日経記事;"半導体製造装置,生き残る道は 東京エレクトロン"考察 - 海外展開 - 専門家プロファイル

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日経記事;"半導体製造装置,生き残る道は 東京エレクトロン"考察

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皆様、
おはようございます。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

3月11日付の日経新聞に、『半導体製造装置、生き残る道は? 性能優位、国内生産でこそ 東京エレクトロン社長 竹中氏に聞く』のタイトルでインタビュー記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

【日本の半導体業界が苦境に陥っている。日の丸半導体を支えてきた装置メーカーは、国際競争力を維持できるのか。主力の装置を日本でのみ生産している東京エレクトロンは昨秋、新工場を宮城県で稼働させたばかり。

円高が続く中、なぜ国内生産にこだわるのか。装置メーカーが生き残る道を竹中博司社長に聞いた。

――エルピーダメモリが経営破綻に追い込まれた。

「DRAMメーカーは6~7社も市場にひしめき、健全な状態ではない。歴史的な円高など6重苦と言われる状況を乗り越え、勝ち残るための条件は厳しい。製造装置も同じだが、ある1分野でトップシェアか、2位でも30~40%のシェアがないと生き残れない。過当競争になり需給バランスが崩れるためだ」

――東京エレクトロンが国内生産にこだわる理由は。

「装置は性能面での違いを出せなければ競争に勝てない。コストを下げる努力はもちろん必要だが、いかに他社と違う製品を開発し、技術をブラックボックス化できるかが勝負だ」

「日本の部材メーカーは世界一優秀だ。我々の装置作りも日本のサプライヤーに支えてきてもらった。国境線がなくなった半導体の世界で当社が負ければ、サプライヤーも負けてしまう。東京エレクトロンの海外売上高比率は80%を超えており、当社が勝つことが日本の半導体産業を守ることにもつながる」

――新工場を宮城県に建設した狙いは。

「東北地方には半導体関連産業が集積している。この地域で工場を稼働させ雇用を守り、世界一の半導体装置メーカーを目指す。それが震災復興にも貢献できることだと信じている」

――日本で装置をつくる意義は薄れたのでは。

「半導体の製造技術の開発は日本にこだわっていない。海外の主要顧客の近くに拠点を作っており、今後も拡大していこうと思っている。ただ装置として形にする時には、開発から製造まで一貫した体制が必要だ。日本には先端技術を研究する大学などの機関、部材を供給してくれるサプライヤーがそろっている。勝ち残るために最も重要な技術革新の解がここにある」

「新工場建設では宮城県の招致活動が積極的で、産学官のトライアングル連携にも期待した。例えば磁性体を使った次世代メモリーでは東北大の研究は世界の最先端にある。世界中の半導体メーカーが東北詣でをしている」

――2012年度の半導体装置市場をどうみるか。

「11年度比で10%程度減少しそうだが、今が底だ。次世代型のスマートフォンなどが登場し、半導体の先端製品が投入される9~10月ごろに装置需要は回復すると思う」』


米国のVLSIリサーチが年一回発表している、半導体製造装置メーカーの売上高ランキングをみますと、東京エレクトロンは毎年2位か、3位の位置にいます。その他の国内メーカーでは、ニコン、キヤノン、日立ハイテクノロジーズ、大日本スクリーン製造などがベスト10に入っています。

半導体と同様に、半導体製造装置市場もメーカー数が多く激戦事業の一つです。東京エレクトロンの海外売上比率は80%とのこと。完全な輸出依存企業です。

市場に多くの競合他社がいるなかで、輸出で収益を上げるには、徹底的な差別化・差異化を可能にするものがないと難しいです。今、ちょっと一服していますが、昨年の異常な円高では多少のコストダウンをしても利益を出せない企業が多かったの事実です。

竹中社長は、国内生産→輸出のやり方にこだわるのは、国内の優秀な部材メーカーとの連携で競争力ある半導体製造装置が作れるからと言っています。

今の国内企業の中で、輸出で収益を上げて勝ち残っているメーカーは例外なく、圧倒的な技術力・開発力で差別化・差異化を図っているか、他社が入ってこないニッチ市場でオンリーワンの立場を確保しているかのどちらかに分けられます。

東京エレクトロンは、前者の企業で世界売上で2位か3位になっています。東京エレクトロンが勝ち続けるためには、売上で常に3位以内に入って市場のマジョリティを取れる位置にいないと、世界市場での競争に負けます。

東京エレクトロンの2011年3月期の売上高は6687億円で、研究開発に毎年700億~800億円を投じています。この研究開発投資が差別化・差異化を実現しています。

また、この研究開発費を使える状態にするためには、健全な財務状態が必要です。発表された2011年3月期の財務データでは以下のようになっています。

・売上高;6687億円
・売上総利益;2348億円(売上総利益率;35.1%)
・一般管理販売費;1369億円(対売上比;20.5%)
・営業利益;979億円(営業利益率;14.6%)
・経常利益;1019億円

上記財務状況が高い研究開発への投資を可能にしています。

記事にありますように、国内の素材産業は世界一であり、これらの国内メーカーと連携して優秀な装置を開発・製造する勝ちパターンを確立しています。円高で収益を上げている実績が証明しています。

また、竹中社長が言われていますように、開発行為は顧客がいる国で行っています。米国、中国、台湾、韓国などに開発拠点を設けて、顧客ニーズを見ながらの開発になっており技術力を維持している要因の一つです。

国内製造業が輸出で収益を上げて勝ち残っていくためのパターンを確立しています。他の国内企業が参考にすべき会社の一つです。

今後の課題は、最大の競争相手である米アプライドマテリアルズとの戦いです。この会社はM&Aを行って規模の拡大と技術力の向上を図っていますので、競争に負けないようスピード感を持って経営していく必要があります。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

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