日経記事;"ソニー、化学事業を政投銀に売却へ 本業に集中"考察 - 事業・企業再生戦略 - 専門家プロファイル

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日経記事;"ソニー、化学事業を政投銀に売却へ 本業に集中"考察

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経営戦略 集中と選択;事業撤退

皆様、
おはようございます。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

3月22日付の日経新聞に、『ソニー、化学事業を政投銀に300~400億円で 売却へ 本業に集中』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。
 
記事の主な内容は以下の通りです。

『ソニーは液晶画面に使う光学フィルムなどを生産する化学事業を分離して売却する。製造子会社が持つ同事業を日本政策投資銀行に今秋にも譲渡する方針。

売却額は300億~400億円となる見込み。ソニーはテレビ事業の長期不振で2012年3月期の連結最終損益が2200億円の赤字になる見通し。非本業部門を売却して財務体質を強化し、エレクトロニクスなど中核事業に経営資源を集中投下する。

売却するのは完全子会社「ソニーケミカル&インフォメーションデバイス」の主力事業。政投銀とは22日にも売却に向けた覚書を交わす。

6月までに売却額などの詳細を詰め、今秋にも事業を譲渡する。約3000人いる従業員の雇用は維持する。政投銀は海外部門のてこ入れなどで事業拡大を支援し、中期的には株式上場などで保有株を売却して一定の利益を確保する。

ソニーケミカルは光学関連フィルムや、工業用接着剤などの高機能部材を主に生産しており、11年3月期の売上高は約1100億円。光ディスクや非接触ICチップなどソニーの本業と密接な部門は分離せず、ソニー傘下に残す方向だ。

ソニーは12年3月期に4期連続の連結最終赤字になる見込み。4月1日付で社長兼最高経営責任者(CEO)に昇格する平井一夫副社長は、経営再建策として本業のエレクトロニクス事業などとの相乗効果が薄い分野や不採算事業からの撤退・売却など「選択と集中」を加速する方針を表明。

工業用の両面テープや建材用フィルムなども展開する化学部門の売却は、その第1弾となる。

政投銀は事業会社に資本参加して事業を再構築し、企業価値を高めてから保有株を売却する再生型の投資事業を進めている。すでにベアリング大手のミネベアなどに資本参加しており、海外でのM&A(合併・買収)の仲介などで経営支援している。』


ソニーは、平井次期社長のもとで経営再建に動き出したようです。3月20日付の日経新聞に、ソニーや日立がテレビ事業の採算性を上げるため、機種数を減らす方針であることを報じていました。

記事によるとソニーは、2012年に米国で投入するテレビ新製品数を22機種とし、11年の40機種に比べて半減させるとのこと。

価格競争の激しい低価格帯の分野から撤退し、比較的高画質の中~上級機種に絞り込む方針です。テレビ事業自体は継続する方針です。

上記記事にある化学部門の売却は、「本業のエレクトロニクス事業」との相乗効果が薄いと判断し、売却を決めたとのこと。

ソニーは以前から集中と選択を行ってきました。テレビ事業についても工場の集約や人員削減などを行ってきましたが、市場の変化や競合他社の動きがそれ以上に速く対応できれなかったと推測します。

一般的に集中と選択では、合理化が優先して早く行われる傾向があります。これは合理化がコストカットであり、誰にも目に見えるモノが対象であるため、実行しやすいためです。

売上や利益、コストなどで一定基準を作れば、その基準・条件を満たさないものは、事業売却か撤退することを決めれば良いからです。

勿論、事業売却や撤退の行為自体の難しさも認識しています。私もその渦中にいましたし、今も幾つかの案件に対して支援を行っていますので。

しかし、もっと重要なことは、その企業の強みを最大限生かし、他社に絶対負けない事業分野をどう確立するかです。

ソニーの場合、「本業のエレクトロニクス事業」と言っています。エレクトロニクスの範囲は広くなっています。テレビ、オーディオ、ビデオ、カメラ、スマホ、パソコンなどが上げられます。

ソニーは、どのエレクトロニクス製品で尖がったものを出し、現在のアップルのように世界市場を引っ張っていけるかどうかが課題です。

パナソニックは、家庭用環境対応事業に方向性を出しています。東芝は、環境システム、日立は社会システム対応にそれぞれ強みを出して勝ち残る展開をしています。

ソニーは、エレクトロニクス事業のどこで特化した強みを出して、勝ち残っていくか方向性を明確化する必要があります。そうしないと広大なエレクトロニクス事業で沈んでしまうリスクがあります。

中小企業も同じです。自社の強みを徹底的に絞り込んで、そこに集中的に特化・投資して他社を寄せ付けない製品・サービスを打ち出すことが必要です。どんないに小さい市場でもそこでナンバーワンになれば、勝ち残れます。

ソニーのような大企業は、小さい市場と言うわけにはいきませんが、市場を新規に作っていく考え方で特定分野で専門化して、他社を寄せ付けない製品・サービスを立ち上げることを期待します。

エレクトロニクス事業の多くは、パソコンやスマホなどと同じように開発から製造まで水平分業化しており、1社単独の力で差別化・差異化を図ることは難しくなっています。

ソニーの持っている全財産・強みのタネを棚卸して、強みを明確化して尖がった事業分野の立上が重要且つ必要です。これがソニーに対する期待です。

ソニーの動きは、中小製造業の参考事例の一つとなります。今後も注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁

 

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