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日経記事;"東芝,テレビ「12年度の黒字化目指す」中期計画"に考察

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経営戦略 集中と選択;事業撤退

皆様、
おはようございます。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

5月18日付の日経新聞に、『東芝、テレビ「12年度の黒字化目指す」 中期計画 国内生産停止 海外に委託』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。
 
『東芝は17日、2012年度からの中期経営計画を発表した。同日記者会見した佐々木則夫社長は赤字のテレビ事業について、国内生産の完全停止や生産委託の拡大などを通じ「12年度の黒字化を目指す」と表明。

一方、原子力事業については、東日本大震災に伴う福島の原発事故の前に立てた目標を2年先送りし、17年度に11年度比約7割増の売上高1兆円を目指す方針を示した。

国内のテレビ需要は家電エコポイント制度の終了や地上デジタル放送への移行完了などを受けて急減している。12年3月期決算ではパナソニック、ソニーなどが軒並み巨額赤字を計上。東芝もテレビ事業では500億円程度の営業赤字に陥った。

これを踏まえ中期経営計画ではテレビ事業の立て直しを構造改革の柱と位置付けた。国内唯一の生産拠点だった深谷事業所(埼玉県深谷市)での生産停止を正式に表明した。

さらに11年度に4割強だった海外電機メーカーなどへの生産委託の比率を、12年度には5割強に高める方針。13年度にはテレビの総モデル数を11年度比6割減、外部調達するパネルの種類も54%減らすなどといったコスト削減策も打ち出した。

東芝の経営方針の骨子:主な戦略と売り上げ目標

■スマートコミュニティ
全世界で27の実証・商用プロジェクトに参画 9000億円(15年度)
■原子力発電
米国などでの新規案件の獲得目指す。安全性を高めた次世代小型炉を拡販 1兆円(17年度)
■パワーエレクトロニクス・電気自動車
小型で効率の良い新型モーターを年内に発売。自動車、鉄道、バスなどで採用拡大 8000億円(15年度)
■ストレージ関連
HDDとフラッシュメモリー技術を組み合わせた新製品で市場を開拓 8500億円(15年度)
■リテール
IBMからPOS事業を買収。飲食店、ホテルなど店舗向けに事業を加速 4000億円(15年度)
■デジタルプロダクツ
テレビの国内生産を終了。ソフトウエアなどコンテンツ分野で収益を改善 2000億円(15年度)
 
テレビ事業の今後を巡っては、日立製作所も国内生産から撤退する方針を示している。東芝は今後、効率化と新興国向けの販売拡大などを通じてテレビ事業の黒字化を目指す。

テレビを単体で売り込むだけではなく、家庭での省電力システムやネットワーク経由で情報システムを利用するクラウドサービス用の端末として活用する戦略だ。

また福島の原発事故の影響を受けた原子力事業に関しては、国内での受注は依然見込めないものの、米国や中国での建設計画が進展していることなどを踏まえ、2年先送りすれば目標の達成は可能と判断した。

一方、成長戦略の柱には再生可能エネルギーや省電力システムを活用した環境配慮型都市「スマートコミュニティ」の関連事業とクラウド関連を含む外部記憶装置(ストレージ)事業を据えた。

韓国、中国メーカーとの競合が激しい一般消費者向けの製品から、企業向けへと事業の軸足を移し収益体質を強化する。

14年度に連結売上高は11年度比28%増の7兆8千億円、営業利益は約2.2倍の4500億円を目指す。』

上記記事では、東芝と日立製作所の両社がテレビの国内生産から撤退することについて触れています。

この国内生産終了を話題として取り上げていますが、両社はもっと早く生産終了を決めて行う必要がありました。

国内では液晶テレビの販売需要が落ち込み、且つ、汎用化したため海外企業の攻勢により価格下落が続いてきました。

その結果、どの国内企業も収益を確保できない状態に陥っています。収益を稼げない製品の国内生産をもっと早期に終了しておくべきでした。

東芝や日立は、パナソニック、ソニー、シャープなどの他の家電メーカーよりもいち早く合理化を始め、環境対応や社会システムなどの新成長分野に事業の軸足を移しつつあり、両社とも利益を出しています。

しかし、テレビ事業の収益改善努力は遅いと判断します。国内生産をもっと早期に終了し、赤字の要因を徹底的になくしておく必要がありました。

東芝や日立が強化している事業分野は、世界的に成長しており潜在力もありますが、海外には競合他社が存在しており、簡単に勝ち組に入ることは出来ません。

両社とも、この新分野に優先的に経営資源を投入しないと、世界企業との競争に負けるリスクがあります。

例えば、韓国企業と国内企業間の経営方式で決定的な差の一つが、意思決定と実行のスピードです。また、欧米企業は得意分野に集中投資して、競争力を高めています。

東芝と日立には、新成長分野へ更に集中・特化して、世界ナンバーワン企業になることを強く期待します。

そのためには、赤字事業に対しては、徹底的に合理化し黒字転換するか、見込みがないなら撤退すべきです。

昨日の会見で東芝は、テレビ事業からの徹底は考えていないと表明しています。テレビは電機メーカーにとって家庭向け(一般消費者)に対する企業の顔として重要だとの認識です。ソニーやパナソニックも同じような見方をテレビにしています。

もしそうであるなら、テレビ事業は少なくとも、赤字を出さないような工夫(海外生産や台湾メーカーなどへの生産委託など)を徹底して行う必要があります。

黒字化の見込を立てられなければ撤退すべきです。撤退しないまでも、企業の顔として必要ならハードウエアは全てOEM供給品として、ソフトウエアや関連商品などで付加価値を取るやり方もあります。

東芝は経営の方向性について「韓国、中国メーカーとの競合が激しい一般消費者向けの製品から、企業向けへと事業の軸足を移し収益体質を強化する。」としています。

東芝が企業向け(BtoB)事業に軸足を向けるのであれば、一般消費者向け事業(BtoC)の扱いについてもっとシンプルにして明確化した方が集中と選択の効果がもっと発揮されるとみます。

IBMがノートパソコンを事業売却し、BtoBのソフトウエア事業に集中しているやり方が一つの参考事例になります。

東芝の今後の展開に注目しつつ、徹底した集中化で世界ナンバーワン企業になることを期待します。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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