日経記事;"ソニーとパナソニック、有機ELテレビで提携交渉"考察 - アライアンス・事業提携 - 専門家プロファイル

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日経記事;"ソニーとパナソニック、有機ELテレビで提携交渉"考察

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皆様、
おはようございます。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

5月15日付の日経新聞に、『ソニーとパナソニック、有機ELテレビで提携交渉 韓国勢に対抗、共同生産も視野』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。
 
記事の主な内容は以下の通りです。

『ソニーとパナソニックは、次世代テレビの本命とされる有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)テレビ事業で提携交渉に入った。液晶より高精細で消費電力の少ない有機ELパネルの技術を持ち寄り、大型パネルの早期量産に向け協力する。

実現すれば世界を舞台に激しく競ってきたソニーとパナソニックが主力事業で提携する初のケースとなる。韓国企業に液晶テレビなどでシェアを奪われ、苦境に陥っている日本の電機産業の転換点となりそうだ。

韓国のサムスン電子とLG電子の2社は、年内にそれぞれ55型の有機ELテレビを発売する計画を進めている。

ソニーとパナソニックはともに2015年度までの事業化を目指している。提携により開発期間を短縮し、量産時期の前倒しを狙う。研究開発費の削減にもつながるとみている。すでに幹部が交渉を始めており、今後詳細を詰める。有機ELテレビの共同生産に発展する可能性もある。

ソニーは07年に世界に先駆けて11型の有機ELテレビを発売したが20万円と高価だったこともあり人気が出ず、国内販売を中止した。現在は25型などの業務用モニターを生産している。発光する有機材料を高温で気化させパネルに吹き付ける「蒸着方式」と呼ばれる生産技術に定評がある。

一方のパナソニックは、印刷技術を応用して有機材料をパネルに塗布する生産方式を開発中。実現すれば大がかりな設備が要らず、有機ELパネルの生産コストをサムスンなどの方式に比べて最大で半減できる。約300億円を投じて年内にも姫路工場(兵庫県姫路市)に実証ラインをつくる。

ソニーとパナソニックはそれぞれが得意とする技術を持ち寄ることで、韓国2社より低コストで不良品が少なくて済む生産方式の確立を目指す。ソニーは台湾の友達光電(AUO)と有機ELテレビの量産に向けた技術開発を進めており、台湾など海外での共同生産に発展する可能性もある。

サムスンが年内に発売する55型の有機ELテレビは75万円以上と、通常の液晶テレビの2倍以上になる。米ディスプレイサーチによると世界の有機ELテレビ市場は15年に500万台、71億ドル(約5600億円)になる見通し。

ブラウン管テレビで世界最大手だったソニーは、液晶パネルの開発で出遅れ、05年からサムスンとパネルの合弁生産を始めた。だがテレビ事業の営業赤字は12年3月期までの8年間で計6000億円以上に達した。プラズマや液晶パネルで国内に大型工場を建設したパナソニックも、12年3月期のテレビ事業は1000億円以上の営業赤字となった。

ソニーとパナソニックの幹部は、次世代テレビで先行する韓国勢を追い上げるには協業が必要とみている。ただ今後の交渉は曲折も予想される。』

液晶テレビは、汎用化し普及した結果、国内では売値を下げても売れない状況が続いています。そこに韓国勢がシェア拡大を狙って更に値下げを行う悪循環に陥っています。

これから本格展開される有機ELテレビも、このまま韓国勢に先行され続けると液晶テレビと同じ状況になります。

パナソニックは、新社長のもとで、白物家電と蓄電池を核にした家庭向け環境事業を主力とする方向性を打ち出しています。

ソニーの場合は、スマホなどを含めた電子端末機器とインターネットを融合したような事業領域を柱にする方向性だと理解していますが、現時点でははっきりしていません。

今回、ソニーとパナソニックが有機ELテレビで協業するとなれば、両社は共にこのテレビ事業を主力の一つにすることを意味しています。

事業提携を行う場合、成功させるための幾つかの基本ルールがあります。幾つか重要なルールがある中で最も重要なことは、「勝者連合」となる組み合わせです。

「勝者連合」という意味は、世界市場でソニーとパナソニックでトップシェアを取るように動くことです。単に開発費とか製造費を下げるなどの目的で提携しても有機EL事業では大きな果実を取ることは出来ません。

韓国などの海外勢もすでに国内企業の技術エッセンスを手に入れており、改良を加えながら販売数量の増加による量産効果で低価格化を行ってくることははっきりしています。

家電の大手同業他社であり、今まで激しく競合してきたソニーとパナソニックがこれに立ち向かって行くには、中途半端な提携で協業すると海外企業に負けて大やけどをおうことになるリスクがあります。

世界市場で」勝者連合」になるには、開発、設計、生産、販売のあらゆる分野でお互いの強みを持ち寄って、世界ナンバーワンとなるための協業体制が必要です。

今までの電機業界の提携は、開発期間の短縮やコストダウンのために部分的な協業を行いながら、他の分野では激しい競争を行うのが通例でした。

しかし、有機EL事業も今までと同じ提携のやり方を行うと、サムスンやLGなどに負ける可能性があります。

国内電機メーカーは、自社技術の深化による差別化・差異化を行いながら、垂直統合方式での事業展開を行ってきました。

しかし、パソコンやスマホなどに代表されるデジタル機器は、必要部品やソフトウエアを入手出来れば誰でも製品化できる特徴があります。

液晶テレビもデジタル機器ですし、有機ELテレビも同じです。

このデジタル機器を主力事業として行っていくには、水平分業方式で他社との提携・アライアンスを上手く行いながら、お互いに補完し合っていくやり方でないと、国内企業は海外勢に勝てない状況になっています。

お互いが持っているコア技術を開示・共有化して、同等な立場で有機ELテレビ事業の世界シェアナンバーワンを取るための「Win/Win」関係が構築出来れば、ソニーとパナソニックは共に勝者になれる可能性が高くなります。

この観点からみますと、国内自動車企業は海外企業と巧みに提携してお互いに補完しながら、強みを最大化するやり方を取っています。自動車企業の提携は、両社にとっても大変参考になるアライアンスのやり方です。

両社は提携の効力を最大限発揮して、お互いの強みを持ち寄って有機ELテレビ事業のナンバーワンになることを期待します。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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