日経記事;"東レ、世界で炭素繊維5割増産 車・航空機軽量化"考察 - 各種の新規事業・事業拡大 - 専門家プロファイル

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日経記事;"東レ、世界で炭素繊維5割増産 車・航空機軽量化"考察

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皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

3月9日付の日経新聞に、『東レ、世界で炭素繊維5割増産 車・航空機を軽量化』のタイトルで時期が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主内容は以下の通りです。

『東レは先端素材である炭素繊維の世界生産能力を5割増やす。2015年までに450億円を投じ日本、米国、韓国、フランスの工場で設備を新設する。

航空機や自動車を軽量化するため金属部品から炭素繊維を使った複合材料への置き換えが進み、市場が大きく伸びる見通し。

需要の9割が海外にあるため顧客の近くで生産しニーズに応じて素早く供給、日本発の先端素材を世界に売り込む。

炭素繊維はかつての特殊な用途から利用範囲が拡大している。特に自動車分野では高級車の特殊な部品から今後はボディーや骨格などに広く使われ、量産化が進む見通しだ。

東レはグローバルな供給体制を整え欧米やアジアの主力市場を開拓する。海外拠点は8割増強、海外生産比率は7ポイント増の約66%になる。

日本では年産7300トンの愛媛工場(愛媛県松前町)を15年3月までに同9300トンに増強する。炭素繊維の利用率を大幅に高めた米ボーイングの新型航空機「787」などの需要増に備え、原料のアクリル繊維から一貫生産する。増強に200億円強を投じる。

米国では年産2500トンの新設備を建設し、14年9月までに能力を同7900トンに高める。航空機向けのほか、新型天然ガスの圧力容器など新エネ・環境関連の需要に応える。

13年に炭素繊維の生産を始める韓国では同2200トンの新工場を建設中。同工場に14年3月までに同2500トンの設備を追加する。中国や日本を含むアジア市場に対応、自動車向けなどの産業用からスポーツ用品まで幅広く生産する。

フランスでは原料のアクリル繊維の新工場を建設する。既に炭素繊維の工場があるが、原料は日本から輸出していた。現地で一貫生産することで為替リスクを抑え、コスト競争力を高める。

能力増強により東レの炭素繊維の年産能力は現在の1万7900トンから15年3月には2万7100トンに増える。

炭素繊維は用途の広がりに伴い需要が伸び、15年の世界需要は7万5000トンと11年の約2倍に膨らむ見通し。世界最大手の東レは4割のシェアを占め、三菱レイヨンや帝人を加えた3社では7割と日本勢が強い。東レは先行投資で首位固めを狙う。』

炭素繊維は、炭素繊維複合材料のことを意味します。ポリアクリロニトリル(PAN)と呼ばれる特殊なアクリル繊維を高温で焼いてできる黒い糸が炭素繊維です。

もう一つ、ピッチ;PITCH(石油、石炭、コールタールなどの副生成物)を原料に高温で炭化して作った繊維もあります。

JIS規格で炭素繊維は、「有機繊維のプレカーサーを加熱炭素化処理して得られる,質量比で90%以上が炭素で構成される繊維」と規定されています。

鉄と比較すると比重で1/4、強度で10倍あるとのこと。耐摩耗性、耐熱性、熱伸縮性、耐酸性、電気伝導性に優れるとされています。

PAN、PITCHは日本初の素材であり、PANのメーカーとしては、東レ、帝人(東邦テナックス)、三菱レイヨンなどがあり、PITCHの場合は、三菱樹脂、クレハなどのメーカーが作っています。

国内メーカーは、1960年代初めに特許出願し、70年代から生産を開始しました。しかし、暫くの間彼らは赤字に苦しみました。

理由は、炭素繊維の製造コストの高さから来る高い価格や加工の難しさなどから普及しなかったためです。

当初、70年代前半にゴルフシャフト、バドミントンラケット、などの一部用途で使われていただけでした。この期間、多くの欧米企業は撤退しました。

東レ、帝人、三菱レイヨンなどの国内メーカーは、販売量が伸びないため赤字を出しながらも将来性を見込んで研究開発の投資を続けました。

80年代以降に製造コストの低減や加工方法の進歩がみられ、ロケットや航空機などの大型輸送機器に使われるようになりました。

この時点から炭素繊維の応用範囲が広がってきました。加工のしやすさや販売価格の面で改善が図られ、自動車メーカーが燃費性能と耐久性を実現するために、炭素繊維の使用を開始したことが一つのきっかけになりました。

また、大きな話題になりましたのは、2006年に東レがボーイングと炭素繊維を機体の大部分に使用する旅客機;ボーイング787開発のため、当該繊維を2021年までの16年にわたって供給する長契約を締結したことです。

このボーイング787は、ANAなどで就航しており、従来の旅客機に比べて燃費は20%向上しているとのこと。これは空力改善・複合材(炭素繊維素材)の多用による軽量化・エンジンの燃費の改善・これらの相乗効果によるものだという、軽量化によって最大旅客数も若干増加している、とされています。

このように、環境対応や省エネなどの対応の必要性が高まる中、軽量且つ強度が高い炭素繊維の需要は飛躍的に増加しています。

ようやく、国内企業の今まで続けてきた愚直なまでの開発投資が大きな果実をもたらす状況になってきました。

炭素繊維の歴史は、高機能・高仕様であれば、顧客が直ぐに使ってくれるものではなく、開発メーカーが顧客に使ってもらうため、各用途に適した様々な炭素繊維品を開発すると共に、加工のしやすさや、販売価格の低下に恒常的な開発投資を行って来たから成功しつつあることを示しています。

ここに国内素材メーカーの底力をみることが出来ます。

記事によると、世界シェアの40%を握る東レは、2015年までに450億円を投じ日本、米国、韓国、フランスの工場で設備を新設し、生産能力を5割アップさせるとのこと。

航空機や自動車に多用されますので、一気に生産量を上げて他社との差別化。差異化を加速させることを狙っています。現在、世界シェア16%を持つ帝人と、10%を持つ三菱レイヨンなどの他メーカーも新規投資を行い市場拡大に合せた形での投資をするとみています。

炭素繊維は、国内メーカーが得意とする素材事業の一つです。

他の分野、例えば環境分野で東芝やパナソニックなどの国内メーカーが、世界市場で大きく勝ち残れる企業になることを期待します。成長が見込める分野で、自社の強みを最大化するように、差別化・差異化を出すための継続的な努力がポイントの一つになります。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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