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日経記事;"アサヒ,カルピスを買収へ 味の素から1000億円で"考察

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皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。
 
4月27日付の日経新聞に、『アサヒ、カルピスを買収へ 味の素から1000億円で』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『アサヒグループホールディングスが飲料大手のカルピスを買収する方向で、カルピスの親会社である味の素と最終調整に入ったことが26日、明らかになった。買収額は1000億円程度に上るとみられ、国内の飲料業界再編では最大規模。

アサヒは戦略分野である飲料事業を強化。味の素は売却資金をM&Aなどさらなる成長投資に振り向ける見通しだ。

アサヒの飲料事業は現在、国内シェア9.9%で4位。カルピス買収により3位(12.4%)に浮上する。

飲料業界では2011年3月、サッポロホールディングスがポッカコーポレーションを子会社化。国内ビール市場の成熟を背景に、資金力のあるビール大手を中核とした飲料業界の再編が加速してきた。

5月にも合意する可能性がある。アサヒグループのアサヒ飲料はすでにカルピスと自動販売機事業で提携している。今回の買収によって、カルピスの乳酸菌飲料での高いブランド力を取り込む。カルピスは縮小する国内市場で、アサヒの販路活用などによるテコ入れ効果も期待できる。

アサヒの飲料事業は12年12月期の売上高が3427億円、営業利益は165億円の見通し。カルピスは売上高が1106億円、営業利益が45億円(11年3月期単独実績ベース)。単純合算すると売上高で4500億円、営業利益で200億円を超える。

カルピスは都内などに多額の不動産を保有しているため、この分が買収総額を押し上げている面もある。

アサヒは15年を最終年度とする長期ビジョンで売上高2兆~2兆5000億円を掲げ、M&Aによる事業拡大を推進中。オーストラリアなど海外での買収に加え、国内でも飲料や食品事業の強化を課題と位置づけている。

今回の買収は非ビール事業の成長戦略を強化したいアサヒと、本業の調味料分野に集中するとともに、資金力を強化し買収などで海外事業の一段の強化を図りたい味の素の思惑が一致した。

味の素は14年3月期までの3カ年中期経営計画で、経営効率の向上を目標に掲げており、食品事業では世界的に強みのある調味料分野に経営資源を集中させる考え。

また同中計期間中に3000億円のM&A投資枠も設けており、カルピス売却で得た資金を将来の成長投資に振り向ける意図があるとみられる。

国内飲料業界は現在、コカ・コーラグループとサントリー食品インターナショナルの2強があわせて過半数のシェアを握る。伊藤園やキリンビバレッジ、アサヒ飲料が10%前後のシェアでそれに続いているが、今回の買収によりアサヒが一歩抜けだし、2強を追う位置につける。』

今まで、飲料事業は、約1.3億人の人口と一定の購買力で支えられてきたため、国内市場中心で売上と利益を稼ぐことが出来てきました。他の業界と同様に数社の事業会社の存続も可能な状況でした。

しかし、国内市場は人口減少と経済低迷で縮小傾向に入っています。特に人口減少は今後の国内市場の縮小化に直接つながります。日本の人口は、このまま何の対策をしないと、毎年15万人~20万人減っていくとされています。

飲料事業のように、典型的な国内産業中心であった業界は、人口減少の影響をもろに受けます。そこで、サントリー、アサヒ、キリンなどの国内企業が取った事業方針は以下のものでした。

一つは、国内市場でのシェアを多く取り、残存者利益を出せるようにする。人口減になっても飲料水自体に対する需要はありますので、他社のシェアを取れば勝ち残れます。

もう一つは、海外市場の開拓です。欧米、新興国、新・新興国などに巨大な市場があります。

国内市場でのシェア拡大、及び、海外市場の開拓に有効な手段は、M&Aです。M&Aにより、短期間に買収した企業が持っている、商品や顧客・販路を入手できます。

M&Aを上手く活用できる企業が今後、飲料業界での勝ち残り組に入ると言っても過言ではありません。

その観点からみますと、サントリー、アサヒ、キリンなどの飲料企業は、M&Aを上手く活用して国内外で事業拡大を図ってきています。

かって国内企業は、欧米企業と比べると、M&Aに対して消極的で上手く活用できてないと言われてきましたが、隔世の感があります。

サントリー、アサヒ、キリンなどのアルコール飲料企業は、国内のアルコール事業に対する需要減小から、非アルコール事業の拡大を国内外で行うために積極的にM&Aを活用しています。

今回のアサヒによるカルピス買収は、非アルコール事業を拡大させたいアサヒと、コア事業である調味料分野に経営資源を集中させたい味の素と思惑が成立し、「Win/Win」の関係が成立したことにあります。

両社とも、各々飲料水分野と食品事業分野で国内シェアを高めながら、海外市場の開拓を積極的に進める狙いです。

味の素の場合、2014年までの3カ年計画で、3000億円のM&A資金枠を持っているとのこと。たくましさを感じます。

飲料水企業や食品企業は、積極的に海外市場の開拓を行う必要があります。縮小する国内市場中心に事業していると、企業業績は低迷するだけです。

新興国や新・新興国では、巨大な人口を有している国が多く存在しています。それらの国に合った飲料水や食品を提供すれば大きな事業機会を持てます。

M&Aを上手く活用しながら、関連企業を買収してその企業が持っている事業を丸ごと手に入れて拡大していきます。

M&Aは、他社を買収した後の組織融合の可否が成果を左右します。今までの飲料水や食品業界の動きをみていますと、総じてM&Aを上手く使いこなしています。

代表例の一つは、対象業界は少々異なりますが、JT(日本たばこ産業)があります。縮小一方のたばこ事業からの脱却を図るため、経営の多角化と海外市場開拓をM&Aを上手く使って行っています、医療器具や医科向け医薬品、加工食品や清涼飲料水などの製造も手がけています。

内需型中小企業が新規事業立上や海外市場開拓を行う場合でも、上記のようにM&Aは有効な手段の一つです。資金面からM&Aを活用できない企業や、買収後の組織融合に困難さを感じている場合、連携・提携を上手く使って事業拡大する方法もあります。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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