- 河野 英仁
- 河野特許事務所 弁理士
- 弁理士
対象:特許・商標・著作権
- 河野 英仁
- (弁理士)
- 河野 英仁
- (弁理士)
米国特許法改正規則ガイド (第5回)
第1回
河野特許事務所 2012年4月25日 執筆者:弁理士 河野 英仁
(6)規則1.48「再発行出願以外の特許出願における発明者名の訂正」、及び
規則1.53「出願番号,出願日及び出願の完成」についての規則改正
(i)改正規則1.48(k)の注意点
規則1.48(a)と同様に、国際特許出願についても国内段階移行前に容易に発明者名の修正できるように改正したものである。
(ii)改正規則1.53(f)(4)の注意点
規則1.63(d)の改正にあわせ、継続的出願には継続出願、分割出願に加え、CIPも含むことを明確化したものである。
改正前 |
改正後 |
|
規則1.48 米国特許法第116条による再発行出願以外の特許出願における発明者名の訂正 ***** |
規則1.48 再発行出願以外の特許出願における発明者名の訂正 ***** (k)米国特許法第371条(国内段階)に基づく国内段階出願 本セクションパラグラフ(a)に規定された発明者名の訂正手続は、非仮出願(規則1.9(a)(3))になる前に米国特許法第371条に基づき国内段階に移行する国際特許出願に対しても適用可能であり、またPCT規則4.17(iv)(国内的要件に関する申立て)に基づき提出された宣誓済み宣言書に記載された発明主体における誤りを訂正することも可能である。 |
|
規則1.53 出願番号,出願日及び出願の完成 * * * * * (f) * * * * * * * * (4) 本項は,(b)又は(d)に基づく継続又は分割出願,及び(b)に基づく一部継続出願に適用される。(b)に基づく継続又は分割出願に関する,先の出願に係る宣誓書又は宣言書の写しの提出に関しては,§1.63(d)を参照。 |
規則1.53 出願番号,出願日及び出願の完成 * * * * * (f) * * * * * * * * (4) 本パラグラフは,(b)又は(d)に基づく継続又は分割出願,及び(b)に基づく一部継続出願に適用される。(b)に基づく継続的出願(continuing application)に関する,先の出願に係る宣誓書又は宣言書の写しの提出に関しては,§1.63(d)を参照する。
|
(7)規則1.55「外国優先権の主張」についての規則改正
規則1.55(a)に規定されたとおり、外国出願の優先権を主張する場合は、出願データシートまたは補助的出願データシートに外国出願の出願番号,出願国(又は知的所有権当局)及び出願の年月日を記載することが必要となった。出願データシートまたは補助的データシートに当該記載が存在しない場合、1.55(a)の規定により権利放棄されたものと見なされるので注意が必要である。
改正前 |
改正後 |
規則1.55 外国優先権の主張 (a) * * * (1)(i) 35 U.S.C.第111条(a)に基づいてされる原出願においては,優先権主張は,その出願の係属中,かつ,その出願の実際の出願日から4月,又は先の外国出願の出願日から16月の期間の何れか遅い方までに提示しなければならない。この期間は延長することができない。当該主張は,優先権主張の対象とされる外国出願,及び同一主題についてのものであり,優先権主張の対象とされる出願の出願日前の出願日を有する外国出願がある場合は,その外国出願を,出願番号,出願国(又は知的所有権当局)及び出願の年月日を記載して,特定しなければならない。本項の期間は,35 U.S.C.第111条(a)に基づく出願に関しては,その出願が次のものである場合は,適用しない。
***** (c)そのような主張が本項の規定に従って受理される場合を除き,35 U.S.C.第119条(a)から(d)まで又は第365条(a)に基づく優先権主張であって,(a)に定められている期間内に提出されなかったものは,権利放棄されているものとみなされる。35 U.S.C.第119条(a)から(d)まで又は第365条(a)に基づく優先権主張が(a)によって定められている期間の後に提示された場合において,先の外国出願を,その出願番号,出願国(又は知的所有権当局)及び出願の年月日を明示することによって特定した主張が故意によらず遅延していたときは,その主張は受理されることがある。35 U.S.C.第119条(a)から(d)まで又は第365条(a)に基づく優先権主張の遅延に関する受理申請には,次のものが添付されなければならない。
***** (d)(1) 外国出願の認証謄本に関する本条の要件は,次の場合においては,満たされたものとみなされる。 *** (ii) 当該外国出願が,宣誓書若しくは宣言書(§1.63(c)参照)又は出願データシート(§1.76(a)(6)参照)において特定されること,及び |
規則1.55 外国優先権の主張 (a) * * * (1)(i) 35 U.S.C.第111条(a)(特許出願)に基づいてされる原出願においては,優先権主張は,その出願の係属中,かつ,その出願の実際の出願日から4月,又は先の外国出願の出願日から16月の期間の何れか遅い方までに、出願データシート(規則1.76(b))または補助的出願データシート(規則1.76(c))において、提示しなければならない。この期間は延長することができない。 当該主張は,優先権主張の対象とされる外国出願,及び同一主題についてのものであり,優先権主張の対象とされる出願の出願日前の出願日を有する外国出願がある場合は,その外国出願を,出願番号,出願国(又は知的所有権当局)及び出願の年月日を記載して,特定しなければならない。本項の期間は,35 U.S.C.第111条(a)に基づく出願に関しては,その出願が次のものである場合は,適用しない。 * * * * * (c) そのような主張が本項の規定に従って受理される場合を除き,35 U.S.C.第119条(a)から(d)まで又は第365条(a)に基づく優先権主張であって,(a)に定められている期間内に出願データシート(規則1.76(b))または補助的出願データシート(規則1.76(c))において、提出されなかったものは,権利放棄されているものとみなされる。35 U.S.C.第119条(a)から(d)まで又は第365条(a)に基づく優先権主張が(a)によって定められている期間の後に提示された場合において,先の外国出願を,その出願番号,出願国(又は知的所有権当局)及び出願の年月日を明示することによって特定した主張が故意によらず遅延していたときは,その主張は受理されることがある。35 U.S.C.第119条(a)から(d)まで又は第365条(a)に基づく優先権主張の遅延に関する受理申請には,次のものが添付されなければならない。 ***** (d)(1) 外国出願の認証謄本に関する本条の要件は,次の場合においては,満たされたものとみなされる。 *** (ii) 当該外国出願が, |
(8)規則1.63 「宣誓書または宣言書」に関する規則改正
(i) 改正規則1.63(a)の注意点
改正規則1.63(a)では、宣誓書または宣言書には国籍の記載が不要となったほか、先発明主義から先願主義への移行に伴い、”「最初first」の発明者であると信じる”の文言が削除された(1.63(a)(4))。
(ii)改正規則1.63(c)の注意点
改正規則1.63(c)では米国特許法第115条(e)の規定に基づき、譲渡証中に宣言書または宣誓書を含むことができる旨規定された。規則1.63(d)は旧1.63(d)(3),(d)(3)(i),(ii)を単純化したものである。なお、規則1.63(d)(4)(5)は削除された。
(iii)改正規則1.63(e)の注意点
旧規則1.63(e)のCIPは規則1.63(d)(1)でカバーされるので削除された。新規則1.63(e)は米国特許法第115条(h)(1)(説明書の補正)に対応して設けられた規則である。
また、米国特許法第115条(h)に基づき適時に出願手続期間中に提出された宣誓書または宣言書は、順守のため継続してレビューされる。しかしながら、出願においては規則1.48、特許においては規則1.324の順守が要求されているため、米国特許法第115条(h)に基づき、宣誓書または宣言書を提出しても、発明者の修正には作用しない。別途規則1.48,1.324を経る必要がある。
改正前 |
改正後 |
規則1.63 宣誓書または宣言書 (a) 非仮出願の一部として§1.51(b)(2)に基づいて提出される宣誓書又は宣言書は,次の条件を満たさなければならない。 (1) §1.66又は§1.68に従って作成,すなわち,署名されること。人が署名資格を有するための最低年齢はないが,署名をする者は,署名する能力,すなわち,当該人が署名しようとする文書を理解する能力を有していなければならない。 (2) 各発明者を,姓及び少なくとも1の略称でない名,その他にも名又はイニシャルがある場合はそれを含む完全名称によって特定すること (3) 各発明者の国籍を特定すること,及び (4) 宣誓又は宣言をする者は,記名されている発明者が,クレームされ,特許が求められている主題の本来かつ最初の発明者であると考えている旨を陳述すること (b) (a)の要件を満たす他に,宣誓書又は宣言書は,次の条件を満たさなければならない。 (1) 対象とする出願を特定すること (2) 宣誓又は宣言をする者は,宣誓書又は宣言書において明示して言及されているクレームを含む出願内容(補正書があるときは,それによって補正されたもの)を精査しており,かつ,理解している旨を陳述すること,及び (3) 宣誓又は宣言をする者が,§1.56において定義されている特許性にとって重要であることが当該人に分かっている全ての情報を特許商標庁に開示する義務を承知している旨を陳述すること (c) そのような情報が§1.76に従って出願データシート上で提供されている場合を除き,宣誓書又は宣言書は,次の事項も特定しなければならない。 (1) 各発明者について,郵便宛先,及び発明者が郵便を通常受け取る場所と異なる場所に住んでいる場合は,その居所,及び (2) §1.55に従って優先権主張の基礎とされる特許(又は,発明者証)についての外国出願があるときは,その出願,及び優先権主張の基礎とされる出願の出願日前の出願日を有する外国出願があるときは,その出願。特定の方法は,出願番号,出願に係る国,年月日を明示することによる。 (d)(1) 継続又は分割出願においては,§1.51(b)(2)及び§1.53(f)に基づく新たな宣誓書又は宣言書を作成する必要はない。ただし,次の事項を条件とする。 (i) 先の非仮出願が(a)から(c)までによって規定されている宣誓書又は宣言書を含んでいたこと (ii) 継続又は分割出願が,先の出願に記名されていた発明者の全員又はそれより少ない者によって提出されたこと (iii) 継続又は分割出願において提出された明細書及び図面が,先の出願において新規事項になると思われる事項を含んでいないこと,及び (iv) 先の出願において提出された,作成された宣誓書又は宣言書の写しであって,署名又は当該書類に署名がされていたことの表示を示すものが,継続又は分割出願について提出されること (2) 継続又は分割出願について本項に基づいて提出される,作成された宣誓書又は宣言書の写しには,継続又は分割出願において発明者でない者の名称の削除を要求する陳述が添付されなければならない。 (3) 作成された宣誓書又は宣言書であって,継続又は分割出願についてその写しが提出されたものが,§1.47に基づく状態を付与された先の出願において最初に提出されたものである場合は,その先の出願に関する,作成された宣誓書又は宣言書の写しには,次のものが添付されなければならない。 (i) 先の出願に対し§1.47の状態の付与を求める申請書を承認する決定書の写し。ただし,全ての発明者又は法定代理人が,継続又は分割出願が35 U.S.C.第120条,第121条又は第365条(c)に基づく利益を主張している,§1.47に基づく状態を付与された出願に参加するための宣誓書又は宣言書を提出している場合は,この限りでない。及び (ii) 1又は2以上の発明者又は法定代理人であって,先の出願に参加することを拒絶した,又は所在不明であった若しくは連絡が取れなかった者が,その後,先の出願,又は継続若しくは分割出願が35 U.S.C.第120条,第121条若しくは第365条(c)に基づく利益を主張する他の出願に参加している場合は,その出願に参加するために,当該発明者若しくは法定代理人によって提出された,その後に作成された宣誓書若しくは宣言書の写し (4) 先の出願の手続遂行中に委任状又は通信宛先が変更された場合は,委任状又は通信宛先に関する当該変更は,継続又は分割出願において確認されなければならない。それがなかった場合は,特許商標庁は,継続又は分割出願において,先の出願の手続遂行中における委任状又は通信宛先の変更を承認することができない。 (5) 先の出願において記名されていなかった発明者を記名する継続又は分割出願においては,新たに作成された宣誓書又は宣言書が提出されなければならない。 (e) 一部継続出願においては,新たに作成された宣誓書又は宣言書が提出されなければならないが,それには先の出願において記名されていた発明者全員,それより多い又は少ない発明者を記名することができる。 |
