定年間近の高齢社員の賃下げの可否(みちのく銀行事件) - 労働問題・仕事の法律全般 - 専門家プロファイル

村田 英幸
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閲覧数順 2016年12月06日更新

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定年間近の高齢社員の賃下げの可否(みちのく銀行事件)

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【コラム】定年間近の高齢社員の賃下げの可否(みちのく銀行事件 最判平成12・9・7民集54巻7号2075頁)

(ⅰ)事案

 Y銀行は,高コストで収益力の弱い企業体質を有しており,55歳以上の行員の割合が他銀行に比べてはるかに高い割合になっていました。そこで,Y銀行の定年は60歳であることから,55歳以上の行員を原則として専任職行員とする専任職制度を導入し,専任職の賃金を低く抑える就業規則変更を行いました。本件就業規則変更による賃金の削減率は平均約33~46%に達します。専任職となったXらは,本件就業規則変更の効力を争い,専任職制度が適用されなかった場合に得べかりし賃金との差額の支払いを求めました。

(ⅱ)判旨

 裁判所は,第四銀行と同じ判断枠組みを前提としながらも,本件就業規則変更の合理性を否定しました。具体的な判断ポイントは,以下の点です。

① Y銀行は,発足時から60歳定年制であったのだから,55歳以降にも所定の賃金を得られるということは,単なる期待にとどまるものではなく,労働者の労働条件の一部となっていたものである。

② 確かに,本件就業規則変更は,Y銀行にとって高度の経営上の必要性があったということができる。

③ しかし,Xらの担当職務内容について数十%の賃金削減を正当化するに足りるほどの職務の軽減が現実に図られているとはいえず,また,代償措置を加味して判断しても,Xらの不利益は極めて重大である。

④ Xらは,段階的に賃金が増加するものとされていた賃金体系の下で長く就労を継続して50歳代に至ったところ,60歳の定年5年前で,賃金が頭打ちにされるどころか逆に半額に近い程度に切り下げられることになったものであり,これは,55歳定年の企業が定年を延長の上,延長後の賃金水準を低く抑える場合(みちのく銀行事件)と同列に論ずることはできない。

⑤ 本件就業規則変更は,短期的にみれば,特定の層の行員のみ賃金コスト抑制の負担を負わせているものと言わざるを得ず,それらの者は中堅層の労働条件の改善などといった利益を受けないまま退職の時期を迎えることとなる。

⑥ 行員の約73%で組織される労働組合(Xらは組合員ではない)が本件変更に同意しているが,Xらの被る不利益の程度や内容を勘案すると,労働組合の同意を大きな考慮要素と評価することは相当でない。

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