- 森岡 篤
- 有限会社パルティータ 代表
- 建築家
対象:住宅設計・構造
屋根や外壁などの外部は、非常に過酷な環境にさらされています。
首都圏では、真冬でも気温が零下になることはほとんどなくなりましたが、真夏日照を受けると、表面温度は60〜70℃になることがあり、0℃〜70℃位になる可能性があります。
熱だけでなく強い紫外線も浴び、風雨も受けます。
昔は、外壁にもよく木材が使われていて、日本特有の街並みを作っていましたが、防火規定のため、余程敷地が広く、延焼を受けないような所以外は、使えなくなってしまいました。
木材を使わず、過酷な条件に耐えられる材料は限定されます。
街を見渡すと、住宅の外壁は圧倒的にサイディングが多いですね。
材料自体の耐候性はあるのでしょう。
ヨコ目地がサネ形状で、雨が入りにくい断面になっていることから、雨仕舞いが良い、と考えられていますが、タテのジョイントはシーリング(コーキング)に頼るもので、メンテナンスフリーではありません。
多くのサイディングは、タイル柄や石目調のような模様がつけてありますが、これはいかがなものでしょう。
一目でウソとわかるようなもので、美しいとも思えません。
材料は、それ自体の特徴をそのまま表現するのが一番良いと思います。
私たちの設計する住宅の外壁は、ほとんどがモルタルに左官仕上(予算なければ吹付仕上)か金属板(ガルバリウム鋼板)で、これが標準仕上となっています。
適切に施工すれば、共に十分な耐候性があります。
左官仕上は、手間のかかる仕上ですが、味わいがあり、年月と共に深みを増します。
ガルバリウム鋼板は、モダンな印象になりますが、街並みや自然とも調和する材料だと考えています。
葺き方によっては、味わい、暖かみを感じさせることもできる材料です。