- 鈴木 克彦
- 株式会社マクス 代表取締役
- 建築家
対象:住宅設計・構造
板倉造りとは、日本の木造建築における伝統工法で、各地の古い倉庫や小屋、神社などに、現在も見ることが出来ます。
柱に溝を突き(溝を彫って加工)、そこに厚板を落とし込んで壁にする工法で、「落とし込み工法」とも呼ばれます。
似た言葉に「校倉(あぜくら)造り」と言うのもあります。
こちらは、小学校の社会で習ったのを覚えている方も多いはず。
校倉造りは、斜めなどに加工した材木を井桁状に組んでいった物で、ほぼ、ログハウスと言っていいと思います。
ログハウスと大きく異なる点は、ログハウスが、材木(ログ材)間に、板や苔を使って隙間を無くそうとしている、つまり冬用の工夫をしているのに対し、校倉は、気候(主に湿度)によって、あえて隙間風が出来る工夫、つまり、日本の代表的風土である、「高温多湿」への工夫をされた点にあるのではと私は思っております。
板倉造りも、基本的には同じです。
板の倉と書くくらいで、板倉と言えば、もともとは倉です。
家宝を収蔵するのを「蔵」と書くのに対し、穀物を収蔵する物が「倉」です。
つまり、古来より命よりも大切な穀物を保存する、高温多湿から守る、それが板倉だったわけです。
穀物を守るには、当然ですが、先人の知恵と工夫が積み重ねられてきました。
その大切な穀物を保管出来る=つまり、高温多湿対策が出来ている
と言うことは、当然人も住みやすいはず。
そこで、板倉を住宅に応用した住宅が、板倉工法です。
私がティンバーフレームとならんで、取り組んでいる、もう一つの木の形である『板倉造り工法の家』について、少しずつこのコラムで書いて行こうと思います。