日経記事;"特許制度を共通化へ 日米欧韓、中国とも協議"考察 - 成長戦略・競争戦略 - 専門家プロファイル

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表
神奈川県
経営コンサルタント

注目の専門家コラムランキングRSS

対象:経営コンサルティング

丹多 弘一
丹多 弘一
(経営コンサルタント)
山本 雅暁
(経営コンサルタント)

閲覧数順 2016年12月03日更新

専門家の皆様へ 専門家プロファイルでは、さまざまなジャンルの専門家を募集しています。
出展をご検討の方はお気軽にご請求ください。

日経記事;"特許制度を共通化へ 日米欧韓、中国とも協議"考察

- good

  1. 法人・ビジネス
  2. 経営コンサルティング
  3. 成長戦略・競争戦略
情報・知識 ビジネス雑感

皆様、
おはようございます。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

3月6日付の日経新聞に、『特許制度を共通化へ 日米欧韓、中国とも協議6月から 発明者救済など40項目対象に』 のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『政府は6月から米国、欧州、中国、韓国と特許制度の共通化に向けた協議に入る。発明を論文などの形で出願に先立って公表した発明者の救済策や、審査中の特許技術の公開など40項目が対象になる。

特許制度を整備して企業が世界で事業展開しやすい環境を整える。特許出願が急拡大している中国に協調を促し、国際的な枠組みに取り込む狙いがある。

世界の特許出願数は年間200万件近くに上る。このうち外国への出願が4割を占めるが、国ごとに制度が異なっていて特許取得は見通しにくい。審査時間の長期化や出願コスト増大という問題もある。企業は制度の共通化を要望してきた。

世界の特許出願数の8割強を占める日米欧中韓は2007年から特許庁長官会議を開催。6月中旬の仏コルシカ島での会合では具体的な40項目について初めて協議入りで合意する。

それから1年後をめどに違いの少ない項目から順次共通化で合意する予定だ。各国の法改正の手続きを経て、制度を統一していく。

共通化の焦点の一つは、発明公開から申請までの猶予期間だ。企業などが製品を特許出願に先立って公表した場合、あとで出願しても資格を失うケースがある。発明者の権利保護のため公開から米国は1年、日本も半年の間に出願すれば特許が認められる例外があるが、中国は認めていない。

特許審査中の技術を公開するかどうかについても協議する。米国では公開しないため出願から何十年もたって特許取得が認められる場合がある。一般的になっている技術でも突然、他社の特許になり、日本の大手自動車会社はこれまで多額の和解金などを払ってきた。

米国が11年9月に、発明した時点を重視する「先発明主義」から特許出願の早さを優先する「先願主義」への移行を決めたことが特許共通化を急ぐ契機になっている。今後、特許だけでなく実用新案や意匠の共通化も検討課題になる見通しだ。

特許出願数は11年に中国が米国(会計年度)を抜いて初めて世界1位となった。中国で特許法にあたる「専利法」は1984年に制定。09年まで3回改定してきた。それでも中国で知的財産権に絡む摩擦が後を絶たないのは、運用の問題との指摘が多い。中国では急激に出願件数が増えたため審査員が不足している。

中国での特許紛争を巡っては「地方ではいまだに公正とはいえない判決が出る」(日系企業関係者)との声が少なくない。商標権をめぐり米アップルの多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」の販売差し止め訴訟を起こすなど、中国企業は特許に限らず知財全般で海外企業に揺さぶりをかけている。日米は制度共通化に向けた協議の中で運用面での改善を求める。

中国には実用新案や意匠を形式的な審査のみで認める例もある。中国企業は「取るに足らないアイデアでもとにかく出願する」(森・浜田松本法律事務所の遠藤誠弁護士)傾向があり、11年末に有効な実用新案の件数は約112万件に上る。中国企業が実用新案や意匠を根拠に外国企業を訴える事例も増えている。』


国際的な特許に大きな影響を与えたのは、記事にありますように米国が2011年9月に、発明した時点を重視する「先発明主義」から特許出願の早さを優先する「先願主義」への移行を決めたことです。

米国の「先発明主義」は、最初に発明をした発明者に特許権を与える制度で、例えば、研究者がある発明に関してアイデアを持っていてそれが研究ノート上での日付が確認できる形で残っていれば、他の人が先に出願しても、ノートの日付がそれより以前であれば、当該研究者に特許権を与える仕組みです。

米国が「先発明主義」を採用してきました。米国企業や研究者は、たびたび、「先発明主義」を活用して、既に他企業などが出願し製品に使われている特許に対して、米国内で後で出願してそれが認められると、特許侵害になり多額の和解金を支払ってきた事例が多くあります。

また、「先発明主義」は米国内にいわゆる「特許ゴロ」を存在させる温床にもなっており、たびたび国内企業が狙われてきていました。

この観点からみますと、米国が日本や欧州などの他国と協調して特許出願の早さを優先する「先願主義」への移行を決めたことは喜ばしいことです。

この為に各国が協力して「先願主義」をベースにした共通のルール作りに入りました。国内企業にとっては朗報です。

もう一つ、今後の特許政策に大きな影響を与えるのは、中国の扱いです。同日付の日経新聞に、世界知的所有権機関(WIPO)が発表した2011年の特許の国際出願件数で中国の通信メーカー、中興通訊がパナソニックを抜いて1位になったとのことです。

中国企業の国際出願件数は大幅に伸びており、昨年は1万6406件で、3位であるドイツの1万8568件に迫る勢いです。ちなみに、国別順位は、米国、日本、ドイツとのこと。

私も会社で働いていた時に、中国国内で起こされた特許侵害クレームに何回か直面した経験を持っています。中国の場合、取るに足らないと判断されるようなアイデアも特許化されますので、他国では特許侵害にならない技術やアイデアも中国ではクレームが成立することがあります。

最近では、アップルの「iPad」の商標を認めずに一部地域で販売停止にするという問題が話題になっています。

国内企業も以前、日本で使っている製品や地元産品のブランドが中国内で特許化され、同国内で使用できないなどの問題も何度か報じられました。

この原因の一つが、記事にありますように、「中国で特許法にあたる「専利法」は1984年に制定。09年まで3回改定してきた。それでも中国で知的財産権に絡む摩擦が後を絶たないのは、運用の問題との指摘が多い。」ことです。

今回の特許制度共通化は、中国も同じ仕組みに組み入れて、他国と共通なルール下で競争してもらう狙いがあります。

共通ルールで、各企業が合理的な競争を行うことは非常に重要です。この議論が進み、早期に主要国間で施行されることを期待します。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

カテゴリ このコラムの執筆専門家

(神奈川県 / 経営コンサルタント)
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表

起業・企業存続の為の経営戦略立案・実行と、ビジネススキル向上

起業及び、事業拡大や経営合理化を目指す企業に対して経営コンサルを行います。大手メーカーで得た経験を活かし、補助金活用、アライアンスやM&A、市場分析に基づいた事業戦略策定・実行や事業再生を支援します。OJT研修でのビジネススキル向上を支援します。

カテゴリ 「情報・知識」のコラム

このコラムに類似したコラム

日本人のあいまいさ 長谷川 進 - 経営コンサルタント(2016/03/04 10:38)

東京都中小企業知的財産シンポジウムのご紹介 長谷川 進 - 経営コンサルタント(2015/11/23 10:22)

中小企業海外侵害対策支援事業のご紹介 長谷川 進 - 経営コンサルタント(2014/07/26 16:06)

平成26年度かわさき知的財産スクールのご紹介 長谷川 進 - 経営コンサルタント(2014/04/19 15:24)