれていますキャノンの事業展開方法は、メーカーが海外展開を行う時のやり方に関するヒントを与えてくれます。

キャノンの海外売上高は、現時点で全売上の80%を占めています。この海外比率を更に10%程度上げて90%にすることを目標に掲げています。

キャノンは、これだけの高い海外売上を持っていて、確実に収益を上げており、国内企業の中で数少ない世界市場相手のグローバル企業の一つになっています。

その要因を二つの視点からみます。

一つ目は世界市場で高いシェアを持つ製品群を持っていることです。記事によりますと、デジタルカメラでは、ソニーと競合しつつ、20%を確保し、ソニーの18.9%を上回っています。

プリンター(デジタル複合機)では、リコー(20%)に次いで18.3%のシェアを持っています。

両市場とも、世界規模でみますと成長し続けており、キャノンの稼ぎ頭の一角を占めています。

二つ目は、多くの国内電機メーカーが行ってきた技術の自前主義の方針変更です。デジタル化された製品群では、開発や変化の動きが早く、全て自前技術で行うとすると巨額の投資と開発の長期化という課題に直面します。

この課題を解決する方法の一つが、他社が持っている技術の利用です。利用方法には二つのやり方があります。

一つは、M&Aによって短期間に他社技術や知的資産を入手する方法。もう一つは、他社とのアライアンスで、現在、多くの世界的自動車メーカーが行っています。

キャノンの場合、プリンターについてはオランダのオセを買収し、出版社向けの高速印刷技術を獲得しました。

今までのキャノンの自前主義のやり方では、10年の開発期間を要するとのこと。ここにキャノンが開発方法を変更した理由があります。

また、キャノンは、海外売上比率90%を達成するために、米欧2拠点に各地域の統括会社をおき、本社権限を移譲するとのこと。

開発製造機能に加え、M&Aの権限も移譲する考えです。通常、国内メーカーは、開発製造機能は委譲しますが、M&Aは本社決裁事項にしています。M&Aの失敗は、会社の命取りになる可能性があるためです。

今まで多くの国内企業が海外展開を行う中で、現地に本社権限を委譲するやり方を模索してきました。しかし、実現できた企業の事例は多くありません。

キャノンは、90%を海外売上に依存する状況を見据えて日米欧の三極本社体制を行う計画です。
御手洗会長によると、後継者育成も含めて2015年までには完了させるとしています。

今後のキャノンの動きを注視していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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