事業承継と募集株式の発行等 - 事業再生と承継・M&A全般 - 専門家プロファイル

村田 英幸
村田法律事務所 弁護士
東京都
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事業承継と募集株式の発行等

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第7章 株式の発行,自己株式の処分,新株予約権の発行

第1 募集株式の発行等

 募集株式の発行等とは,会社の成立後における「株式の発行」と「自己株式の処分」のことをいいます。両者は同じ手続規制に服します(会社法199条ないし213条)。

1 事業承継との関係

 【事例】における甲は,まず,甲あるいは丙に株式を集中させる方法を考えます。その場合,他の株主から株式を買い取ることが最も簡単な方法です。しかし,この方法の場合,他の株主が株式を売ってくれるとは限りませんし,後継者丙に株式を買い取るだけの資金がないこともあります。

 そこで,現経営者や後継者の持株比率を高めるために募集株式の発行等を行うことが考えられます。

 

2 導入方法

(ⅰ)募集事項の決定

 募集株式の発行の手続については,まず,募集事項の決定に始まります。募集事項とは,株式募集に当たって定めなければならない条件をいい,具体的には次の5点を決定しなければなりません(会社法199条1項)。

①募集株式の(種類及び)数

②募集株式の払込金額又はその算定方法

③金銭以外の財産を出資の目的とするとき(現物出資)は,その旨及び当該財産の内容・価額

④金銭の払込み又は現物出資の給付の期日(期間)

⑤新株発行の場合は,増加する資本金及び資本準備金に関する事項

ア 公募又は第三者割当ての場合

 公募又は第三者割当ての場合には,原則として,募集事項の決定は株主総会の特別決議によります(会社法199条2項,309条2項5号)。ただし,株主総会の特別決議によって,募集事項の決定を取締役(取締役会設置会社では取締役会)に委任することができます(会社法200条1項,309条2項5号)。この委任の有効期間は,1年間です(会社法200条3項)。

 公開会社では,定款で定められた発行可能株式総数の範囲内で(会社法37条),取締役会の決議により募集事項を決定することができます(会社法201条1項)。

 なお,募集事項の払込金額が募集株式を引き受ける者に特に有利な金額である場合(有利発行)には,取締役は,株主総会において,当該払込金額でその者の募集をすることを必要とする理由を説明しなければなりません(会社法199条3項)。この場合,取締役会限りで募集事項を決定することはできず,株主総会の特別決議が必要になります(会社法201条1項参照)。

イ 株主割当ての場合

 株主割当ての場合は,募集事項のほかに,株主割当てを行う旨と,募集株式の引受の申込みの期日を定めなければなりません(会社法202条1項)。公開会社では,取締役会の決議でこれらを決定します(会社法202条3項3号)。これに対して,非公開会社では,定款で取締役又は取締役会に授権している場合は取締役又は取締役会,そうでない場合は株主総会の特別決議で決定します(会社法202条3項4号,309条2項5号)。 株主割当ての場合は,特に有利な価額での発行についての説明義務の適用はありません(202条5項・199条3項)。株主割当ての場合には,株主が申込みをすれば,株主の持ち株比率(支配比率)の低下は生じないからです。

(ⅱ)募集株式の申込み・割当て

 株式会社は,募集株式の引受けの申込みをしようとする者に対し,次に掲げる事項を通知しなければなりません(会社法203条1項)。

①株式会社の商号

②募集事項

③金銭の払込みをすべきときは,払込みの取扱いの場所

④上記①~③に掲げるもののほか,法務省令(会社法施行規則41条)で定める事項

これを受けて,募集株式の引受けの申込みをする者は,申込者の氏名又は名称及び住所,引き受けようとする募集株式の数を記載した書面を株式会社に交付しなければなりません(会社法203条2項)。

 株式会社は,申込者の中から募集株式の割当てをする者及び割り当てる募集株式の数を定めなければなりません(会社法204条)。この割当てによって,申込者は割り当てられた募集株式の引受人となります(会社法206条1号)。

 株主割当ての場合は,株主は,持株数に応じて募集株式の割当てを受ける権利を有しますが(会社法202条2項),公募の場合は,割当自由の原則が妥当し,株式会社は裁量で割り当てる者を選ぶことができ,募集株式を引き受けようとする者がその総数の引受けを行う契約を締結する場合には,申込み・割当ての手続を踏まず,その契約を締結した第三者が引受人となります(会社法205条,206条2号)。

 

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