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日経記事;"エルピーダ,米マイクロンが買収へ 3000億円支援"考察

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皆様、おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

5月6日付の日経新聞に、『エルピーダ、米マイクロンが買収へ 3000億円支援』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『会社更生手続き中のエルピーダメモリは5日、米半導体大手マイクロン・テクノロジーを支援企業にする方針を固めた。

マイクロンによるエルピーダの買収額は2千億円超、設備投資の肩代わり分を含めた支援総額は3千億円弱になる見通し。日本政府が公的資金を投じていったん救済したエルピーダは、経営破綻を経て外資の手に渡ることになる。

日本の電機業界から、かつて日本勢が世界を席巻したDRAMメーカーが消える。

エルピーダは6日に幹部会議を開き、マイクロンを支援企業に選定する方針を決定する。事業再建の実現性が高いと東京地裁が判断すれば、エルピーダが再生に向けた具体的な協議に入る。8月21日が提出期限の更生計画案の柱とする。

マイクロンの提案ではエルピーダを完全子会社化し、グループのDRAM事業の運営を任せる方針。主力の広島工場(広島県東広島市)と子会社の秋田エルピーダメモリ(秋田市)、台湾の端晶電子の3拠点は開発と生産を維持し、当面、従業員の削減はしない。

エルピーダが4日に実施した2次入札では、中国ホニーキャピタルと米国TPGキャピタルのファンド連合も応札した。

同連合が提示した買収額は2千億円超でほぼ同じだが、半導体事業で相乗りが期待できるマイクロンの提案が優れていると判断した。

マイクロンはDRAM世界4位。3位のエルピーダを買収することで、韓国のSKハイニックスを抜き2位に浮上する。

エルピーダは1999年の設立。日立製作所とNEC、三菱電機がDRAM事を統合し、国内唯一のDRAM専業となった。

リーマン・ショック後に業績が悪化し、2009年に政府による公的資金300億円の注入を受けた。だが歴史的な円高とDRAM価格の急落で赤字が続き、今年2月に会社更生法適用を申請した。

負債総額は国内製造業として過去最大の約4480億円にのぼった。』

エルピーダについては、本ブログ・コラムで何回か取り上げて考えを述べてきました。

DRAMはパソコンやサーバーを支える主要部品ですが、パソコンなどの景気変動により大きく価格が乱高下する厄介なものです。

最近、スマホやタブレット型パソコンの急速な普及で、従来のパソコンは情報端末機器としての主役の座を明け渡しつあります。

世界市場でみて、パソコンの出荷台数の伸びは、大幅に鈍化しています。DRAM事業の厳しさは、パソコンのおかれた事業環境から今後大幅な市場拡大を見込めない中での、勝ち残りをかけた戦いにあります。

従来型パソコンは、情報創造・発信用機器として必要なものでありますので、タブレット型パソコンが普及しても、一定の需要が存在し続けるとみられています。

つまり、DRAMの需要は残ります。この成熟したDRAM市場で勝ち残れれば、ほとんどの競合他社の脱落後、「残存者利益」を安定的に確保できます。

現在まで、サムスン、SKハイニックス、エルピーダ、マイクロンなどのメーカーが勝ち残りをかけてし烈な競走を戦ってきました。そして、今回、エルピーダがこの競争状態から脱落しました。

米IHSアイサプライ調査結果によりますと、2011年度のDRAMの世界シェアは以下のようになります。

・韓国サムスン;42.16%
・韓国SKハイニックス;22.96%
・エルピーダ;13.14%
・マイクロン;11.63%
・台湾南亜技研;4.02%、など

現時点では、サムスンの一人勝ちになっており、このままのシェアが維持されて競合他社が脱落していくと、残存企業はサムスン1社になる可能性があります。

このサムスンでさえ、DRAM価格の下落は止まらない状況下では、2011年度に唯一黒字を達成したとされていますが、フラッシュメモリの利益で収益を確保する状態とみられています。

2011年度のエルピーダとマイクロンのシェアを合計すると、24.77%となり、SKハイニックスを上回ります。それでもサムスンの半分弱のシェアです。

パソコンの進化と共にDRAMも最新技術を取り入れてより高性能・高機能を持つものを提供し続ける必要があります。

価格が市場動向で乱降下する成長市場・事業では、圧倒的なナンバーワン企業になることが重要です。

現在のDRAMの顧客は、NAND型フラッシュメモリーを扱っている企業からの購入を行う傾向があります。これは一括して購入した方が安いことと、購入行為をまとめて行えるためです。

その観点からみますと、サムスンはDRAMとNAND型フラッシュメモリーの両方を持っていますので有利な状況におかれています。

マイクロンもサムスンと同じように、DRAMとNAND型フラッシュメモリーの両方を扱っており、エルピーダの買収によりDRAMの商品群が増えますので、サムスンとの競争に打ち勝ちやすい環境になります。

マイクロソフトは、今年中に新しいパソコンOSであるWindows8をリリースしますので、当該OSを搭載したパソコンが、今年後半に数多く商品化され、販売されます。DRAMの出荷数量も増加します。今年はDRAMメーカーにとっては追い風が吹く可能性があります。

昨年後半から今年初めにかけて、エルピーダは生き残るため、マイクロンとの提携を模索していました。しかし、当時のマイクロンCEOが航空機事故で急死するなどの要因があり、この提携は実現しませんでした。

提携ではありませんが、エルピーダがマイクロンに買収されますので、上記追い風も取り込んで買収後の相乗効果を最大化して、サムスンとの競争に打ち勝つことが求められます。

サムソンは豊富な資金量と技術力があります。新マイクロンは、DRAM事業でサムスンより大きなシェアを取れないにしても、最低限、サムスンとほぼ肩を並べるようになるまでの事業規模にする必要があります。

マイクロンとエルピーダ連合の対サムスン対応策を注目していきます。中小企業にとっても、成長が鈍化した成熟市場・事業での勝ち残り策を考える上での参考事例になります。

今後、新マイクロンの動きに注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁

 

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