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三瀬 宏太
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当初申告要件の廃止に伴う雇用促進税制への影響

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平成23年12月2日以後に法定申告期限を迎える申告から当初申告要件(当初の確定申告書に適用額の記載があるものに限って適用を認めるもの)の廃止や控除額の制限(当初の確定申告書に記載された正当額を限度として適用を認めるもの)も見直しされることになります。

さて、この文章を読んでも税理士以外の方は、「はて、何のことだろう」と思われることでしょう。ここで、一つ所得税額控除を例にとって、分かりやすくご説明致します。所得税額控除とは、法人が受ける預金利子や有価証券の運用益等から源泉される所得税を法人税の金額から控除できるというものです。例えば、法人の預金利子が100万円あったとします。そうすると、預金通帳には源泉所得税15万円と源泉住民税5万円を除いた80万円が預金通帳には入金されます。その時に、法人税額が50万円あったとすると、その法人税額50万円から源泉所得税の15万円を除き、35万円を法人税として納付すれば良い事になります。これが、所得税額控除の大まかな概要です。

さて、当初申告要件とは何かと言うと、この35万円で法人税を納税し、その法定申告期限後に、実は預金利子に係る源泉所得税が15万円ではなく、30万円だったというケースに問題となってきます。当初申告要件とは、当初の確定申告書に適用額の記載があるものに限ってその適用を認めるものですから、当初の申告で15万円で所得税額控除を受けるとしていたのであれば、本来であれば30万円の所得税額控除をとれるのに、事後的に見つかったものについては、15万円までしか控除出来ないというものです。しかし、今回この当初申告要件の廃止によって、事後的(法定申告期限後)に、源泉所得税が30万円と分かった場合には、30万円の所得税額控除を認められるようになったという事です。

それでは、雇用促進税制も税額控除の一種なので、この「当初申告要件」と「控除額の制限」の対象となる制度になりますが、「当初申告要件」については、残ってしまっています。しかし、「控除額の制限」については、見直しが行われました。これはどういう事かと言うと、当初、申告した時に雇用促進税制により、5人(当期末雇用者数-前期末雇用者数)×20万円=100万円の税額控除が通常だと取れますが、所得税控除前の法人税が800万円だとすると、その事業年度の法人税額の10%(中小企業者等の場合は、20%)を限度としますので、80万円(5人×20万円>800万円×10% ∴80万円)の所得税額控除をとって720万円の法人税を納付することになります。この後において、税務署の調査により、所得税額控除前の法人税額が1,400万円だったと指摘を受けた場合に、従来だと、当初申告において、雇用促進税制による税額控除を80万円として申告していましたので、1,400万円-80万円=1,320万円の法人税を納付することになりますが、「控除額の制限」の見直しにより、1,400万円-100万円(5人×20万円<1,400万円×10% ∴100万円)=1,300万円にすることが出来ます。しかし、これと同時に雇用増加数が5人ではなく、6人だったことが判明した場合に1,400万円-120万円(20万円×6人<1,400万円×10%)=1,280万円とすることは、「当初申告要件」が残っている為に出来ず、1,300万円を納税する必要があるというものです。つまり、納税者に落ち度があって、当初申告で取り込んでいなかったものについては、事後的に判明した場合でも修正することが出来ないという事です。

なるべく噛み砕いて説明をしようと、数値を使って説明しましたが、それでも分からない、若しくは、こういう場合はどうなる等のご質問がある方は、直接お問い合わせください。

税理士 三瀬 宏太

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