定年退職後、建替えを決められたお施主様が共通して仰るには「この歳で建替えするとは夢にも思わなかった」と云う言葉です。傷みが激しい、地震が不安、窮屈、暗い、バリアフリーでない。動機は色々なのですが、当初はリフォームでどうにかならないかと考えているうちに、建替えまで及んでしまうようです。
60代の家の造り方と云うのは、言い換えればライフスタイルが確定した、自分達の求めるものが明確になった世代の、家造りであると言えると思います。
また、家造りと云うのは、大変エネルギーの要る作業です。最低60代の体力がなければ出来ません。お金があっても70代では気力が追いつかないのです。
子育てが終わり、時間に余裕が出来てその中で自分の個性を最大限発揮出来る家。それを見つめていくと、どうも建替えと云う答えが導き出されていくようです。
また、これも皆様異口同音に、自然と人が集まる様になるそうです。「一度来ると孫が帰りたがらない」とグチをこぼされますが、顔は笑っています。特別な用事も無いのにご近所が集まってくる。家を出た子供達が頻繁に帰ってくる。そんなことが多くあるようです。
自然と人の集まる家。これも60代の家造りのキーワードかと思います。
このコラムの執筆専門家
- 福味 健治
- (大阪府 / 建築家)
- 岡田一級建築士事務所
木造住宅が得意な建築家。
建築基準法だけでは、家の健全性は担保されません。木造住宅は伝統的に勘や経験で建てらていますが、昨今の地震被害は構造計算を無視している事が大きく影響しています。弊社は木造住宅も構造計算を行って設計しています。免震住宅も手掛けています。
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