取締役会が退職慰労金の決定を行わない場合の救済 - 労働問題・仕事の法律全般 - 専門家プロファイル

村田 英幸
村田法律事務所 弁護士
東京都
弁護士

注目の専門家コラムランキングRSS

対象:労働問題・仕事の法律

村田 英幸
村田 英幸
(弁護士)
田中 圭吾
(行政書士)

閲覧数順 2016年12月04日更新

専門家の皆様へ 専門家プロファイルでは、さまざまなジャンルの専門家を募集しています。
出展をご検討の方はお気軽にご請求ください。

取締役会が退職慰労金の決定を行わない場合の救済

- good

  1. キャリア・仕事
  2. 労働問題・仕事の法律
  3. 労働問題・仕事の法律全般

(4)株主総会から一任を受けた取締役会が退職慰労金の決定を行わない

場合の救済方法

 株主総会が会社の内規に従い退職慰労金を決定することを取締役会に一任したに

もかかわらず,取締役会がこれを放置することによって,退職慰労金が支払われな

いという事態が生じます。特に同族会社において,オーナー取締役と仲たがいする

形で退任した場合にこのような事態が想定されます。この場合の退任取締役の救済

方法について考えてみます。

ア 退職慰労金請求の可否

 まず,内規によることとして取締役会に一任した株主総会決議の解釈の問題にも

なりますが,その具体的金額,支給期日,方法等を取締役会に一任した場合,具体

的な退職慰労金請求権は取締役会の決定により初めて発生するとするのが裁判例の

一般的な立場です(東京地判平成元・11・13金判849号23頁,東京高判平成12・6・

21判タ1063号185頁)。

これに対して,退職慰労金のうち基本金額部分については,自動的に金額が決ま

るから,株主総会の決議により退職慰労金請求権が発生するとする説(青竹正一『取締役退職慰労金の不支給・低額決定に対する救済措置(上)』判評412号9頁)や取締役会が遅滞なく有効な決定をしないときは株主総会が定めた算定基準で算定した最低額について退職慰労金が発生するとする説(菱田政宏『判批』リマークス1991年(下)119頁)もありますが,裁判例において採用された例はありません。

したがって,退任取締役は退職慰労金の請求を行うことは困難であるといえます。

イ 損害賠償責任の追及

 そこで,退任取締役は,株主総会決議の趣旨に反し,取締役会が退職慰労金の決

議をしない点につき,その構成員である取締役に対して会社法429条1項に基づく

損害賠償請求および会社に対しては会社法350条に基づく損害賠償請求をすること

が考えらえます。

 取締役会の決定により,具体的な退職慰労金請求権が発生するとしても,株主総

会決議により支給決定はした以上,退任取締役には内規に従って退職慰労金を取得

できたであろう法的保護に値する利益が認められます。

 そこで,取締役会が退職慰労金の決議を正当な理由なく,合理的期間を過ぎても

懈怠している場合には,取締役には善管注意義務違反ないし忠実義務違反が認めら

れ,会社法429条1項に基づき,退職慰労金相当額につき損害賠償請求が認められ

る場合があります(東京地判平成6・12・20判タ893号260頁)。また,代表取締役

その他の代表者が職務執行につき第三者に損害を与えた場合には,会社も会社法

350条に基づき責任を負うことになります(東京地判平成元・11・13金判849号23

頁)。

このコラムに類似したコラム

在籍中・退職後の守秘義務の特約 村田 英幸 - 弁護士(2013/08/06 11:14)

退職勧奨 村田 英幸 - 弁護士(2013/08/04 02:34)

退職金の不支給(減額) 村田 英幸 - 弁護士(2013/06/30 13:41)