- 和田 優輝
- 有限会社住吉木材工業 チーフ
- 岡山県
- 建築家
対象:住宅設計・構造
岡山県から発信する建築家・和田優輝です。
建築のプロデュース・設計・施工まで行なった、nap villageとは一体どんなプロジェクトだったのかのご紹介、今回は2回目。
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すでに土地環境に関して、イメージは膨らんでいました。職住一体とできるところ。周辺にあまり民家などがない方がいいかもしれない。岡山県の地図を開き客観的に距離などを読み解いたり、ぐるぐると感を働かせながらひたすらドライブ。更地も、古民家も、森も、海も見て歩きました。しかし、周辺環境や規模や水道や電気といったインフラ整備もちろん土地価格なども含めて考えていくと、なかなかイメージにあう土地が見つかりません。
探索する範囲を少し広げ、岡山市に隣接する吉備中央町へ。ようやく幾つかの候補になりそうな土地も見つかりはじめます。その中のひとつが、約20年ほど前に廃校になった分校跡地です。
敷地には沢も流れています。廃校は長い年月を耐えてきた趣があります。わたし自身、在学中にコンバージョンといって古い建物の用途変更をして継続的に使い続けている世界中の良い事例を調査していた経験などもあり、この廃校とnap様の新たな事務所がすぐに結びつきイメージができました。nap様とも相談し、可能性のある土地だろうという判断にいたりプランニングをはじめます。
山の敷地に分散しながら建つ建物郡。建物単体でなく、沢や山の起伏、校舎や校庭、山道も散策できるような環境全体が一体となって心地よいエリアをつくりたい。この時スケッチの片隅に「nap village」と名づけました。
一方この廃校跡地。土地建物は地元住民さんたちが管理し、廃校後も住民会館として使っていましたが、全国の例にもれず過疎化・高齢化が進むエリアです。地域社会の課題というのも数多く肌身をもって感じています。その後、地元住民さんや所有者である吉備中央町などとの折衝をつづけ、半年くらいの時間をかけようやくnapに所有権が移り、本格的な着工へと準備が進んでいきます。
これまで2回でお伝えした内容が、約1年分の出来事です。雲を掴むようなものとして敬遠する方も多いかもしれませんが、これは単なる企業の移転ではなくクリエイティブな社会活動になりつつ確かな手ごたえがあり、このnap village構想という大きな物語が多くの方の協力を得ながら、実現に向かって動き出しました。
次回は、いよいよ工事開始のお話…。
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地域の個性をデザインの力で引出し、心地よい暮らしをつくります。
FINELIFE PROJECT(ファインライフ プロジェクト)
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