中小企業における事業承継(事業承継の3つの側面) - 事業再生と承継・M&A全般 - 専門家プロファイル

村田 英幸
村田法律事務所 弁護士
東京都
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対象:事業再生と承継・M&A

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中小企業における事業承継(事業承継の3つの側面)

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第2 中小企業における事業承継(事業承継の3つの側面)

中小企業の事業承継には,以下の3つの側面が見られます。

1 支配的な株主変更としての側面

中小企業の経営者の多くは,自社株を保有し,支配的な株主となっています。そして会社の重要事項を決定する株主総会の決議は基本的に株式を多く持っている者により支配されます。そのため,後継者が従前の会社経営をそのまま引き継ぐためには,この自社株を引き継がなければなりません。

しかし,相続により現経営者の株式が相続人間で分散される事態が生じます。また,この株式は財産権としての意味合いを持ち,現経営者の個人資産の一部となっていますから,後継者が株式を承継したとしても,後継者以外の相続人の遺留分を侵害すれば,その相続人から遺留分減殺請求を受けることになります。

 

2 事業用資産の所有者変更としての側面

中小企業においては,経営者の個人資産が事業用に用いられています

(『中小企業の事業承継の実態に関するアンケート調査平成18年10月』によれば,中小企業経営者の個人資産に占める事業用資産の割合は,6割を超えます。)。そのため,後継者が従前の会社経営をそのまま引き継ぐためには,現経営者の個人資産でもある事業用資産を引き継がなければなりません。

しかし,現経営者の個人資産につき相続が開始すれば,その資産は相続人間での共有状態となり(民法898条),処分行為や管理行為を単独では行えなくなります。事業用資産としての使用が継続できなくなれば,会社経営を維持することは困難になります。

 

3 経営者変更としての側面

中小企業の場合,その経営者は,経営のトップとして経営力や技術力について,個人的な信用を得ていることが多いといえます。このことは,対外的な信用のみならず,対内的な会社の経営体制面においても妥当します。すなわち,中小企業の多くは,現経営者が昔から目をかけて教育してきた幹部が一枚岩となり,現在の足並みの乱れにくい経営体制が築き上げられていると考えられるのです。事業承継が行われるということは,会社内外において非常に大きな存在である経営者が交代するということです。

 

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