- 村田 英幸
- 村田法律事務所 弁護士
- 東京都
- 弁護士
対象:企業法務
- 尾上 雅典
- (行政書士)
- 河野 英仁
- (弁理士)
建設業法41条2項は「特定建設業者が発注者から直接請け負った建設工事の全部又は一部を施工している他の建設業を営む者が、当該建設工事の施工のために使用している労働者に対する賃金の支払を遅滞した場合において、必要があると認めたときは、当該特定建設業者の許可をした国土交通大臣又は都道府県知事は、当該特定建設業者に対して、支払を遅滞した賃金のうち当該建設工事における労働の対価として適正と認められる賃金相当額を立替払することその他の適切な措置を講ずることを勧告することができる。」と規定する。
一次下請が倒産した場合、二次下請や三次下請は元請の特定建設業者に対して、労務費の立替払いを請求することができる。二次下請が倒産した場合、三次下請が元請に請求することもできる。もとより、これは建設業法の規制であって、私法上の請求権を認めたものではないが、建設業界では事実上ルールとして機能している。
私の顧問先の建設会社の社長が青い顔をして私の事務所を訪れた。
「実は当社が、二次下請で入っていた工事で、一次下請が倒産してしまったんです。どうにかしてくれと元請のゼネコンに泣きついたんですが、工事代金は一次下請に支払い済みとのことで相手にしてくれないんです。先生、どうしたらよいでしょうか。」
「じゃ、建設業法の立替払いの条文を使いましょう。」
建設業法に基づき、たとえ二重払いとなっても元請業者には立替払いする義務があることを私は内容証明にしたためて、元請業者へ発送した。
元請業者から電話が折り返しかかってきたので、数回折衝したところ、元請業者から請負代金の全額が支払われることとなり、和解書を取り交わした上で、入金された。
参照条文
(建設業を営む者及び建設業者団体に対する指導、助言及び勧告)
第41条 国土交通大臣又は都道府県知事は、建設業を営む者又は第27条の37の届出のあつた建設業者団体に対して、建設工事の適正な施工を確保し、又は建設業の健全な発達を図るために必要な指導、助言及び勧告を行うことができる。
2 特定建設業者が発注者から直接請け負った建設工事の全部又は一部を施工している他の建設業を営む者が、当該建設工事の施工のために使用している労働者に対する賃金の支払を遅滞した場合において、必要があると認めるときは、当該特定建設業者の許可をした国土交通大臣又は都道府県知事は、当該特定建設業者に対して、支払を遅滞した賃金のうち当該建設工事における労働の対価として適正と認められる賃金相当額を立替払することその他の適切な措置を講ずることを勧告することができる。
3 特定建設業者が発注者から直接請け負った建設工事の全部又は一部を施工している他の建設業を営む者が、当該建設工事の施工に関し他人に損害を加えた場合において、必要があると認めるときは、当該特定建設業者の許可をした国土交通大臣又は都道府県知事は、当該特定建設業者に対して、当該他人が受けた損害につき、適正と認められる金額を立替払することその他の適切な措置を講ずることを勧告することができる。
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