- 若林 正昭
- 若林司法書士事務所 所長 認定司法書士
- 司法書士
対象:借金・債務整理
経済活動に金融はつきものである。
例えばレストランをオープンするとする。不動産契約の敷金礼金、内装、外装費用、調理器具、食器、宣伝など様々なお金がかかる。飲食事業者向けの専門誌によるとレストランの開業資金の平均額は740万円だそうだ。ほとんどの人が銀行からの借り入れと自己資金を合わせて開業にこぎ着けるらしい。10年以上営業を続ける人は僅か37%の厳しさ。6割以上が廃業に追い込まれる。
事業を営む為の資金投入は投資行為である。投入した資金以上の利益を後に得ることを目論んで資金を投入する。この投資資金を得る行為を資金調達という。銀行からお金を借りることは資金調達となる。
資本主義の要諦は調達した資金は貸した側に取ってはリスクマネーであるという点にある。会社の経営者は会社が倒産した場合、資本金以上に返済負担を求められない、ことこそが資本主義の資本主義たる所以のはずだ。従って経営者の個人保証という制度は資本主義の精神に反している。限定責任の株式会社をそもそも否定する行為である。
日本の法体系、特に会社法は資本主義の精神で貫かれている。会社が借金を返せなくなり、倒産しても資本金以上は株主の責任ではない。中小企業の多くは株主が社長をかねている。この場合の株主=社長は倒産後は借金返済の義務はない。このことは法律で定められているのだから道義的にも責任はない。
自己破産という制度はこのような限定責任という考え方の延長線上にある、法律が用意したセーフティネットである。恥じることなく利用したい。
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