労働金庫からの借り入れで一括払いの任意整理 - 借金・債務整理全般 - 専門家プロファイル

村田 英幸
村田法律事務所 弁護士
東京都
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労働金庫からの借り入れで一括払いの任意整理

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債務整理

後藤さんは、某社に勤めるサラリーマンである。債務整理をしたいという。

「返済原資をどうするのか。」と私が尋ねると、「労働金庫から借り入れます。」という答えが返ってきた。

現在、労働金庫では多重債務に陥ったサラリーマンを対象に、弁護士に依頼して、一括減額交渉をしてもらい、返済原資を弁護士に預けて、弁護士から送金してもらい、弁護士費用も支払って、債務整理するという融資が行われている。ただし、対象は労働金庫と取引のある企業か公務員などに限られている。

ちまたでは、「債務の一本化」などをうたうチラシが多いが、大部分は多重債務者を食い物にする整理屋の広告手段である。また、消費者金融でも「債務の一本化」を条件に高額の融資をしてくれる所もあるが、労働金庫とは利息も支払条件も違う。

労働金庫がなぜこのような融資を行うことができるかといえば、それは、退職金を担保にするからである。したがって、対象となる企業が限られることは、お分かりになることと思う。

私は後藤さんの事件を引き受け、弁護士介入通知を発送した。これによって債権者から債務者本人への直接の取り立ては禁止される。

私は、各債権者に対して、利息制限法に引き直すので、取引明細を開示してほしい旨を連絡した。

後藤さんは、労働金庫に借り入れの申込みをした。2か月ほど経ってから、労働金庫から私宛てに連絡が入り、負債の一覧表と弁護士費用を含めた一括返済の金額を見積もってほしいと言う。

各債権者から寄せられた取引明細を基に、利息制限法に引き直し計算をした。

後藤さんの負債総額は、おおむね500万円だったが、利息制限法で引き直し計算したところ、それが400万円位にまで減った。

さらに私は、各債権者に対して、債権額の70%相当額を一括弁済するので和解したいとファックスで申し入れた。

10社ある借り入れ先のうち、70%相当額での和解に応じたのは1社だけだった。利息制限法で引き直した債権額の70%相当額を、合意した支払期日に支払えば、残債権は放棄するという和解書を取り交わす。そして、その上で債権者の銀行口座に振り込む。これで、1社片付いた。

残り9社については、一括弁済であり早期に支払えること、返済原資は労働金庫からの借り入れであることなどを説明して、結局、債権額の80%相当額で和解し、残債務を免除してもらうことにした。

こうして、労働金庫から返済原資が私の預り金口座に振り込まれてから1か月もたたないうちに、私は一括返済を実行して、全部をきれいにした。そして、弁護士費用も頂戴した。

お預かりした金銭で、支払いに回した以外の残りの金銭については、後藤さんの労働金庫の口座へ返金した。こうして、後藤さんの債務整理は短期間のうちに完了した。あとは後藤さんが労働金庫に対してきちんと返済して行けば済む。

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