『積算資料』を読みこなす - リフォーム・増改築全般 - 専門家プロファイル

藤木 哲也
株式会社エアリーフロー 代表取締役
東京都
不動産コンサルタント

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対象:リフォーム・増改築

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『積算資料』を読みこなす

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「工事の金額って分かりにくい」とよく耳にします。私も20年近くこの業界をやってきましたが、それでも全く同感で、同じ心境です。ただし「分かりにくいものだ」ということへの免疫がついているので常にあまり驚くことがないのは経験値と言えます。反対に分かっているような顔をする人を信じ込んではいけないかもしれません。

工事の金額を不明朗にする要素は3つあります。相場と取引と労務です。特に修理やリフォームの場合は3つ目の労務費の見込みがむずかしいのです。その難しさ(リスク)があるがゆえに、それが「取引コスト」の振れ幅として反映されます。いわゆる駆け引きの値段です。リスクが高い商品にはプレミアムが付加されるのが経済原理です。さらには相場の変動要因が加わります。原価となる材料や労働力の相場は常に動いていますが、たいていの地場の工事業者の資本力があまり大きくないため、その変動をのみこめずにすぐに価格に反映せざるを得ません。リフォーム系の業者が地域密着型でもあるので、この傾向が強くなります。

すなわち、工事代金とは「かけ引きのかたまり」と言えます。値札のない八百屋でいかにして安くていい野菜を手に入れることができるでしょうか。あきらめてスーパーマーケットに行くのもひとつの選択肢でしょう。しかし、このサイトを見ている人なら、商店街の八百屋や魚屋で買い物をしたいのではないでしょうか。

「かけひき」に強くなる

かけ引きならば、その準備が大事となります。まずは情報収集です。情報の差がそのまま勝負の差となります。かけ引きを決めるのは話術だと思っている人もいるかもしれませんが、それが全てではありません。むしろ話術に自信がある人ならなおさら情報収集が大事です。もっとよい結果を得られる可能性があるからです。

このデータベースがあなたの情報源になることを目指していますが、情報の「量」を一気に入手する方法があります。それが「積算資料」(写真)です。これは、建築・土木関連の資材や工事費の直近の調査価格が電話帳のごとく掲載されているものです。ちょっと大きい書店なら工学書の「建築」のコーナーに行けば同じような本が何種類か並んでいます。業界では「物価本(ぶっかぼん)」とこれを呼び、積算の仕事をしている人のバイブルと言えるものです。写真のような「ポケット版」なら3,000円程度で買えます。アマゾンでも売ってます。

ただし、これに載っている数字をまともに信じる業界関係者いないというのが、ユニークな点です。全く実勢価格とは異なっていることをよく頭に入れたから読んでください。基本的に物価本の金額は実際の取引価格よりも高めで、私の実感ではこの6割程度が実際の価格といったところです。なぜこのような「二重価格」がまかり通っているかというと、これが官公庁工事の査定資料として使われるからです。役所の査定は民間のよりずっと甘いです。反対に言うと民間はシビアです。その両方の仕事をこなしながら建設業はぎりぎり生きながらえてきているのですが、こういった価格資料がその一翼を担っているのはちょっとした発見かもしれませんね。

複数の情報源を活用する

その「お決まり」を理解したうえでプロはこの本を上手に活用しています。少なくとも物価本と同じレベルの金額の見積が出てきたら、「お役所工事並みに高いよ」と返事をしてあげましょう。しかしながら、実際の工事費はもっと複雑で、仮設費用や管理費のような項目が別途かかってきます。したがって物価本の数字をそのままかけ引きに使うのも無理があります。

そこでインターネットを活用します。例えば、物価本に載っているトイレの便器の型番と金額を調べます。その型番でネットを検索すると、ネットショップで売られていることがあります。ネット通販の場合は取り付けは別途となりますが、材料代の底値を把握することができます。これと物価本価格とのギャップをいくつか見ていくことで、相場感をつかむことができるでしょう。

ただし注意も必要で、ネットショップの事情などによる型落ち品の在庫処分であったり、配送後の取り付け工事の受注を見込んでの戦略的な値引きだったりすることもあるので、安易にこれを市場相場と鵜呑みにしないほうがいいでしょう。ネット上の金額を業者に提示して値引き交渉をするのはあまり得策にならないことが多いです。そんなことをすれば、「それではご自分で取り付ければいいんじゃないですか?」と言って逃げられることもあります。あくまでも交渉の材料として上手に使わなければならないのです。

 

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