【聴心記「心の炎」】第3回 感情とのつきあい方(1) - 心の病気・カウンセリング - 専門家プロファイル

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【聴心記「心の炎」】第3回 感情とのつきあい方(1)

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 身体は自動的に反応します。自分が暑いと感じているかどうかに関係なく,暑ければ自動的に汗が出てくる。暑いと気づくのを待っている訳ではない。逆に汗が出ているから,今日は暑いなと感じることもあります。寒くて身体が震える時も同じですね。これと同じように,心も自動的に反応します。ちょっとしたことがきっかけで,悲しくなったりうれしさがこみ上げてきたり。この時も,本人がじっくり考えてから感情が出てきている訳ではない。感情は思考の結果というのではないのです。感情は,理由があってでてきているのではありません。詳しく言うと,身体が暑さ寒さというきっかけで反応するようにメカニズム的な意味でのきっかけはあるのですが,それは,人の意思から来る理由とは別の次元のものです。そんな訳で,出てくる感情の理由や訳を探っても,余り意味がありません。むしろ,今どんな気持ち,どんな状態なのかを知ることの方が大切です。whyではなく,howで理解することが大切です。

 何かの出来事をきっかけとして,感情が出てきます。こうした感情はどのくらい続くのでしょうか? 恐怖や不安をもう何ヵ月も感じているとか,憎しみの感情を何年も引きずっているといった話を聴くことがあります。頭の中の記憶や概念としては長続きしているかもしれませんが,感情そのものはそんなに長続きするものではありません。早い人なら数秒,遅い人でも数十分でその感情は消えていきます。何かのきっかけで出てきた感情は,数秒でピークを迎えます。そしてしばらくすると,徐々に感情が下降していくのです。ピークの時にこの感情に身をゆだねてその場で反応すると,いわゆる感情にまかせた発言や行動となってしまいます。ほんのしばらくですが,感情の成り行きを心の中で黙って感じていると,ピークを過ぎて次第に落ち着いていくのです。この時点で自分を振り返ると「さっきなんであんなこと言ったんだろう? あんなことしたんだろう?」といった状況になるのです。

 極端な感情が出て出て来たときには,ちょっと自分の心の中を眺めてみて欲しいのです。この時「冷静であるためにはこんな感情に左右されてはいけない」と考える必要はありません。その行為は,実は前回お話しした「感情を押しつぶすこと」につながってしまうのです。ただひたすら「こんな感情があるのか」と眺めていれば良いのです。そうすることによって,感情は下降していきます。この時,感情は押しつぶされずに,きれいに消化されて消えていくのです。逆に,押しつぶされた感情は,後々までしこりとなって残ります。ちくちくと上司に嫌みを言われたサラリーマンが,その心を抑えて笑顔で行動し,定年後になって「夢にその上司が出てきて今でも嫌みを言われる」というのは,感情を押しつぶして来た結果にほかなりません。聖書か何かに「右のほほを打たれら左のほほを出せ」というのがありましたよね。左のほほが先だったかな? これも考えようによっては,後の側のほほを出している間に,打たれたときに感じた感情がピークを過ぎるという意味で効果があるかもしれません。

 感情が高まっていても,感情そのものはすぐに下降していきます。感情の出やすさはコントロールできませんが,出てきた感情は,見つめている内に下降し消えていきます。見つめて通り過ぎさせること,決して押しつぶさないこと,これが感情とつき合っていくためのひとつのテクニックと言えるでしょう。(2012.3.12)

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