増築について - 住宅設計・構造全般 - 専門家プロファイル

志田 茂
志田茂建築設計事務所 代表
東京都
建築家

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対象:住宅設計・構造

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増築について

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これから家をつくる人へ 家づくりの基本


先日電話で、増築についてのご相談がありました。こちらの質問でも見かける事があります。

増築についてまとめてみました。

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増築に関する法規について

昔なら、増築はなんら問題なくできていましたが、今では、増築するにあたり、古い家についても、構造補強やシックハウス対策等、現在の法規に合うように改修しなければなりません。(*増築するには、基本的に建築確認申請が必要)

増築する場合の判断基準として3つあります。

1)増築面積が既存部分の延べ面積の1/20以下かつ50m2以下の場合

2)増築面積が既存部分の延べ面積の1/2以下の場合

3)増築面積が既存部分の延べ面積の1/2を越える場合

増築する場合には、既存部分含めて構造的に安全であるようにしなければいけない、という事になっています。

1)→2)→3)という順で、求められる事が大きくなります。

また、3)の場合でも、既存の建築時期によって変わりますが、「現行の法規に適合させる」ための工事を完了させるのに、「猶予期間」が設定されています。

*詳しくは下記リンクがわかりやすいです。(たぶん)

「(木造)既存不適格建築物へ増築する際の緩和基準」概要版チラシ(島根県)


ちなみに「既存不適格」とは、最新の法規に適合しないものの事を言います。様々な部分で法改正が行われていますから、ほとんどのものが「既存不適格」になります。完了検査を受けて(一応)その時は合法だったものも、時が経てば、いつの間にか「既存不適格」となってしまいます。(なんか他に言いようがないものか・・・)

増築する時には、既存+増築の合計の面積が、建ぺい率・容積率の規定を満たさなければいけないので、大きな敷地で、元々面積に余裕がないと、あまり大きく作る事はできません。

都心の家ですと、ほんの少ししか増やせないという事は、多くの家である事でしょう。

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増築しないで、敷地を分割して、新しい家を作る


ある程度敷地が大きく、その敷地が、道路と接する長さが4m以上ある場合には、道路に2m(以上)接するように敷地を分割して、新しく建物を作る事ができます。

その場合の「分割」とは、登記の「分筆」とは違い、建築確認を出すために、敷地の形状を分ける(だけ)の事です。ご両親の敷地にお子さんの家を建てる場合などがこのケースです。(のちの相続という事を考えれば、その時に分筆したほうがいいかもしれませんが・・)

その場合に注意しなければいけないのは、敷地を分けた時に、既存の建物が、分けた敷地の中で、「建ぺい率・容積率」等の規定を満たさなければいけない という事です。

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増築にしても、敷地分割にしても、元の土地がある程度大きくないと、作れる面積は小さくなります。ご両親の家の隣に家を建てたい、とか、2世帯に作り変えて住む、という事情で考えられる場合が多いだろうと思いますが、「作れる部分が小さい」とがっかりせずに、小さな家でも・・・たとえば延べ15坪(約50m2)の家でも、家族4人なら十分に住めますので、希望を持って考えて欲しいと思います。

既存の家を思いきってリノベーション(全面的改修)すれば、必要最低限の希望を満たせる可能性もあります。

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写真は、ご実家に戻って2世帯で住むために改修した家 [杉並R] です。

元々増築してあった家で、今回増築部分をメインに改修しました。増築の時に、母屋と増築部分には床の段差がありました。手前が増築部で奥が母屋。写真の「開いている部分」は、元は壁でした。段差はなくせませんが、腰掛けるのに丁度いい高さで、それはそれでいいものです。「悪い」と思う部分も考え方ひとつで変わります。

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リノベーション>リフォームをこえて


表面的な模様替えとしてリフォームを、もっと踏み込んで「家づくり再び」と考えてみましょう。大掛かりな工事にはなりますが、必ず見違える住まいに産まれ変わります。もう一度、家づくり を楽しんでみませんか!

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