使用人(従業員)兼務取締役の退職慰労金 - 会社法・各種の法律 - 専門家プロファイル

村田 英幸
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閲覧数順 2024年04月24日更新

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使用人(従業員)兼務取締役の退職慰労金

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5 使用人兼務取締役の退職慰労金

 使用人兼務取締役が受ける退職慰労金には,役員としての退職慰労金部分と従業

員としての退職慰労金部分とに分かれることになります。

 そして,別に従業員としての就業規則や労働協約の一部をなす退職慰労金支給規

程が定められていれば,従業員としての部分については会社361条の適用がありま

せんから,当該支給規程に基づき会社に対して,従業員としての退職慰労金を請求

することが認められます。

しかし,役員としての部分については,仮に退職慰労金支給規程が役員・従業員

について共通に適用されるものであったとしても会社法361条の適用があり,定款または株主総会の決議がない限り,会社に対してその請求をすることは認められません(最判昭和56・5・11判時1009号124頁)。使用人兼務取締役の退職慰労金を役員としての部分と従業員としての部分とを明確に分けることは困難であり,その算定方法につき争いが生じることがあります。

 なお,一般に従業員が取締役に就任する過程で労働契約をいったん終了させ,退

職扱いとすることがあります。この場合,退職金がその時点で支払われていない場

合には,従業員としての退職慰労金請求権は5年の消滅時効にかかることになりま

す(労働基準法115条)。

 取締役に就任したことにより,従業員の身分は喪失したとして従業員としての退

職金の支払いを拒もうとした会社の主張を排斥し,退職時の身分は,従業員兼取締

役であると認定した裁判例があります(千葉地判平成元・6・30判時1326号150頁)。

取締役であるものの,従業員としての身分も失っていないとする法律構成により,

会社に対して従業員としての退職慰労金を支払わせることができる場合があります。

 

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