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手形借入れで「コロガシ」できても安心できません

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信用金庫や地銀は、中小企業へ融資するかどうかの判断を行うに
当たって金融庁の検査マニュアルに従って判断を行います。

その検査マニュアルには、具体的な事例とともに銀行
(信用金庫・地銀)が融資するかどうかを判断したポイントと、
その判断基準の適否について解説が記載されています。
この【銀行交渉のポイント編では】27パターンの事例を紹介します。

 中小企業の経営者の皆様におかれましては、
御社の決算内容、銀行との交渉と比べながら読んでいただくと
わかりやすいと思います。

 以下の事例集は、すべて銀行(信用金庫・地銀)の立場から
書かれた内容なのでこの文中で債務者と表現されているのは、
一般の中小企業のことです。

【事例-19 手形借入れで「コロガシ」できても安心できません 】
<概況>
債務者は、当行準メイン先(シェア30%、与信額:平成13年3月
決算期    200百万円)。地場大手の衣料品製造卸売業者である。
 
<業況>
 大手商社を主な取引先としているが、アジア諸国からの輸入衣料品
の増大や受注競争の激化などから、売上の伸び悩みや利幅が縮小し3期
連続赤字を計上、さらに、前期は大口取引先の倒産などもあって赤字が
増加し、債務超過に陥っている。 当行は、5年前債務者に地元食品
スーパーとの共同事業によるショッピングセンター建設計画が持ち上った
ことから、取引深耕に努め、建設予定地の取得資金    200百万円
(手貸)を融資した(当該土地を担保徴求)。
 しかしながら、その後、当該建設計画は諸般の事情から頓挫し、
建設予定地は現状更地のままとなっている。また、当該土地の処分可能
見込額は80百万円まで下落している。
 当該資金については、本来であれば3年前から事業化の進展により
約定弁済が行われる予定であったが、建設計画の頓挫や本業の不振
によるキャッシュフロー不足、さらには、当該土地の大幅な値下がり
による処分遅延から現状は短期運転資金として期日6か月で書替え
を繰り返している(金利は据え置きで短期プライムレート+0.1%)
 なお、債務者は今後、当該土地を外注先への賃貸や売却などにより
何らかの活用を図りたいとしているが、具体的な事業計画は何ら策定
されていない。
 
<自己査定>
 当行としては、前期に債務超過に陥ったことや、先行きの業況回復も
当面見込めない経営環境にあることから要注意先とした。

 貸出条件緩和債権(元本返済猶予債権)に該当するか否かについては、
基準金利(同等な信用リスクを有している債務者に対して通常適用される
新規貸出実行金利。以下、「基準金利」という。)を基準として判断
すべきであるが、当行は、行内格付や貸出期間等の如何にかかわらず、
一律に短期プライムレートを基準金利としており、本件土地取得資金
については、条件変更時の金利が当該基準金利を上回っていることから、
元本返済猶予債権には該当しないとしている。

<検証ポイント>
書替え継続中の手形貸付に係る貸出条件緩和債権(元本返済猶予債権)
の取扱いについて

<解説>
1.貸出条件緩和債権については、銀行法施行規則第19条の2第1項
第5号ロ(4)において「債務者の経営再建又は支援を図ることを目的
として、金利の減免、利息の支払猶予、元本の返済猶予、債権放棄その他
の債務者に有利となる取決めを行った貸出金」と規定されている。

 また、中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針は、元本返済猶予債権
(元本の支払を猶予した貸出金)のうち、貸出条件緩和債権に該当するもの
として「当該債務者に関する他の貸出金利息、手数料、配当等の収益、
担保・保証等による信用リスク等の増減、競争上の観点等の当該債務者に
対する取引の総合的な採算を勘案して、当該貸出金に対して、基準金利
(当該債務者と同等な信用リスクを有している債務者に対して通常適用
される新規貸出実行金利をいう。)が適用される場合と実質的に同等の
利回りが確保されていない債権」が考えられるとしている。

 この中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針の規定の趣旨は、
当該債務者と同等な信用リスクを有している債務者に対して通常適用される
新規貸出実行金利を下回る金利で元本返済の猶予が行われる場合には、
債務者に有利となる取決めに該当し、貸出条件緩和債権となる
というものである。
 
2.書替えが継続している手形貸付については、債務者の返済能力の低下
(信用リスクの増大)から期日返済が困難となり、実際上は条件変更を
繰り返している長期資金と同じ状況(いわゆる「コロガシ状態」)
となっている場合があるため、債務者の信用リスクについて十分に検討する
必要がある。

 本事例の土地取得資金について書替えが繰り返されている背景を見ると、
事業計画の頓挫や本業の返済能力の低下から当該土地取得資金の分割返済が
叶わず、加えて、当該物件の大幅な値下がりから売却処分ができず、
実質長期資金化している状況があり、信用リスクが増大していることが伺われる。
 
 このような信用リスクの状況を踏まえ、当行における信用格付、及び貸出金
の保全状況や貸出期間等を勘案した金利水準の状況等を参照しつつ、
当該手形貸付書替時の金利が、現状、当該債務者と同等な信用リスクを有する
債務者に対して通常適用されている新規貸出実行金利よりも低い水準となって
いれば、原則として、貸出条件緩和債権(元本返済猶予債権)に該当する
ものと判断される。
 
3.なお、当行のように、格付区分や貸出期間の長短等に関わらず
同一の基準金利に基づき開示の要否を判断している場合は、原則として、
基準金利の設定が粗く開示債権の把握に問題があると考えられるため、
この点についての是正が必要である。

*********************************
 今回のポイントは、最後の段落に記載されている部分です。
『当行のように、格付区分や貸出期間の長短等に関わらず同一の基準金利
に基づき開示の要否を判断している場合は、原則として、基準金利の設定
が粗く開示債権の把握に問題があると考えられるため、この点についての
是正が必要である』と、いうことです。つまり、基準金利の設定を見直す
ことによってこの会社の手形のコロガシがストップされるリスクもあると
いうことです。 手形のコロガシができていても、安心できません。
資金繰りには、充分にご注意ください。

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