事業承継と債権の共同相続 - 事業再生と承継・M&A全般 - 専門家プロファイル

村田 英幸
村田法律事務所 弁護士
東京都
弁護士

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渕本 吉貴
渕本 吉貴
(起業・資金調達・事業再生コンサルタント)
濱田 浩三
(事業承継アドバイザー(BSA))

閲覧数順 2017年03月25日更新

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事業承継と債権の共同相続

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相続

2 債権の共同相続 

(1)可分債権

貸金債権・普通預金債権・定期預金債権等の金銭債権は給付が可分である債権(可分債権)です。相続財産中に可分債権がある場合,複数の相続人間では,その可分債権は法律上当然分割され,各共同相続人が,その相続分に応じて権利を承継するのが原則です(最判昭和29・4・8民集8巻4号819頁)。

ア 貸付債権

 【事例】において被相続人甲が会社に対して有する貸付債権は当然に分割され,妻乙が500万円,長男丙と次男丁がそれぞれ250万円を取得します。被相続人甲が,1000万円の貸付債権を会社から回収するつもりがなくとも,相続人それぞれが会社に請求すれば,会社は支払わざるをえません。

イ 預貯金の取扱い

(ⅰ)銀行預金

 【事例】において被相続人甲が有している1000万円の預貯金は,妻乙が500万円,長男丙と次男丁がそれぞれ250万円ずつ預貯金債権を取得します。被相続人甲が,この預貯金を会社の事業資金とするつもりでいたとしても,各共同相続人は銀行に払い戻しを請求することができてしまいます。

この点,銀行は遺産分割協議書または共同相続人全員が捺印した同意書と印鑑証明書の提出がなければ払い戻しに応じていませんが,これは銀行の実務であって,相続人が銀行を相手に預金の払い戻しを求める裁判を起こせば,銀行は支払わざるをえません(東京高判平成7・12・21判タ922号271頁,東京地判平成9・10・20判タ999号283頁)。

(ⅱ)定額郵便貯金債権

 なお,定額郵便貯金債権については,「その預金者が死亡したからといって,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはない」ことに注意が必要です(最判平成22・10・8裁判所ウェブサイト)。郵便貯金法が定額郵便貯金につき,一定の据置期間を定め,分割払戻しをしないとの条件で一定の金額を一時に預入するものと定め,その預入金額も一定の金額に限定している趣旨が定額郵便貯金に係る事務の定型化,簡素化を図ることにあり,相続により分割されると解するとその趣旨に反することとなるためです(上記判例)。

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