代表者が私財を提供する意思を明らかにしている場合の評価は? - 財務・資金調達全般 - 専門家プロファイル

近江 清秀
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代表者が私財を提供する意思を明らかにしている場合の評価は?

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【銀行交渉のポイント編-22 代表者が私財を提供する意思を明らかにしている場合の評価は?】

 信用金庫や地銀は、中小企業へ融資するかどうかの判断を行うに
当たって金融庁の検査マニュアルに従って判断を行います。

その検査マニュアルには、具体的な事例とともに銀行
(信用金庫・地銀)が融資するかどうかを判断したポイントと、
その判断基準の適否について解説が記載されています。
この【銀行交渉のポイント編では】27パターンの事例を紹介します。

 中小企業の経営者の皆様におかれましては、
御社の決算内容、銀行との交渉と比べながら読んでいただくと
わかりやすいと思います。

 以下の事例集は、すべて銀行(信用金庫・地銀)の立場から
書かれた内容なのでこの文中で債務者と表現されているのは、
一般の中小企業のことです。

【事例-22   代表者が私財を提供する意思を明らかにしている場合の評価は?】

<概況>
 債務者は、当金庫メイン先(シェア90%、与信額120百万円)
当地の代表的な老舗和菓子の製造販売業者で代表者は地元の有力者
である。地元デパートでの販売の他、観光客を主な顧客とした多店舗
展開(3店舗)を図っている。
 
<業況>
 景気低迷の中、観光客相手の土産物を中心に売上が減少している
ことに加え、取引先の倒産の影響もあり、3期前から赤字転落、
今期は債務超過に陥っている。

 当金庫は運転資金(手貸20百万円)のほか、店舗開業資金
(証貸100百万円)に応需しているが、業績の悪化から約定返済が
困難になったとして、代表者は不採算店舗の閉鎖や取引先の選別など
による黒字化を折り込んだ収支計画を策定し、当金庫に対して
店舗開業資金の返済額を大幅に軽減(約60%減)し、かつ最終
期日に元本しわ寄せ(当初借入の約50%)とする条件変更を要請し、
当金庫も代表者の信用力等を勘案しこれに応じた。

 なお、代表者は、事業以外の負債は有しておらず、担保に提供
していない土地等の遊休不動産(処分可能見込み額ベース)を
50百万円程度有している。(当該遊休不動産に抵当権は
付されていない。)
 
<自己査定>
 当金庫は、売上の減少に伴う返済能力の低下は明らかであり、
今後、短期間で条件変更前の状況に回復する見込みもないと判断される
ものの、黒字化を折り込んだ収支計画等を勘案し、債務者区分は
要注意先とした。

 しかしながら、店舗開業資金の条件変更については、担保不動産
(処分可能見込み額ベース)で6割保全されており、残りの4割に
ついても、金庫は代表者は会社が有事の際には私財を提供する意思が
確認できていることから、個人資産等も勘案すれば信用リスクは
極めて低く算定されることから、貸出条件緩和債権に該当しないと
判断している。
 
<検証ポイント>
  担保・保証等で保全されている場合の貸出条件緩和債権
(元本返済猶予債権)の取扱いについて
 
<解説>
1.貸出条件緩和債権については、銀行法施行規則において規定され、
その具体的な事例は、中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針に
おいて規定されている。

 中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針では、元本返済猶予債権
(元本の支払を猶予した貸出金)のうち、貸出条件緩和債権に該当する
ものとして

「当該債務者に関する他の貸出金利息、手数料、配当等の収益、担保・
保証等による信用リスク等の増減、競争上の観点等の当該債務者に対する
取引の総合的な採算を勘案して、当該貸出金に対して、基準金利
(当該債務者と同等な信用リスクを有している債務者に対して通常適用
される新規貸出実行金利をいう。)が適用される場合と実質的に同等
の利回りが確保されていない債権」が考えられるとしている。
 
2.本別冊において述べられている通り、中小・零細企業については、
不動産担保などに加え、代表者は会社が有事の際には私財を提供する
意思が確認できている場合には個人資産等も勘案することができると
考えられることから、当該貸出金は最終的な回収には懸念はなく、
信用リスクは極めて低い水準にあるものと考えられる。
 
3.したがって、本事例のように不動産担保等により保全されている
ことから信用リスクが極めて低い水準になるものと考えられる
貸出金については、条件変更時の貸出金の金利水準が金融機関の調達コスト
(資金調達コスト+経費コスト)を下回るような場合を除き、
原則として、当該貸出金については、貸出条件緩和債権(元本返済猶予
債権)に該当しないものと判断して差し支えないものと考えられる。
 
4.なお、本事例のように黒字化を織り込んだ収支計画等が策定されて
いる場合には、条件変更時の貸出金の金利水準が金融機関の調達コスト
を下回るような場合であっても、収支計画等が合理的かつ実現可能性
の高い経営改善計画の要件を満たしていれば、貸出条件緩和債権には
該当しないものと判断して差し支えないと考えられる。

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 今回のポイントは、『中小・零細企業については、
不動産担保などに加え、代表者は会社が有事の際には私財を提供する
意思が確認できている場合には個人資産等も勘案することができると
考えられることから、当該貸出金は最終的な回収には懸念はなく、
信用リスクは極めて低い水準にあるものと考えられる。』という点です

そういう点では、代表者は個人資産を蓄える必要があります。
つまり、業績のいい時には遠慮せずに役員給与を多額に計上するべきだと
考えます。

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