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日経記事;"エルピーダ,東芝とマイクロンの争奪戦に支援入札"考察

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皆様、
おはようございます。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

3月30日付の日経新聞に、『エルピーダ、東芝とマイクロンの争奪戦に 支援入札 近く1次締め切り』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。
 
『東芝は経営破綻したエルピーダメモリの支援企業を決める入札に参加する方針を固めた。半導体市場で勝ち残るには、エルピーダが持つ携帯情報端末向けのDRAMを製品として加える必要があると判断した。

米半導体大手、米マイクロン・テクノロジーも応札する。事実上、日米の半導体大手2社による争奪戦となる公算が大きい。

会社更生手続き中のエルピーダは、スポンサー選定のための第1次入札を近く締め切る。応札する企業は、エルピーダの技術資産やDRAMを生産する広島工場の価値を算定。再建後にどれだけの企業価値を高められるか、などの項目を盛り込んで買収提案する。

4月末の第2次入札を経て5月初旬にはスポンサー候補を1社に絞り込む。交渉がまとまればエルピーダを傘下に収める。

DRAM世界4位のマイクロンは昨年末からエルピーダと資本業務提携交渉を進めており、スポンサーの最有力候補とみられる。

買収後はエルピーダの最新技術をテコに赤字が続いているDRAM事業を立て直したい考え。両社はともに台湾に工場があり拠点集約を進めやすい。

東芝は多額の赤字を出したパソコン用DRAM事業から2002年に撤退し、マイクロンに主力の米国工場を譲渡した。デジタルカメラなどに使われるNAND型スラッシュメモリーに経営資源を集中してきた。

ただ情報端末などに搭載されるメモリーでは、NAND型フラッシュメモリーやDRAMなどをまとめて供給できる韓国サムスン電子などの総合メーカーが顧客を獲得しやすい状況になりつつある。

東芝はできるだけ自らの出資を抑えたい考えで、官民ファンドの企業再生支援機構に資金提供を求めることも検討している。

ほかに米インテルや台湾プラスチックグループなども応札する可能性がある。』

東芝が、エルピーダの支援企業入札に参加すると表明したことは意外でした。それは記事にありますように、多くの国内企業が赤字状態にありました半導体事業から2000年代の前半に撤退した中に東芝が含まれていたからです。

東芝は総合電機メーカーのカンバンを下ろす一環として、当時巨額の赤字に直面していたDRAM事業から撤退しました。その後は、NAND型フラッシュメモリー事業に特化してきたからです。

DRAMは産業界のコメの一つとしていわれていますが、パソコンなどの景気変動により大きく価格が乱高下する厄介な部品です。

しかも、製品の進化と共にDRAMも最新技術を取り入れてより高性能・高機能を持つものを提供し続ける必要があります。

しかし、DRAMの市場は決してなくなりません。使用する製品群の数が増えれば、当然のごとくDRAMの使用数量も拡大するからです。

価格が市場動向で乱降下する成長市場・事業では、圧倒的なナンバーワン企業になることが重要です。

例えば、DRAMeXchangeが2011年8月に発表しました調査報告書をみますと、2011年度の第2四半期では、サムスンが約40%のシェアをとり、続いて、韓国のハイニックスが20%強、エルピーダとマイクロンが共に10%強のシェアで3位、4位争いをしています。

エルピーダとマイクロンのシェアを足して、2位のハイニックスと同じです。マイクロンがエルピーダを買収した場合、両社の技術力・生産力でサムスンに対して勝つことが重要になります。

サムスンは豊富な資金を持っていますので、常に最新の技術開発を行い、市場をリードできる立場にあります。

エルピーダの坂本社長は、会社更生法の申請前はマイクロンとの提携を急いでいました。短期的には運転資金の確保などがありましたが、中期的には両社の協業でサムスンに勝つことを想定していたと推測します。

サムスンに勝つには、技術力と共に豊富な資金が必要です。

東芝がエルピーダの支援参加に名乗りを上げたのは、記事によるとNAND型フラッシュメモリー事業とのシナジー効果を狙っているようです。

DRAM事業に中途半端な形で参入すると、現在経営資源を集中しつつある環境事業へのマイナス効果が出る可能性があります。

東芝が、かって持っていた総合電機メーカーのカンバンを下ろしてから、環境事業への特化で効果を出しつつあります。

東芝がエルピーダの支援を行いながら、国内企業の連携でDRAM事業を行うのならばサムスンを打ち負かす開発・投資の青写真を持つこと、或いは、既に持っていることが重要です。

仮にサムスンより大きなシェアを取れないにしても、DRAM事業でサムスンとほぼ肩を並べるようになるまでの事業規模にする必要があります。

中小企業の場合には、大企業のような余力はありませんので、一極集中で完全に差別化・差異化できる分野で圧倒的なナンバーワンになることが勝ち残る条件になります。

大企業も家電業界のように、韓国や台湾企業との価格競争などで苦戦するところが多くなっています。

今は、多くの国内企業は多角化よりも専門分野に特化して当該事業分野でナンバーワン企業になり、市場をコントロールするやり方が必要です。

DRAM事業で、サムスンに勝つために有効な施策の一つとして、エルピーダの支援をマイクロンや東芝などの下位メーカーが中心になって連携して行い、状況次第では台湾メーカーも加えた連合体とするやり方があります。

このことは、2012年1月21日に書いたブログ・コラムでも述べています。少々極論しますと、連携を有効に働かすことが出来れば、3社若しくは4社の連合体は、10倍以上の力の増強を可能にします。技術と資金の蓄積ができるためです。

東芝が連携体の接着剤の役割を行うこともありです。

何れにせよ、マイクロンか東芝がイニシアチブを取る必要がありますが、暴れん坊的な成長市場で一気に主導権をとる機会でもあります。

DRAM事業での各メーカーの動きは、中小企業経営にとってもどう市場で勝ち残っていくのかを考える上で大いに参考になります。今後も注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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