不眠とは、満足すべき睡眠が取れないことをいいます。ですから、睡眠時間が短くても、本人が満足していれば不眠ではなく、睡眠時間がある程度あっても、本人が満足しなければ、不眠なのです。もう少し専門的に言うと、なかなか眠れない(入眠困難)、夜中に何度も起きる(頻繁、または長時間の途中覚醒)、眠っても疲れがとれない(不適切、または質の悪い睡眠)など、これらに一つでも該当すると、不眠ということができます。
このような症状に、東洋医学、とりわけ鍼灸治療は大きな効果を発揮します。20年来不眠に悩まされていた患者さんがいました。その患者さんは、眠れないので小さな音でラジオをかけて気を紛らわせていたそうです。はり・きゅうの治療を受け、次の週に来た時に「楽しみにしていた深夜番組が聞けなかったのです!」と怒られているのか感謝されているのか分からない報告を受けました(笑)。20年来の不眠なので、治療に時間がかかると思っていたのですが、1回で効果が出たので、印象深く私の頭に残っています。
全ての人が一回で治るというわけにはいきませんが、多くの方が効果を実感しています。次回はどのような考えで治療を行うのかをお話したいと思います。