日経記事;"川崎重工,ブラジルで造船合弁 資源大手に掘削船"考察 - 海外展開 - 専門家プロファイル

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日経記事;"川崎重工,ブラジルで造船合弁 資源大手に掘削船"考察

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皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

5月5日付の日経新聞に、『川崎重工、ブラジルで造船合弁 資源大手に掘削船』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『川崎重工業は船舶の建造でブラジルに進出する。年内に現地企業との合弁で、約900億円を投じる大型造船所の建設計画に参加。

石油や天然ガスを掘る資源掘削船を生産し海底エネルギー開発を進めるブラジル資源大手に供給する。

日本の造船大手は円高などで韓国・中国勢に受注を奪われている。特殊技術の必要な船を需要地近くで生産してコスト競争力を高める。

ブラジルの造船会社「エスタレーロ・エンセアーダ・ド・パラグワス」に段階的に30%を出資することで基本合意した。

同社はオデブレヒトなど現地のゼネコン大手3社が設立した企業で、ブラジル北東部のバイア州に2014年の稼働を目指して造船所を新設する。

川崎重工は造船所の建設から事業に加わり、実際の船舶の生産に対しても生産技術や開発ノウハウを提供する。

エネルギー開発の初期の段階で使う資源掘削船を製造。すでにブラジル国営石油会社ペトロブラス向けの受注を獲得しているという。川崎重工の出資額は20億~30億円になる見通しだ。

日本の造船会社は円高などが響き、世界の受注競争で韓国と中国のメーカーに競り負ける状況が続いている。

日本は10年比35%減の771万総トン。韓国(2520万総トン)中国(1544万総トン)に次ぐ3位で、その差は年々広がっている。

川崎重工は日本の造船大手で唯一海外に造船所を持ち、中国の江蘇省などで汎用船を生産してきた。ブラジルは日本、中国に次ぐ第3の生産拠点となるが、従来は国内のみだった高性能船を生産し需要を確実に取り込む。

ブラジルには韓国・中国メーカーも造船所を現時点で持たず、川崎重工が先行進出する形になる。

ブラジルでは海底の地下深くで油田が相次ぎ発見されており、今後、資源開発に使う専用船の需要が急増するとみられている。

川崎重工などが建造する資源掘削船は、船を海上で安定させ水面から5000~7000メートル以上の深さの海底油田を探鉱し、掘り出すまでの役割を担う。

川崎重工は船を安定させる制御技術などを供与し、掘削用のドリルには合弁先のゼネコン大手が持つノウハウも活用する。

資源開発に使う専用船は仕様や規模によって異なるが、1隻の価格が400億~500億円と高額で、40~50億円のコンテナ船(中型船)と比べて採算性が高い。』

昨日、日経記事;『日産・ルノー世界3位に 新興国攻略、布陣固まる』に関する考察 [アライアンスから期待する効果] のタイトルでブログ・コラム記事を書きました。

日産・ルノー連合は、新興国の現地企業とのアライアンスを巧みに行って、現地の要求仕様・機能・価格を満足する自動車を開発・製造して売るやり方で、新興国市場を開拓しています。

新興国市場での売上額は、国内メーカーの中で一番伸びています。GMやVWなどが先行して中国で行っているやり方を積極的に取り入れて自社の経営ノウハウとしました。

今回の記事にあります川崎重工も、ブラジルで現地メーカーに資本参加して、合弁の形でアライアンスを組み、進出しようとしています。

ブラジルでは複数の海底油田が発見されているとのこと。 海底油田の開発が成功すれば、石油資源の海外依存度が下がるだけでなく、石油輸出国になれる可能性もあります。

ブラジル政府も厚い支援を行うでしょうし、国レベルでの重要プロジェクトになります。川崎重工はこれらの点に目を付け、現地で新規需要が一気に高まる新資源掘削船開発と提供の事業に現地企業と組んでいくことを決めたのだとみています。

このやり方は、日産・ルノーと全く同じです。また、専用の資源掘削船は、高額で付加価値が高いため、川崎重工が持っているノウハウが価値を生み出すと共に、採算性も確保できます。

現地企業は、川崎重工が持つ高度なノウハウを蓄積できる機会が生まれます。

川崎重工と現地企業間に、両者にとって価値ある「Win/Win」関係が生まれます。当面この関係は維持できるとみます。ブラジルにとって石油開発は非常に重要なプロジェクトだからです。

川崎重工は記事にありますように、中国の江蘇省に日本の造船大手で唯一造船所を持ち、汎用船を供給しています。

このような事業環境が、川崎重工にブラジルでのアライアンスを決断させたと判断します。現地企業とのアライアンスで、海外市場開拓と投資リスクを軽減しながら、事業規模の拡大を狙います。

造船業界は、為替や人件費などのコストで優位に立つ韓国・中国勢に競り負けています。国内にだけとどまっていれば、記事にありますように残念ながら、国内メーカーの受注額は減る一方になります。

川崎重工以外の造船会社は、自社の強みを再確認し、差別化・差異化可能な技術を武器に海外市場開拓を考える時期に来ています。

例えば、今まで国内市場中心に事業展開してきた国内流通会社は、最近、相次いでアジアを中心とした新興国市場開拓に動いています。縮小する国内市場だけにとどまっていてはじり貧になるだけと判断したためです。

他の国内造船会社も川崎重工と同じように海外企業とのアライアンスなどを活用しながら、海外市場をどう確保・開拓していくか、考え・実行する必要があります。

すでに、三菱重工は11年末にインドの造船会社に高度技術の供与を決定しています。川崎重工の動きは、日産・ルノーと同じように注視し、そのやり方に効果を確認出来れば、自社にも取り込んでやってみる積極策も大事です。

一番いけないのは、「将来、今我慢していれば何とか好転するだろう」と何も考え、実行しないこと。

国内にのみ引きこもっていては、じり貧になるだけの可能性があります。理由の一つが造船業界のように、海外企業の実力が上がり、国内や海外市場で売上を伸ばしていることです。
何もしなければ、市場は海外勢に奪われるのみになるからです。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

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