日経記事;"トヨタ、「少量でも安くできる」先端技術を公開 "考察 - 海外展開 - 専門家プロファイル

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日経記事;"トヨタ、「少量でも安くできる」先端技術を公開 "考察

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皆様、
おはようございます。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

4月25日dy家の日経新聞に、『トヨタ、「少量でも安くできる」先端技術を公開 匠の技能とコンピューター技術を融合』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『トヨタ自動車は24日、愛知県豊田市の元町工場で、最先端の生産技術を報道陣に公開した。少量生産でも低コストを実現して競争力を高める戦略の一環。

国内外の需要変動に柔軟に対応できる最終組み立てラインの概要を明らかにした。匠(たくみ)の技能とコンピューター解析技術を融合させ、生産技術を進化させる取り組みも説明した。

トヨタは2008年秋の金融危機後、急激な需要減に対応できなかった反省から、工場内をシンプルで汎用性の高い生産設備に変える方針を掲げている。

最新技術の導入により金融危機前に比べ「(生産設備関連で)4割の投資を削減」(新美篤志副社長)しても、従来と同じ成果が出る設備を目指している。

最終組み立てラインでは、生産ラインの長さを自由に変更できる仕組みを説明した。つり式のコンベヤーをなくしたことで、組み立てに使う各種装置の位置を自由に変えられるようになった。「週末などに車種の変更やラインの長さを手軽に変更できる」(担当者)

車両生産子会社、セントラル自動車の宮城工場(宮城県大衡村)や米ミシシッピ工場に導入済みで、実績を積んでいる。

今年前半に稼働する中国・長春の新工場や、今年後半に稼働するブラジルの新工場にも導入し、新興国市場で先行しているライバルに対抗する。

生産技術の改善では、クランクシャフトを鍛造する際、材料に一定のねじれを加えてから加工することで、製品に使われずムダになる材料の比率が従来の3割から1割に減るという。

効果的なねじれ具合を熟練技術者に考案してもらったうえで、コンピューター解析を使ってねじれ加工を自動化する手法を開発、今夏から国内外の鍛造工場に導入する。

シリンダーブロックのダイカスト(アルミ鋳造)工程では、金型の重量を29トンから5トンに減らした。

アルミの注入方法や添加剤の工夫により軽量化を実現。投資額が7割減ったほか、金型の交換作業が簡単になり、作業の安全性も高まった。

新美副社長は「新技術を日本から生むためにも国内生産300万台は必要」としたうえで、「大量に安くつくるのは当たり前。少量でも安くつくる技術に強みを持ちたい」と話した。』

この記事によると、トヨタは「新技術を日本から生むためにも国内生産300万台は必要」との判断のもとに、少量でも安くつくる技術を開発し、国内工場に展開しています。

また、日産自は常々国内で100万台の生産を確保する旨、表明しています。自動車業界の2大メーカーが国内生産維持を鮮明化して、それぞれ独自のやり方でコストダウンや付加価値の向上を行っています。

今回、トヨタは最先端の生産技術を公開しました。私も以前工場経営支援を行った経験があります。その経験も含めてトヨタの公開技術やノウハウをみますと、さすが「カイゼン」の総本山企業であると感じました。

一言で言いますとトヨタの動きは堅実でありたくましさを感じます。日産自も同じような創意工夫でコスト圧縮や付加価値向上を行っているとみます。

ここに国内自動車業界の力強さがあります。トヨタは中国を含む新興国での現地生産化で日産自や欧米企業などの他社に後れを取りましたが、最近積極的にハイブリッド車(HV)の開発・製造拠点を中国内に設置する動きをみせています。

トヨタや日産自、或いはホンダなどの国内自動車メーカーは、国内と海外各拠点で最適な生産方式を決めて実行しつつあると判断します。最先端技術や開発要素は、国内の開発拠点や工場におくやり方です。

そのためには国内需要以上の自動車生産台数を国内工場で作り輸出出来る、事業構造もつくる必要があります。それを各社が考え、実行しています。

他の業界でも国内生産でコストダウンや付加価値向上で海外工場に負けないものづくりをしている企業が多くなっています。

何度か、本ブログ・コラムで書きました様に、日本ヒューレット・パッカード(HP)は、国内市場向けパソコン生産を中国から日本に移しました。

日本HPが何度かマスコミに提供した情報から、彼らにとって国内工場の人件費がパソコン全体に占める生産コストの割合は、実はそれほど高くなく、コスト面から問題になるのは輸送費のほうとしています。

中国工場で作っていた場合、HPはDELLなどと同じように、CTO(Configure To Order:注文仕様生産方式)のビジネスモデルを採用し、2000万通りを超える構成のパソコンを、納期を確定した上で受注しており、最短5営業日での納品が可能としているとのこと。

この短納期はDELLより短く、HPの差別化・差異化の一つになっています。

中国で作ると、こうした個別オーダー製品の短納期に対応するためには船便では間に合わず、航空便を使わざるを得なくなります。

長距離輸送では揺れによる梱包の傷みが発生することがあるため、国内で荷受けしてから梱包を入れ替えたり、製品が衝撃や温度変化によるダメージを受けていないか再検査を行うなど、無駄な費用がかかります。国内生産でこれらの問題を解決できるとしています。

NECの山形工場で作っている国内市場向け業務用パソコンも、色々な工夫をしてコストダウンと短納期を実現しています。

一方、同日付の日経新聞に、富士ゼロックスは労働者の賃金高騰から商業用の高速デジタル印刷機の生産を、中国から日本に移す方針であることを報じています。中国工場は、出荷台数の多い普及品の生産に特化し、日中で役割を分担するとのこと。

高機能製品や国内で生産した方が差別化・差異化につながる製品は国内でものづくりを行うという、柔軟な生産方式を国内企業が取り始めています。

大手企業がこのような動きを活発化しますと、中小企業の事業にも影響が出ます。各関連中小企業は大手の動きを見極めて行動することが重要です。

海外の販路開拓は必要ですが、やみくもに工場設置などの海外進出を始める前に周りの環境・状況を冷静にみて考えるステップが必要です。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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