- 寺崎 芳紀
- 株式会社アースソリューション 代表取締役
- 東京都
- 経営コンサルタント
-
03-5858-9916
対象:経営コンサルティング
- 戸村 智憲
- (経営コンサルタント ジャーナリスト 講師)
こんにちは!株式会社アースソリューションの寺崎でございます。
さて、前回「介護老人保健施設の現状」について、書かせていただきました。今回はその2回目です。
老人保健施設は、他の施設と違う点が、いくつかあります。
その中で、今回は「医療の取り扱い方」について解説致します。
①「医師」の存在
ご承知の方も多いと思いますが、老健には施設長(管理者)に「医師」が就任します。老健には、必ず医師が常駐しているということになります。老健では、医師が医学的管理を行い、リハビリも栄養管理も医療行為も、基本的にはすべて「医師の指示」のもとで行われるということになるのです。
いわゆる介護施設で、医師が常駐している施設は、老健しかありません(介護療養型医療施設もありますが、これは病院に括られるため、あえて外します)。
②薬の処方
前述の通り、老健には医師が常駐しているため、薬の処方は基本的に施設医師が行います。一部の例外を除き、薬の処方は施設内で行われるのです(しかも、老健には「薬剤師」も配置されます)。
要は、医療保険を使って処方していただくことが、原則できないということです。ちなみに、薬に関する費用は、介護報酬にて賄われ、「薬代」として利用者に請求することはできません(一部の例外はあります)。
③医療機関への受診
くどいようですが、老健には医師の配置が義務付けられており、施設医師が医学的管理を行います。従って、施設入所者の主治医とも言えます。
もし、入所者様がご入所中に体調を崩したり等で、医療機関への受診の必要性が生じた場合、その必要性を判断するのは、主治医たる施設医師です。医学的管理上、専門医への受診が必要と判断された場合に、外来受診をすることになるのです。これを「他科受診」と言います。
救急搬送を要請する場合も、基本的には同様です。
その場合は、施設医師が「診療情報提供書」を必ず発行し、専門医に提出しなければなりません。
ここで問題になるのが、前述②と同様に「医療費の負担」です。
老健の場合、外来受診をする際にかかった費用は、一部を除き施設が負担しなければならないルールがあります。しかも、施設負担を要する場合、医療保険が適用されないのです。要するに、医療保険が使えない診療の場合は、かかった分の全額を施設が負担することになるのです。
こんなルール、例えば特別養護老人ホームや有料老人ホーム等では存在しません。老健だけに課されたルールです。
あまりに複雑過ぎて、ご家族レベルではなかなか理解できないのが現状です。老健入所中の方のご家族は、他科受診の同行された際に、誤って保険診療で支払いをしてしまい、慌てて老健職員が病院に出向いて精算をする、なんてことがあるのです。
老人保健施設の現状について、まずひとつご理解いただけましたでしょうか?
次回は、「入所受け入れ基準」についてお話します。
このコラムの執筆専門家
- 寺崎 芳紀
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- 株式会社アースソリューション 代表取締役
介護事業所の開設から運営まで、オールワンでお手伝いいたします
有料老人ホーム施設長・訪問・通所介護管理者・老健相談員、事業所開発等の経験を活かし、2007年7月に弊社を設立しました。介護施設紹介サービスをはじめ、介護事業所の開設・運営支援等を行い、最近では介護関連の執筆活動にも力を入れております。
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