有限責任社員に従業員退職金規定の適用が認められた事例 - 労働問題・仕事の法律全般 - 専門家プロファイル

村田 英幸
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閲覧数順 2016年12月09日更新

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有限責任社員に従業員退職金規定の適用が認められた事例

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【コラム】合資会社の有限責任社員で,「専務取締役」の名称の下に無限責任社員の職務を代行していた者について従業員退職金規定の適用が認められた事例(最判平成7・2・9判タ874号123頁)

 原告は被告合資会社の有限責任社員でありましたが,「専務取締役」との名称の下に,事実上の社長として,被告合資会社の代表者(原告の母親)である無限責任社員の職務を代行していました。第一審において被告合資会社には役員退職金基準の存在が認められないとされ,控訴審以降,原告への従業員退職金規定の適用の有無が争点となりました。

 最高裁は,控訴審の判断を是認し,原告に対する従業員退職金規定の適用を認めました。

 原告に対して従業員退職金規定の適用を認めた以上,判旨は明言していないものの,「専務取締役」たる原告の従業員性を認めたものであると理解できます。

 会社法の下では,合資会社の有限責任社員も原則として業務執行権限を有しています(会社法590条1項)が,この判例で問題となる旧商法下では,無限責任社員のみが業務執行権限を有し(旧商法151条1項),有限責任社員は定款で定めない限り業務執行を行ったり会社を代表することが禁じられていました(旧商法156条,最判昭和和24・7・26民集3巻8号283頁)。

 本件では,定款によって会社の業務執行権限が与えられていた事実は認められず,原告には,法律上,業務執行権限や会社代表権は認められていません。そして,会社代表者である無限責任社員の職務を代行していたのは,会社代表者の指揮命令の下に労務を提供していたにとどまるとされ,原告に対する従業員退職金規定の適用が認められています。

このように,事実上の社長として会社代表権,業務執行権限を行使していたとしても,法的権限が認められない場合には,会社代表権,業務執行権限を有する者の職指揮命令の下に職務を代行していたにすぎないと評価され,従業員性が認められる場合があり得ます。

 

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