皆さんこんにちはリヴァックスの巻口です。本日は海外不動産投資家
のお話しをいたします。
バブル崩壊後の1990年代の後半から日本の不動産市場には、実は
かなり外国人投資家の資金がはいってくるようになってきました。
それまでは日本独特の不動産商慣習やデータの未整備などの理由に
より、海外投資家の日本市場への流入は限られていました。たとえば、
レントロールといわれる過去の賃貸履歴データなどは、もともと日本の
市場では開示する慣習自体ありませんでした。
ところが、J-REIT市場が2001年に創設されるようになってからは、
海外不動産投資家にとって必要な情報が日本でもきちんと整備される
ようになり、投資しやすい環境が整うようになりました。
海外の投資家からみると日本の特に東京のマーケットは大変安定的
なマーケットというように評価されています。経済状況が良かった欧州
の不動産空室率は軒並み15パーセントを超えるような状況のなかで、
日本のオフィスなどはせいぜい8~9%程度の空室率であるという
安定稼働状況に加え、長期的に歴史的な超低金利の金融環境を加味
すると、不動産投資のマーケットとしては国際比較上安定性が非常に
高い市場と認識されているのです。そのため、リスクを取る意味で昨今
はJ-REITのような証券商品ではなく、実物の不動産の売買事例が
非常に目立つようになってきています。平成23年1月に実施した国交省
の海外投資家アンケートでも、昨今の海外投資家の興味は、実に7割
の投資家が日本の実物不動産を投資対象としているという回答となって
います。この点からも、海外投資家の意識の変化がわかります。
特に投資が拡大しはじめたのが2008年以降です。当社調査の資料では、
海外投資家へのサブプライム問題がようやく沈静化したかしていないか
というタイミングで日本の不動産への投資取引が活発化してきています。
以前のコラムでも説明しましたが、不動産市場にはサイクルが存在して
いますので、そのサイクルのボトムに合わせて投資タイミングを狙ってくる
のが海外投資家の特徴です。
図は日本不動産研究所調査による、海外投資家の意識調査結果です。
各国際都市をサイクルのどのタイミングであるかと比較したものとなって
います。ロンドン・パリ・シンガポール・香港などの都市はサイクルの後退
期に入っていく一方、東京はこれから回復拡大期を迎えるという予測です。
こうしたグローバルな不動産投資環境が展開されている状況のなか、
単純に国内の需給バランスだけで不動産を語ることはできない状況に
なってきています。つまり日本の人口減少がこれまで不動産投資の
マイナス要因と考えられていたわけですが、海外投資家の資金流入を
考慮すると必ずしも日本の不動産の先行きが厳しいとは言えないのでは
という結論も導きだされるのです。
結果として、特に首都圏においては震災後であっても不動産取引は活発
に行われており、取引単価自体も上昇基調にある市場動向となっています。
投資分析においては、思い込みや世間的な一般常識よりも、いかに正確
な市場動向をきちんと入手分析することが重要であるということがお分かり
いただけたのではないでしょうか。
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