日経記事;"JXエネ、独で家庭用燃料電池販売 価格5分の1"考察 - 海外展開 - 専門家プロファイル

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表
神奈川県
経営コンサルタント
専門家の皆様へ 専門家プロファイルでは、さまざまなジャンルの専門家を募集しています。
出展をご検討の方はお気軽にご請求ください。

日経記事;"JXエネ、独で家庭用燃料電池販売 価格5分の1"考察

- good

  1. 法人・ビジネス
  2. 新規事業・事業拡大
  3. 海外展開
経営戦略 海外展開

皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

4月20日付の日経新聞に、『JXエネ、独で家庭用燃料電池販売 価格5分の1、50万円に 新興国開拓も視野』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『JX日鉱日石エネルギーは2015年をメドにドイツで家庭用燃料電池事業に参入する。現地企業と組み、技術開発や量産効果で価格を従来型の5分の1の約50万円に下げた最新型を売り込む。

ブラジルなど新興国での販売も目指す。ガスから電気と熱を効率的に生み出す燃料電池は世界で日本勢が先行している。海外の市場はまだほとんどないが、同社は他社に先駆けて新市場を開拓、20年に10万台の海外販売を目指す。

発電効率の高さを生かしドイツ市場を攻略する
 
燃料電池は群馬県の子会社などで生産しており、11年度は国内で2100台を販売した。海外では韓国で11年から韓国ガス公社と実証実験を始め、13年にも現地で発売する。ドイツは海外で2カ国目。

ドイツは再生可能エネルギーの買い取り制度に積極的で、電気料金が上昇。燃料ガスのパイプライン整備も進んでおり、需要が多いとみている。今後、ブラジルやベトナムでの販売も目指す。

ドイツ西部の大学系企業「燃料電池開発センター(ZBT)」(デュイスブルク市)と、現地の需要に合わせた燃料電池開発のための実証実験を始めることで基本合意した。

地元の都市ガスの熱量変化や電気の使い方などを調べ、製品に反映させる。販売ルートの確保へ向けて、エネルギー会社やボイラー機器メーカーとの間で提携交渉も本格化させる。

ドイツで販売するのは従来型よりも発電効率が3割程度高い、最新型の固体酸化物型燃料電池(SOFC)。1台あれば一般的な家庭で7割の電力をまかなえる。

発電装置の主要部材の素材を見直したり、人手で組み立てているのを自動化することなどで、今の270万円から約50万円に引き下げる。ドイツだけでなく、日本も含む世界市場での価格にするとみられる。

ドイツの電気料金は1キロワット時あたり約24円なのに対し、都市ガスを電気換算すると同約7円と安い。余剰電力を電力会社に販売でき、燃料電池購入後に数年でもとが取れる見通し。20年に5万~6万台の販売をめざす。

ブラジルでは現地の液化石油ガス(LPG)販売2位のウルトラガスなどと、販売へ向けた調査を始めた。電線が通じていない家庭向けなどに、潜在的な需要は大きいとみている。ベトナムなどアジアでの販売も検討していく。

日本では09年にJXエネや東京ガス、大阪ガスなどが世界で初めて燃料電池を商品化した。11年度末で累計約2万台が普及している。

海外では韓国内で現地や米国系の企業が販売しているが、価格が日本勢の約2倍とされ、販売実績はごくわずか。世界では日本企業が圧倒的に先行している。』


家庭用燃料蓄電池は、国内では2009年より「エネファーム」の名称で販売開始されました、2011年末までに約2万台出荷されたとのこと。

家庭用燃料蓄電池の仕組みは、都市ガスなどに含まれる水素を取り出し、空気中の酸素と化学反応させる過程で、電気と熱を生みだします。この熱でお湯も作れます。

エネルギー利用効率は、火力発電所で作った電気を家庭で使う場合に比べ約2倍とされています。

このように家庭用燃料電池は、ガスの有効利用やCO2(二酸化炭素)削減の効果もあり、エネルギー利用効率も良いのに国内ではまだ2万台しか売れていません。

理由は「エネファーム」販売価格の高さです。大体250万円から300万円とされています。2011年10月3日~2012年1月31日まで、政府から1台あたり85万円(上限;消費税含む)の補助金が出されていましたが、これを使っても消費者は約200万円支払う必要があります。

この高価格では国内の家庭には普及しません。

JXエネは、国内の太陽光電池が中国の安い製品に押されている状況をみた上での判断かどうか判りませんが、家庭用燃料電池のコスト削減に向けて行動を起こしました。

JXエネが記事にありますように、家庭用燃料電池の販売価格を目標とする1台50万円まで下げられれば、市場環境は大きく異なってきます。

高くても良いものなら売れる時代ではなくなりつつあります。特に、今後は必ず世界市場を想定して事業を行う必要があり、新興国ではその国に合った仕様・機能・性能を持った製品でなければ売れません。

また、そのような対応をしないと、赤字を出しても販売し市場シェアを取る韓国や中国企業に席捲されてしまうリスクがあります。

現在の太陽光電池がその事例になります。技術で先行していても、技術流出で低価格で販売されれば国内企業は勝てません。

JXエネの動きは、国内企業が参考にすべき動きの一つなります。JXエネがドイツで1台50万円の家庭用燃料電池を売れば、電力会社から電気を買う場合に比べて競争力が出てきますので、一定の普及が見込まれます。

さらに、JXエネはブラジル開拓を進めようとしています。50万円より安い製品が必要になります。より低価格品の供給が可能になれば、ブラジルだけでなく他の新興国や新・新興国で販売が可能になります。

米国などでシェールガスの積極的な採掘が始まり、一般的なガス田から取れるガスを含めた天然ガスの供給量は飛躍的に高まる予想が出されています。

シェールガスを採掘するには、大量の水と化学物質を使うため、環境対応などの対策が必要になりますが、中東などからの石油依存度を下げたい米国の思惑もあって、当該ガスの採掘は積極的に行われるとみます。

天然ガスの供給量が増えると、ガスの販売価格は下がりますし安定することが期待されます。安いガスと、低価格の家庭用燃料電池が組み合わされれば、世界市場で当該製品が普及する可能性があります。

コア技術は国内に残して、有望な需要が見込める新興国で現地生産して製造コストの削減を図れれば、更に販売価格が下がる可能性があります。

販売数量が増えれば、量産効果でコスト削減が可能になりさらに価格を下げられることが期待できます。このポジティブスパイラルで国内を含めた世界市場で売れることになります。

韓国、中国勢に価格競争力で負けない事業の仕組み構築を大いに期待します。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

カテゴリ このコラムの執筆専門家

(神奈川県 / 経営コンサルタント)
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表

起業・企業存続の為の経営戦略立案・実行と、ビジネススキル向上

起業及び、事業拡大や経営合理化を目指す企業に対して経営コンサルを行います。大手メーカーで得た経験を活かし、補助金活用、アライアンスやM&A、市場分析に基づいた事業戦略策定・実行や事業再生を支援します。OJT研修でのビジネススキル向上を支援します。

カテゴリ 「経営戦略」のコラム

このコラムに類似したコラム