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日経記事;『トヨタ・東北大、東北で次世代車研究』に関する考察

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皆様、
おはようございます。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

4月15日付の日経新聞に、『トヨタ・東北大、東北で次世代車研究』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『トヨタ自動車と東北大学は共同で、電気自動車など次世代自動車関連の研究開発拠点を東北に設ける。電気バスや自動車向け高度情報サービスなど先端技術の開発施設を月内にも宮城県のソニー工場内に開設。

地元の中小企業を加えて将来の協力企業群を育てる。トヨタは東北を中部・九州に次ぐ国内第3の生産拠点と位置づけている。東日本大震災からの復興に向けて新産業の育成を目指す東北大と連携し、東北の事業基盤の充実につなげる。

小型ハイブリッド車(HV)「アクア」を岩手県で生産する子会社、関東自動車工業と、東北大の産学連携機関である「未来科学技術共同研究センター」が研究開発の中心になる。

トヨタが持つ自動車の設計や制御のノウハウに東北大の電気、情報通信、材料など各分野の先端技術を組み合わせる。研究成果の試作に地元企業が参画する。

研究開発拠点はソニーが仙台テクノロジーセンター(宮城県多賀城市)の事業縮小に伴って遊休施設を被災企業などに貸し出している「みやぎ復興パーク」内に設ける。

5000平方メートルの敷地に自動車の走行シミュレーターなど大型実験装置を導入するほか、ソニーの既存設備を活用する。研究員は数十人になる見込みだ。

電気自動車関連では車輪内蔵型モーターの性能向上や、プラグを差し込まずに充電できる非接触給電スタンドの開発に取り組む。電気バスを試作し、被災地の公共交通機関への活用に向けて試験運行もする計画。走行中の自動車が天候や渋滞の情報を自動的に発信し、他の車両に伝えるシステムの開発にも着手する。

工場の生産効率化では東北大のロボット技術を応用する考え。画像認識技術と高精度センサーを駆使して部品を搬送する機械が自律走行するシステムを開発。アクアを生産する関東自動車岩手工場(岩手県金ケ崎町)への導入を検討する。

トヨタは関東自動車と、宮城県に完成車工場を持つセントラル自動車、部品製造のトヨタ自動車東北(宮城県大和町)の3子会社を7月に合併し、トヨタ自動車東日本(同県大衡村)を発足させる。

東北を国内での小型車の生産拠点と位置づけ、企画から開発、生産まで一貫して手掛ける「重要な戦略会社」(新会社の社長に就任予定の白根武史トヨタ専務役員)にする。
 
ただ、東北で組み立てる完成車の部品の多くは現在、中部地区から運んでいる。コスト競争力のある小型車を生産するには東北での部品調達を拡大することが急務だ。

新設する研究開発拠点では東北大の力を借りながら、地元企業の技術力を磨く場にする。』

自動車産業は言うまでもなく現在の日本を支える大きな経済基盤になっています。トヨタは、国内自動車企業の中では最大手であり、世界市場ではゼネラル・モーターズ(GM)やフォルクス・ワーゲン(VW)とシェアナンバーワン獲得のための激しい競争を行っています。

今後の自動車産業にとって最も大きく、かつ、重要なのは環境対応車の開発・供給です。具体的には、HVであり、電気自動車(EV)、水素と酸素の化学反応で発電して走る燃料電池車となります。

かねてより、トヨタは上記次世代環境対応車の開発拠点を東北に設けると宣言してきました。今回の記事は、トヨタが具体的に動き始めることを示しています。東北にとっては大きな産業基盤が誕生することになります。

東北は、トヨタにとって、中部、九州に次ぐ第三番目の研究開発・生産拠点となります。生産の点では小型車の拠点と位置付けるとのこと。

日産自も東北に生産拠点を確保しており、東北が九州に次いで自動車産業の集積地になります。技術や関連部品産業が集積すると、研究開発のスピードが飛躍的に向上し、開発の効率化が進みます。

同地域内に、関連部品工場や車の組み立て工場があると、開発成果を部品メーカーや工場などと連携して、早期に具現化や検討を進められますので、自動車のように複雑な構造を持ち、多くの部品が使われる製品開発にはうってつけのやり方となります。

これが研究・産業集積の大きなメリットです。

HVやEVの販売台数は、世界市場で今後も増え続け、2020年には販売シェアが20%を超えるとみられています。この技術を持っているかどうかが、自動車メーカーにとっては今後の競争力を左右することになります。

国内企業では、トヨタ、日産自、ホンダ、三菱自などが独自に開発を進めています。ただ、EVやHVの開発には巨額の投資が必要なため、1社単独で行うには限界があります。

このため、自動車各社は、競合他社と連携して開発負担の軽減化と開発スピードの加速を行っています。

例えば、トヨタは2011年12月に独BMWと環境分野の技術提携で合意しており、EV、HVに使うリチウムイオン電池の開発で協力するとしています。日産自は、仏ルノーや独ダイムラーベンツとEVの共同開発を行っています。

これらの提携は、「Win/Win」の関係が成立しないと有効ではありません。お互いに自社固有の技術を持っており、それを補完しながら共同で効果的な技術開発を進められる相手先と組まなければ迅速な開発は実現しません。

この観点からみますと、トヨタは東北地区でHV、EV、水素と酸素の化学反応で発電して走る燃料電池車の独自時術の開発を促進し、その成果をもとに他社との連携で主導権を取って世界ナンバーワン企業としての足場固めを図る、このようなやり方がみえてきます。

トヨタ、日産自、ホンダなどが独自のやり方でHVやEVの開発にしのぎを削っており、今後の動きが注目されます。

なお、自動車産業の連携については、下記コラム・ブログで書いています。ご興味のある方はお読みください。

・日経記事;トヨタ,米フォードとHV共同開発で提携へ に関する考察(2011年8月23日)

・日経記事;トヨタ,環境分野で陣営作りBMWと提携交渉 に関する考察(2011年11月28日)

・日経記事;"復活ビッグスリー,国際再編狙う生き残り実利優先"考察( 2012年3月26日)

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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