事業承継と現経営者・後継者による株式の買い集め(2) - 事業再生と承継・M&A全般 - 専門家プロファイル

村田 英幸
村田法律事務所 弁護士
東京都
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事業承継と現経営者・後継者による株式の買い集め(2)

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【コラム】 現経営者・後継者による株式の買い集め

 

(ⅱ)株式買取の民事調停

ア 民事調停の利用

民事に関して紛争を生じたときは,当事者は,裁判所に調停の申立をすることができます(民事調停法2条)。調停事件の種類に制約は特にありませんから,売買の合意がない場合に訴訟を提起することはできませんが,売ってくださいという調停を起こすことはできます。

 調停事件は,特別の定がある場合を除いて,相手方の住所,居所,営業所若しくは事務所の所在地を管轄する簡易裁判所又は当事者が合意で定める地方裁判所若しくは簡易裁判所の管轄とされています(民事調停法3条)。

裁判所は,調停委員会で調停を行います。ただし,裁判所が相当であると認めるときは,裁判官だけでこれを行うことができます(民事調停法5条1項)。 

調停委員会は,調停主任一人及び民事調停委員二人以上で組織します(民事調停法6条)。 調停主任は,裁判官の中から,地方裁判所が指定します(民事調停法7条1項)。調停委員会を組織する民事調停委員は,裁判所が各事件について指定します(民事調停法7条2項)。

また,民事調停官による調停の場合もあります (民事調停法23条の2)。

イ 調停をしない場合

 調停委員会は,事件が性質上調停をするのに適当でないと認めるとき,又は当事者が不当な目的でみだりに調停の申立をしたと認めるときは,調停をしないものとして,事件を終了させることができます(民事調停法13条)。

ウ 調停が不成立の場合

調停委員会は,当事者間に合意が成立する見込がない場合又は成立した合意が相当でないと認める場合において,裁判所が民事調停法17条の決定をしないときは,調停が成立しないものとして,事件を終了させることができます(民事調停法14条)。

エ 調停が成立した場合

  調停において当事者間に合意が成立し,これを調書に記載したときは,調停が成立したものとし,その記載は,裁判上の和解と同一の効力を有します(民事調停法16条)。

オ 調停に代わる決定

裁判所は,調停委員会の調停が成立する見込みがない場合において相当であると認めるときは,当該調停委員会を組織する民事調停委員の意見を聴き,当事者双方のために衡平に考慮し,一切の事情を見て,職権で,当事者双方の申立ての趣旨に反しない限度で,事件の解決のために必要な決定をすることができます。この決定においては,金銭の支払,物の引渡しその他の財産上の給付を命ずることができます(民事調停法17条)。

  民事調停法17条の決定に対しては,当事者又は利害関係人は,異議の申立をすることができます。その期間は,当事者が決定の告知を受けた日から二週間とされています(民事調停法18条1項)。この期間内に異議の申立があつたときは,同条1項の決定は,その効力を失います(民事調停法18条2項)。

 民事調停法18条1項の期間内に異議の申立がないときは,同項の決定は,裁判上の和解と同一の効力を有します(民事調停法18条3項)。

カ 商事調停事件について調停委員会が定める調停条項

  調停委員会は,当事者間に合意が成立する見込みがない場合又は成立した合意が相当でないと認める場合において,当事者間に調停委員会の定める調停条項に服します旨の書面による合意(当該調停事件に係る調停の申立ての後にされたものに限ります。)があるときは,申立てにより,事件の解決のために適当な調停条項を定めることができます(民事調停法31条,24条の3第1項)。この調停条項を調書に記載したときは,調停が成立したものとみなし,その記載は,裁判上の和解と同一の効力を有します(民事調停法31条,24条の3第2項)。

□株式買取の調停申立書

 

 調 停 申 立 書

 

平成○年○月  日

 

○○簡易裁判所 御中

 

                 〒○○○-○○○○(送達場所)

東京都○○区○○丁目○番○号

TEL 03(○○○○)○○○○

FAX 03(○○○○)○○○○

申立代理人 弁護士 ○○

 

株式買取調停申立事件

 

1 当事者の表示     別紙のとおり

1 申立の趣旨・理由   別紙のとおり

1 証拠方法・添付書類  別紙のとおり

 

調停事項の価額      金○○円

貼用印紙額        金      円

予納郵便切手額      金      円

 

申 立 の 趣 旨

 

 

1, 相手方は,申立人に対し,別紙株式目録記載の株式を金○○円で売り渡す。

 

との調停を求める。

 

申 立 の 理 由

 

1 亡○○(以下,被相続人という)は,申立外○○株式会社(以下,申立外会社という)の別紙株式目録記載の株式(以下,本件株式という)を保有していた。

 

2 被相続人は,平成○年○月○日死亡した。

  被相続人の相続人は,相手方であり,本件株式を相続により承継取得した。

 

3 申立人は,平成○年○月○日に,申立外会社の代表取締役に就任し,申立外会社の発行済み株式のうち○○株(申立人の株式の保有割合は○%)を保有している。

 

4 相手方は,申立外会社の経営には興味がなく,他の会社で会社員として勤務している。

 

5 本件株式の価格は1株当たり金○○円が相当である。

 

6 申立人は,申立外会社の代表取締役であり,かつ申立外会社の繁栄に寄与してきた。

かたや相手方としては申立外会社の発行済み株式総数のうち○○株を保有するのみで,会社の経営に関心がないことから,申立人としては,申立人会社の経営に万全を期すために,本件株式を上記価格で買い取りたい。

 

7 そこで,本調停の申立てに及ぶ次第である。

 

 

株式目録

(略)

 

証 拠 方 法

 

     甲第1号証  申立外会社の株主名簿

     甲第2号証  本件株式の価格についての鑑定書

 

添 付 書 類

 

     1 委任状

     1 甲号証写し

 

以上

 

 

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