日経記事;"日販,本「買い切り」導入へ協議 出版社/書店と"考察 - 新規事業・事業拡大全般 - 専門家プロファイル

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日経記事;"日販,本「買い切り」導入へ協議 出版社/書店と"考察

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皆様、
おはようございます。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

2月22日付の日経新聞に、『日販、本「買い切り」導入へ協議 出版社・書店と』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『出版取次最大手の日本出版販売(日販)は書籍の取引で、書店からの返品を制限する「買い切り制」を導入する方向で大手出版社や書店と協議に入る。

現在、書店は売れ残った書籍を原則として自由に返品できるが、取り分(売上総利益)が少ないうえ、返品コストは出版社や取次の収益を圧迫している。市場の縮小が続き、電子書籍の普及も始まっていることから、商習慣を改め業界全体の生き残りにつなげる。

今春、講談社や小学館などの出版社、有隣堂(横浜市)などの書店に提案する。買い切り取引は現在でもわずかにあるが、出版流通に強い影響力を持つ日販が導入すれば書籍の取引慣行を大きく変える可能性がある。

2016年3月期に書籍売上高の3割を新契約での取引に移すことを目指す。取引先がどの程度応じるかは不明だが、書店が加盟する日本書店商業組合連合会の大橋信夫会長は「利益さえ確保できれば歓迎」と話す。

出版社側にも「業界全体として買い切りを導入する方向に進むだろう」(大手)との声も出ており、実現する可能性は高い。

新契約には数種類を用意する。
(1)書店の売上総利益率を35%と約10ポイント高くする代わりに、返品する場合の返金額は仕入れ代金より低くする
(2)一定期間がたてば書店が小売価格を決められる(時限再販)一方、その後は返品を認めない
(3)書店の取り分を厚くして、完全買い切りにする――など。

個々の書籍やジャンルに合った契約を当てはめるとみられ、既存の返品自由の取引も並行して続ける。日販は新契約を導入した場合に得られる利点を出版社・書店の双方に訴え、契約企業を増やしていく。

書籍は再販売価格維持制度の対象品で、書店には小売価格の決定権がない。売れ残れば自由に返品できるが、出版不況もあって業界全体の返品率は40%に達する。無駄な物流費や過剰な発行部数などの非効率性が出版業界全体の収益性を低下させている面もある。

日販の書籍返品率は現在35%。16年3月期に売り上げの3割を新契約へ切り替えれば、返品率は25%に下げられるとみている。

出版市場の縮小は続いており、書店数はこの10年で3割減少した。普及が始まった電子書籍も既存の書籍流通にとっては逆風となる。日販は買い切り品の取扱量を増やすことで生まれる利益を出版社と書店に分配し、出版市場の縮小に歯止めをかけたい考えだ。』


私は、昨年2011年10月20日に、日経記事;『アマゾン、年内にも日本で電子書籍 出版社と価格詰め』に関する考察 のタイトルでブログ・コラムを書きました。

この中で、日経新聞はアマゾンの動きについて以下のように書いていました。

『アマゾンは日本で電子書籍事業に参入する。小学館、集英社など出版大手と価格設定などで詰めの交渉に入っており、年内にも日本語の電子書籍を購入できるサイトを開設。

スマートフォンなどに配信し、自社の電子書籍端末「キンドル」も投入する構え。日本勢も紀伊国屋書店や楽天がソニー製端末への書籍提供を始める。日本でも電子書籍の普及が本格化しそうだ。

アマゾンは講談社、新潮社などとも交渉しており、1~2カ月以内に数社との契約を目指している。中堅出版のPHP研究所とは合意した。PHPは約1000点の書籍を電子化して提供する方針。

米国の電子書籍市場ではアマゾンが価格決定権を握っており、9割引きといった値付けをしたり、作家と連携して話題作を電子版で先行販売したりしている。

国内ではアマゾンの安売りを警戒する出版社側がアマゾンへの電子書籍提供に難色を示していた。アマゾンは出版社側に対し、電子書籍の発売時の価格設定や値下げのタイミングについて両者が事前に協議する仕組みを提案したもようで、交渉が進展した。。。』

今回の日販の動きは、アマゾンが近々に行うであろう、日本での電子書籍事業への参入に対するものであるのは間違いないとみています。

現在の再販制度では、書店側に価格決定権はありません。その代わりに、返品が認められる日本独自のスキームになっています。

アマゾンがキンドルを本格的に国内市場に導入しますと、現在の出版事業の仕組みが大きな影響を受ける可能性があります。それはアマゾンが書籍の価格決定権を持つことによります。

現時点で、日本ではまだ電子書籍がそれほど普及していません。2011年10月20日付の日経記事によると、国内の出版市場の大きさは、2兆円/年。対して電子書籍の売上は、650億円/年。5%以下とのこと。

これは、魅力的なコンテンツがまだ多くないことと、国内メーカーやアップルが乱立して独自フォーマットの電子端末を提供していることによります。

アマゾンは、キンドルを低価格で提供し、自社のWebサイトで電子書籍をネット販売する仕組みでアメリカ市場を席巻しました。その結果、昨年幾つかの大手リアル書店が倒産しました。

キンドルは、現在市場にある端末の中で一番紙に近い感じの使い勝手を提供しているとのこと。これが価格の安さと相乗効果を上げて、アメリカ市場で一気に普及した理由と言われています。

アマゾンが、PHP研究所や講談社、新潮社などとの契約を締結できれば一気に国内市場に参入してきます。
そうなると、国内出版業界は、出版業者及びリアル書店の双方に大きな影響が出て来ます。

今回の日販の動きは、アマゾン市場参入前か同時期に出版業界の仕組みを変えようというものです。アマゾンという外資の圧力に対応するものです。

出版業界も製造業界と同じような競争にさらされると共に、電子書籍を前提にした新しいコンテンツの制作と供給体制を作らないと勝ち残れない状況になります。

リアル書店も今の事業形態をそのまま続けていくと、アメリカで起こったように倒産の嵐に巻き込まれる可能性があります。

リアル店舗の良さ・魅力を更に強化する、例えば事務用品や文房具製品などの陳列品を強化して集客力を高めるなどの工夫が必要になります。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁

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