事業承継とM&A(株式交換・株式移転) - 事業再生と承継・M&A全般 - 専門家プロファイル

村田 英幸
村田法律事務所 弁護士
東京都
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事業承継とM&A(株式交換・株式移転)

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3 株式交換・株式移転

(1)株式交換・株式移転とは

 株式交換とは,既存の複数の会社間で株式の交換をすることにより,親子会社関係を構築する組織再編行為です。具体的には,親会社となることが予定される株式会社又は合同会社(株式交換完全親会社)の株式やその他の財産と引換えに,子会社となることが予定されている株式会社(株式交換完全子会社)の発行済株式を,完全親会社に取得させることをいいます(会社法2条31号)。事業承継の場合,経営者等が保有していた自社株が交換先会社の株式に替わることになります。

 株式移転とは,1または2以上の株式会社がその発行済株式の全部を新たに設立する株式会社に取得させることをいいます(会社法2条32号)。これは,完全親会社となる株式会社へ,子会社となる株式会社の株式が全部移転し,その対価として,完全子会社の株主が完全親会社の株式を取得することで,親子会社関係を構築する組織再編行為です。

 株式交換・株式移転はどちらも,複数の会社間で,親子会社関係を構築する制度である点で共通します。しかし,株式交換は既存の会社相互間で,完全親子会社化を実現する制度であるのに対して,株式移転は,親会社となる株式会社を新設して,既存の会社を完全子会社とする制度である点で異なります。

(2)手続

 株式交換の手続は,吸収合併とほぼ同じ手続です。各会社において,取締役会決議(会社法362条4項),株主総会の特別決議が必要になるうえ(会社法783条1項,795条1項,309条2項12号),反対株主の株式買取請求権(会社法785条,797条),株式交換完全子会社の一定の新株予約権者に新株予約権買取請求権(会社法787条)があります。ただし,会社債権者異議手続については,原則として不要で,①新株予約権付社債の承継をする場合(会社法789条1項3号)に株式交換完全子会社において,また,②株式交換完全親会社の株式その他これに準ずるものとして法務省令で定めるもののみである場合以外のものを対価として交付する場合(会社法799条1項3号)に株式交換完全親会社において,例外的に必要となります。

(3)メリット・デメリット

株式譲渡と同様,株主が入れ替わるにすぎず,売り手企業が消滅することもありません。既存の売り手企業は存続するわけですから,従来から得ていた事業に関する免許などを改めて取り直す必要がありません。

また,売り手企業の雇用関係もそのままです。

さらに,売り手企業に買い取りに応じない株主がいる場合であっても株主総会の特別決議を経ることで強制的に反対株主からも株式を取得することができます。

また,株式交換の対価として現金の代わりに自社株で支払うことになりますので,買収資金の準備をしなくてよいというメリットもあります。

 もっとも,売り手企業の株主が対価として得るのは買い手企業の株式であるため,買い手企業が非上場企業である場合には,換金することが困難であるというデメリットもあります。

また,買い手としては,当該会社の新株主となるため,当該会社の簿外債務や偶発債務をそのまま引き受けるという危険性があります

 なお,株式交換完全子会社にとっては株主の変更が起こったに過ぎず,特に課税関係は発生しません。

 

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