- 平 仁
- ABC税理士法人 税理士
- 東京都
- 税理士
対象:税務・確定申告
- 近江 清秀
- (税理士)
- 平 仁
- (税理士)
現在国会で審議されている平成24年度税制改正(案)について、
財務省は、ポイントを分かりやすく解説したパンフレットを公開しました。
http://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/brochure/zeiseian12.htm
今年の改正案の多くは平成23年度案の焼き直しがほとんどですが、
環境対策と公務員のワタリ防止対策がポイントという感じがしますね。
まず、環境という点からですが、
森林法による森林経営計画に基づく施業の継続を条件として、
施業の集約化及び路網の整備を行う山林について、その評価額の
80%に対応する相続税の納税を猶予する制度を創設しています。
緑の山を保護するための制度ですが、毎年農水相が確認して、
計画に基づいた施業がなされていない場合には、納税猶予が撤回され、
即時に対納税額の徴収にかかることになる制度ですから、
本当に山林を守る気がない場合には大変なことになります。
事業承継税制の80%納税猶予の事業継続・雇用継続要件と一緒ですね。
環境関連税制では、
自動車重量税は、次世代自動車や2015年度燃費基準対応車については
0.5t当たり2500円/年ですが、燃費基準未達成車は4100円、
13年超経過車で5000円、18年超経過車だと6300円となることになります。
私が乗る中古のマーク2(1.42t)の場合、燃費基準未達成なので、
燃費基準達成車が7500円のところ20500円です。痛いですね。
CO2排出エネルギーに対する石油石炭税は、ガソリン価格で
リッター2.04円のところ、3段階で2.8円まで上がることになります。
次に“ワタリ”防止。
退職所得は、(退職金-退職所得控除)×1/2に税率をかけるのですが、
勤続5年以下の法人役員等の場合には1/2課税を廃止するようです。
短期間しか勤めずに退職金をもらうなら高額の税金を払わせよう、
という趣旨ですね。
法人役員等が対象ですから、サラリーマンの大半には影響がない制度です。
ちなみに、退職所得控除は勤続20年までは40万×勤続年、
20年を超えた場合には、70万×(勤続年-20年)+800万となっていて、
ここは改正されません。
また、給与所得は、(給与総額-給与所得控除)に税率をかけるのですが、
現状では給与額が増えれば給与所得控除も増えます。
給与1500万円だと給与所得控除245万円ですが、
給与1800万円だと260万円、給与2400万円だと290万円なんですね。
改正案では、給与所得控除は給与1500万円の245万円が上限になので、
給与が1800万円でも2400万円でも給与所得控除は245万円のまま。
これによって高額の給与所得者の税負担が増えることになります。
高額の給与所得者だけ税負担増を求める目的はワタリ防止なのですから、
頑張って多額のボーナスを貰えた方にこの改正の影響が出ないよう、
会社役員等に限定して欲しいところですね。
節税目的で会社を設立している実質的個人事業者に対しても適用可能ですからね。
また、注目の相続税の基礎控除の改正は税制抜本改革に先送りされましたので、
平成25年度改正以降のテーマになるようですね。
このコラムに類似したコラム
いわゆるグリーン投資税制 平 仁 - 税理士(2012/09/10 11:08)
個人事業者は自分に給与は支払えない 高橋 昌也 - 税理士(2012/06/04 01:00)
24年度税制改正大綱(5、エコカー減税、CO2削減増税) 平 仁 - 税理士(2011/12/21 14:52)
自動車関連税制に関する研究会報告書 平 仁 - 税理士(2010/09/16 14:09)
2022年度税制改正大綱 賃上げ税制の拡大(中小企業編) 大黒たかのり - 税理士(2021/12/16 09:02)