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日経記事;"東芝・日立・ソニー統合会社、有機ELパネル参入"考察

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皆様、
こんにちは。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

4月3日付の日経新聞に、 『東芝・日立・ソニー統合会社、有機ELパネル参入スマホ向け、サムスン追撃』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『東芝、日立製作所、ソニーの3社と官民ファンドの産業革新機構が共同出資する中小型液晶パネルの新会社、ジャパンディスプレイ(東京・港)は2日、有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)パネル市場に参入する方針を明らかにした。

2013年度にもスマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)向け有機ELパネルの量産を始める。先行する韓国サムスングループを追撃する。

大塚周一社長が2日、新会社の発足会見を開き、有機ELパネルについて「13年度をメドに量産を始める」と表明した。日立製作所から取得した茂原工場(千葉県茂原市)に試験設備を設けて研究を進めている。12年度中にも製品のサンプルを通信機器メーカーなどに出荷し、受注につなげたい考え。

スマホ向けの有機ELパネルは現在、サムスングループのサムスンモバイルディスプレーだけが量産している。大塚社長は「パネルの高精細化や消費電力を抑えた新製品を開発し、明確に勝てる戦略でやっていきたい」と強調した。

記者会見後、大塚社長は新会社が量産する有機ELパネルの解像度について「(1インチ当たりの画素数で)300ppiを目指す」と語った。サムスン製の1.3倍にあたる。解像度を高めて差異化をはかる。

新会社の母体となった3社はこれまで単独で有機ELパネル技術の開発を進めてきた。ソニーは07年に世界初の11型の有機ELテレビを発売した。現在は放送局などで使う25型の有機ELモニターの生産を続けている。日立はキヤノンと08年以降、共同開発を進めてきた。東芝は有機ELパネルに使う電極材料を効率生産する技術を持つ。

3社は高い要素技術を持ちながら、既存の液晶パネル事業で赤字が続いた。財務基盤が弱く、多額の投資を必要とする有機ELの量産で出遅れる要因になった。3社は事業統合を機に、蓄積してきた技術を持ち寄れば高性能な有機ELが開発できると判断した。

今月1日に発足したジャパンディスプレイは中小型液晶パネルで20%超の世界シェアを持ち、首位。従業員は約6200人で、11年度の売上高(3社合計)は4500億円。資本金は2300億円。産業革新機構が2000億円を出資した。15年度に売上高で7500億円を目指す。

社長に就任した大塚氏は、かつて半導体大手のエルピーダメモリの最高執行責任者(COO)を務めた。』


上記記事は、東芝・日立・ソニーの3社が統合したジャパンディスプレイの経営方針について報じています。

中小型液晶パネルに関して、この3社のシェア合計は約20%になり、世界ナンバーワンです。

競合相手は、サムスンです。中小型液晶パネルはスマホに使われており、この分野はまだサムソンなどの韓国や台湾メーカーなどが大きなシェアを取っていません。

最大シェアといっても20%ですから、今後とも成長が続く中小型液晶パネル市場は、将来サムスンなどの競合他社に逆転されてしまう可能性があります。

ジャパンディスプレイが対サムスン対策で武器にしようとしているのが有機ELです。現在、サムスンのみがスマホ向有機ELを供給しています。有機ELのシェアは80%とのこと。

しかし、この有機ELはサムスンの自社用スマホのみに供給されています。供給能力が他社分まで回らないためです。

有機ELは、現在主流の液晶パネルに比べて省電力性や色再現性などの点で優位性があります。現在の課題は、高精細度の点で液晶パネルに劣っているとのこと。

ジャパンディスプレイは、サムスンの有機ELの1.3倍位の高精細度さを出して差別化・差異化を図る考えです。

中小型液晶パネルに関しては、現時点でどのメーカーも際立って優位なシェアを取っていません。

サムスンだけでなく中国の京東方科技集団(BOE)、台湾メーカーなどの他社も有機ELで、この中小型液晶パネル市場で優位性を出すべく、積極的な開発投資を行っています。

有機ELは、ソニーが世界で初めて開発に成功し業務用ディスプレイ以外では商品化しませんでした。理由は、大型のパネルにするには技術的難易度と巨額の開発投資を必要としたため、商品化を断念したと報じられました。

その後、サムスンは有機ELの技術を取得し、巨額の開発投資を行って有機ELを使った大型ディスプレイ商品を製造・供給しています。

この差は国内企業が集中と選択に手間取り、集中化して思い切った開発投資を行って来なかったことから来ています。

以前にもブログ・コラムで書きました通り、集中と選択の過程では、合理化によるコストダウンが優先されやすくなります。これは極論しますと、コストカットはどの経営者・経営幹部でも出来るからやり易いことによります。

集中と選択の本質は、「自社の強みを明確化し、その強みを最大限発揮できる分野に特化して新規事業を作り圧倒的なナンバーワン」になることです。

サムスンもかっては倒産の危機にありましたが、経営者の独断的な集中と選択を行って復活しました。

現在苦境にある国内家電メーカーに必要なことは、中小企業と同様に徹底した集中と選択で自社の事業コアの明確化とそこへの専業化です。

ジャパンディスプレイも同じです。大塚社長のもとで組織の一体化を行って出身母体に関係なく、迅速な意思決定と巨額の開発投資を含む行動を出来る体制にする必要があります。

世界企業が競争して有機ELの開発投資を行えば、画質向上は相当早く進みます。現時点ではジャパンディスプレイが技術的優位性を持っているとみていますので、早期に画質向上したものを市場に出し、売上拡大を図りながら、汎用製品になる前に圧倒的なシェアを取る必要があります。

同時に大幅なコストダウンで低価格化の実現が必要です。これは中国や台湾メーカーが得意とするやり方で、一旦高精細度品を作る技術を取得したら、大量生産による低価格化で市場を取りにきます。このやり方に対する対抗策です。

市場が成熟する前に少なくとも60%、今の3倍のシェアをとるようにすることが勝ち残る条件の一つです。

今後のジャパンディスプレイの動きに注目すると共に大いに期待します。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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