規則1.63 宣誓書または宣言書 (a)米国特許法第111条(a)に基づき出願された非仮特許出願、または、米国特許法第371条に基づき国内段階へ移行した非仮出願は、宣誓書または宣言書を含まなければならない、または含むよう補正しなければならない。本セクションに基づく宣誓書または宣言書は以下の条件に従わなければならない。 (1) §1.66(宣誓をさせる権限を有する職員)または§1.68(宣言書)に従って作成,すなわち,署名されること。 (2) 各発明者を,略称ではなくフルネームで特定すること(ミドルネームは除く) (3) 対象とする出願を特定すること (4)宣誓または宣言を行う者が、記載された発明者または共同発明者が、宣誓書または宣言書が提出された出願におけるクレーム発明の原発明者または原共同発明者であること信じているという声明を含むこと (5)出願が発明者によりなされたということ、または、発明者によりなされたと認められたということを陳述すること (6) 宣誓又は宣言をする者は,宣誓書又は宣言書において明示して言及されているクレームを含む宣誓書または宣言書が提出された出願内容(補正書があるときは,それによって補正されたもの)を精査しており,かつ,理解している旨を陳述すること, (7) 宣誓又は宣言をする者が,§1.56において定義されている特許性にとって重要であることが当該人に分かっている全ての情報を特許商標庁に開示する義務を承知している旨を陳述すること (b)そのような情報が§1.76に従って出願データシート上で提供されている場合を除き,宣誓書又は宣言書は,各発明者について,発明者が郵便を通常受け取る郵便宛先,及び居所を特定しなければならない。ただし、その発明者が当該郵便宛先と異なる場所に住んでいる場合に限る。 (c)(1)以下の場合、譲渡証に本セクションで要求される宣誓書または宣言書を含めてもよい (i)譲渡証が本セクションで要求される(a)及び(b)の情報及び陳述を含み、かつ、 (ii)譲渡証の写しが当該出願において提出され、かつ、本章第3部(譲渡、記録及び譲受人の権利)に記載されるとおり記録されること。 (2)規則1.63に基づく宣誓書または宣言書に対する言及は、本パラグラフに記載されている譲渡証を含む。 (d)(1)規則1.63に基づく新たな宣誓書又は宣言書は、米国特許法第120条(継続出願)、121条(分割出願)または365条(c)(合衆国を指定国とする国際出願の継続出願)に基づく規則1.78(先の出願日の利益の主張及び他の出願との相互参照)に従う先の出願の利益を主張する出願において、規則1.51(b)(2)( 出願に関する一般的要件 宣誓書または宣言書)及び規則1.53(f)( 出願後の出願の完成)または規則1.497(a)( .第371条(c)(4)に基づく宣誓書又は宣言書)に基づき要求されない。ただし,次の事項を条件とする。 (i)本セクションに従いなされた宣誓書または宣言書が先の出願で提出されていること。 (ii)署名またはそれがなされたことの表示を示すコピーが継続的出願において提出されていること。及び (iii)継続的出願に記載された新たな発明者が本セクションに従いなされた宣誓書または宣言書を提供していること。 (2)該当する場合は、本パラグラフに基づき提出された宣誓書または宣言書のコピーは、継続的出願における発明者でない発明者名の削除を要求する規則1.33(b)(補正書その他の書類)に従い署名された声明を伴わなければならない。 (3)先の出願が規則1.42(発明者が死亡または法的無能力である場合)または1.47(発明者が署名を拒絶するか又は発明者と連絡が取れない場合)に基づく嘆願を経た状態である場合、作成された宣誓書または宣言書の写しは、先の出願における嘆願を認める決定の写しを伴わなければならない。ただし全ての発明者または法定代理人が先の出願に後で加わった場合はこの限りではない。 一以上の非署名発明者または法定代理人が先の出願に後で加わった場合、作成された宣誓書または宣言書は、当該出願に加わるべく発明者または法定代理人により提出された宣誓書または宣言書の写しを伴わなければならない。 (e)米国特許法第115条(h)(1)に従い提出された宣誓書または宣言書はいつでも出願または特許の包袋に含められるが、USPTOによりレビューされないこともある。記載された発明者名のいかなる訂正要求も、出願においては規則1.48(特許出願における発明者名の訂正)、特許においては規則.1324(特許に関する発明者名の訂正)に従わなければならない。 |
(第6回へ続く)
このコラムに類似したコラム
米国特許判例紹介:クレームにおける使用目的に関する陳述 河野 英仁 - 弁理士(2013/05/15 14:00)
米国特許法改正規則ガイド 第10回 (第5回) 河野 英仁 - 弁理士(2013/04/22 14:00)
米国特許判例紹介:機能的クレームに対する記載要件(第3回) 河野 英仁 - 弁理士(2011/06/03 14:00)
米国特許判例紹介:機能的クレームに対する記載要件(第1回) 河野 英仁 - 弁理士(2011/05/30 14:00)
米国特許判例紹介:KSR最高裁判決後の自明性判断基準(第7回) 河野 英仁 - 弁理士(2010/12/31 14:00)