使用人(従業員)兼務取締役の使用人分給与 - 会社法・各種の法律 - 専門家プロファイル

村田 英幸
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閲覧数順 2024年04月19日更新

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使用人(従業員)兼務取締役の使用人分給与

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5 使用人兼務取締役の使用人分給与

(1)会社法361条の問題

 使用人兼務取締役の使用人分給与は,会社法361条の株主総会の承認の対象になるでしょうか。

 この点,判例(最判昭和60・3・26判タ557号124頁)は,「使用人として受ける給与の体系が明確に確立されている場合においては,使用人兼務取締役について,別に使用人として給与を受けることを予定しつつ,取締役として受ける報酬額のみを株主総会で決議することとしても,取締役としての実質的な意味における報酬が過多でないかどうかについて株主総会がその監視機能を十分に果たせなくなるとは考えられない」として,会社法361条の株主総会の承認対象にしないことを認めます。

ポイントは,①使用人分給与体系が明確に確立していること,②使用人分給与は別に支払う旨を明示して役員報酬に関する株主総会決議を行うこと,の2点です。

(2)会社法356条1項2号の問題

 使用人兼務取締役が使用人としての給与を受ける場合,会社法356条1項2号の直接取引に該当することになります。

もっとも,判例(最判昭和43・9・3金判129号7頁)は,「使用人としての特定の職務を担当する取締役が,あらかじめ取締役会の承認を得て一般的に定められた給与体系に基づいて給料を受ける場合には,その都度あらためて取締役会の承認を受けることは必ずしも必要でない」と判示しています。ただし,判例は続けて,「このような給与体系によらないで,特定の取締役について裁量により個別的に給料の額が定められる場合には,使用人としての職務に不相当な金額が支払われることによって会社に損失を及ぼすおそれがないとはいえないから,具体的に取締役会の承認を受けなければならない」としています。

 

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